31

●眠れないまま朝が来て

翌朝、着信に気付き電話してみると、なんと昨日の価格はやはり無理で58,000円(税抜)までしか下げられないとのこと。夫はあっという間にじゃあ今回はすみません、とすっかり断ってしまった。

さて、振り出し。どこに頼もう。ネットを見ているといろいろありすぎてわからない。私の記憶をたどると、引越しの○○イなんかは子供の頃「どてらい安さで度肝抜く」とテレビCMで言うてたな、と電話してみる。スムーズな対応で1時間後くらいに来てくれることになった。こうなったらもう1社くらい頼んでおこうと、10年ほど前に実家で使って安かったと母が言うア〇〇んマークに電話。かぶらないよう慎重に、3時間後当たりを設定し、来る前に電話してねと釘を差しておく。あぁ、いやだいやだ。こんな人をお金で測るようなことはしたくないけど仕方ない。お金に執着しているのは他の誰でもなく私たちなのだ。

さて1社目が来る前に、昨日の反省から少し片付けて、荷物を少なく見えるように調整。これとこれは持ってかなくていいです、ってものを一部ベランダに出してみた。しかも、かさばると言われた布団を整理整頓。出していたシュラフもちゃんと収納。この状態で見積もりに臨んだ。スーツ姿の陸上部風青年がまず差し出されたのは2Kg入りのお米だった。専務が岩手で作ってるとかで、なるほど。こういう手もあるのか。素直に喜べないが、青年はきっちりとしていて印象が良い。

「私たち、とにかく値段が問題なんで」、と言うものの、昨日にも増して今度は自社パンフレットで1ページ目から(!)説明が始まってしまった。これにはさすがにツッコミそうになったが、なんだか結局されるがままに話を聞いてしまった。すぐ近くの営業所から来ている彼は、地理に詳しく、もしかしたら2往復するかも知れませんが、と言ってくれた。そう、昨夜、近いしその手もあるんやんか!と寝ながら思ったことだった。

昨日のS社と同じく2tロング的な(実際には各社呼び名が違う)トラックで3人で作業します、梱包などはしっかりこちらで、ホコリもふきますので雑巾だけ3枚ほどご用意をお願いしますと。しめてお値段は10万超え。

もう本当にお帰り願いたかったが、名前のある会社だけあって、仕事は確かにしっかりしていることはパンフレットからの一連の説明ですっかり心得たので、一応値切ってみる。例のCMまで歌ってみたが、反応は薄かった。手伝う戦法は大手だけあって、お客様にお怪我させるわけにも、と丁重に断られた。ただ、午後の時間おまかせ(午前のほうが高い)と、配車もおまかせにしてもらえるなら、という条件で最終的に税込み53,000円まで下げてくれた。昨日のS社が税抜き58,000円と今朝言われたところなので、もう、これ決めちゃおうよ。とお願いすることにしたのだった。

もう積んであるというので、さっそくダンボール50箱とガムテープ、布団袋をもらい終わった頃、次のア社からの電話。

「お世話になります、今、下に着きました!」

さげまくる人とノドグロ