北陸の旅、それは朝市

6時に起きて、温泉へ。温泉の入り口には「まだ溜まっていませんがよろしければお入りください」という紙の札がかかっていた。覗いてみると内湯は半分くらいのお湯。露天風呂は満タンになっていたので露天風呂に浸かる。さっぱりしてチェックアウトし、7時、レンタカーで輪島へ向けて出発。

期待以上にいい景色。途中の穴水までは能登電鉄と併走。相手も60km/hで走っているようで、ずぅーっと併走。面白い。昔はこの線が輪島まで続いていたのに、残念。ところどころに線路跡が残っていた。波一つない静かな湾の「ボラ待ちやぐら」や、海で何かを獲る人なんかを見ながら進む。ちょっと山あいに入ると雪が降り積もっていて、全く別世界になる。輪島着8時20分。無料の駐車場を探しているとき、Uターンしようとしてでっかい溝に落ちかける。間一髪だった。あぁ落ちなくてよかった。だからってわけじゃないけど、ちゃんと有料の朝市駐車場に停めることにした。朝市は、観光バスがまだ来ていないからか、わりとまだ観光客は少なかった。だから、すぐに呼び止められてしまう。こっちも嬉しいから、ついついあっちへふらふらこっちへふらふら、主に野菜や漬物、乾物系の店を覗いて行く。地元の人が結構買い物しているのがいい。

ずっと使ってみたいと思っていた「打ち豆」を1軒目で買う。おばさんに食べ方を聞いたら、一部聞き取れず、うわぁ外国みたい、と内心嬉しかったが、ちゃんと聞いときたかったので今なんて…?と再確認。この店ではズイキの塩漬けも買った。小袋でどれも100円ってのがいい。

次の店では生かじめを買った。これは父の故郷の壱岐でもお馴染み。お姉さんの「粕汁に入れてもおいしいよ」の一言にやられた。酒粕はマイブームなので。おにぎりを売っているおばちゃんがいたので、大好きな赤飯のおにぎりを買う。夫は白いやつを買う。私は絶対赤飯を丸ごと食べたかったので念押ししたつもりが、やっぱり半分強食べたところで交換しようと言われて内心なんでやねん、と思う。赤飯の方がおいしいに決まってるのだ。言わなかったけど。おにぎりを食べながら歩いていたら、干物屋のおばさんに、「おいしいでしょ、安いでしょ、それで100円なんてね…」と話しかけられる。「そこの角で売っている昆布巻きと一緒に食べたらいいよ、おいしいのよ、あそこの昆布巻きは」というので「高そうですね」というと「100円よ!」とのこと。あぁそれならぜひ買って食べようと言うと、店のおばさんも「私も買いに行くから一緒に行こ。」とお

店はほったらかしで、昆布巻きのお店へ一緒に連れ立って行った。「お店は…大丈夫?」と聞くと「いいのよぅ~」とのこと。ほがらかで好きだ。一通りマシンガントークをして、干物屋のおばさんが先に昆布巻きを10個買って帰ったあと、昆布巻き屋のおばさんが「一つ?」と聞いてくれたのが嬉しかった。大阪ならここで「いくつしましょ?」と軽くプレッシャーをかけてくるところだろう。前の人が10個買って次の人が1個くださいとはちょっと言いにくかったりするところで、向うから「一つ?」と聞いてくれたらなんと心が楽なことか!大阪人、こんな輪島のおばちゃんを見習います。しかもまぁ食べてみてよと一つ差し出してくれた。そしてそれが今までの昆布巻き人生はナンだったのかというくらい、美味しかったのだ。結局5個買って大事に大阪まで持って帰った。イワシやふぐの子がすごい年季の入った樽でぬかに漬け込んである。家から毎日この場所まで運んでくると言う。輪島のお母さんたちは働き者で明るくて元気。男性の露店はあまり見かけない。イワシのぬか漬けを買う。アンチョビのように使ったらいいと言う。露店とは言え、それぞれ売っている人は作っている人でもあり、塩加減も違う。ちゃんと自分のフルネームと自宅の住所電話番号が入ったシールを貼ってくれてなんだか安心する。文句あんねやったら電話してき!って感じで。このおばちゃんが作ったイカの「いしる」も買う。鍋にいれたらおいしいそうだ。確かに昨日のざいご鍋にもこれがちょっと入っていたようだった。他にもクルミや今朝掘ったレンコンやジャコやワカメ、ワケあり品の輪島塗のお椀なんかを買った。フリーマーケットのような楽しさがあったのは、それぞれ売っているものが違うからなのか、値段がお手ごろだからなのか、会話が楽しめるからなのか。きっとその全部だったのだろう。