その4「Beフラット」

T)あと2つ。次は「Beフラット

」。

F)おぉ、あーさんやな! あーさんは「インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸684日

」で気に入って。

食べる。

」ももう一回読みたいなぁ…。

T)でもBeフラットが一番自分のこと書いてあるよな。

F)そうそう。インパラの朝はほんまに旅行のことがメインやったから。どんな背景がある人なんか、ほどんどわからんかったし。

実際会ってみても、どんな人なんやろ?どんな人なんやろ?って思ってたんが、「Beフラット」読んだらかなりわかった感じやった。小学生、中学生のころとか…

T)そうやな。子どもころのエピソードとかも出てくる。

F)バイトの経歴まで出てきたもんな。

T)オフィスで椅子を回すんが好きやったり。

F)クルっと(笑)。椅子をクルクルして同僚と話す。

T)選挙で自分がどこに投票したとか書いてあるのがおもしろいと思った。

F)書いてたっけ?

T)うん。そんなん書く人、なかなかおれへんのちゃう。

F)ペケつけたんじゃなかったっけ?

T)いや、その前の選挙のことやったかな…。

F)日本ではわりとタブーやからな。そういうこと話すのが。

T)意見も書いてあるしな。へんに中立とか気にせずに思ったことどんどん書いてある感じ。

F)潔いよな。

T)潔い。

F)でも結局自分の思考がストップして、そうやな、そうやな、って思ってしまうところがあるから。

T)そうやな。

F)私の代わりに調べて考えてくれてるって思って。この人の意見に従う!って(笑)

T)そんなときは、坂口恭平読まなあかん。「自分で思考するんだ」って。

F)でもなかなか似てると思うねん、考えが。

T)あの人らは自分で思考してるからな。

F)違う。あーさんと私やで、似てるって言ってるのは。あーさんと私は似てるから、あーさんが考えて話してることを「そやそや」って思っても、ほぼ問題はない(笑)

T)まあそうかもしれん。

F)っていう状態やから、より読んでて気持ちがいいんやと思うけど。本来ならあのくらい自分でも考えなあかんねんやろなって思うねんけどな。

T)考えてることがスパッと書いてあったら刺激になるな。

F)なるなー。これのおかげで選挙とかも、ちょっと考えたしな。

T)せやな。どっちかっていうと現実を見るってことを、意識させられる感じやな。

F)そやな

T)坂口とか読んで舞い上がるような感じとは違って。

F)坂口、舞い上がるかなあ?

T)舞い上がるで。

F)下がっていく感じちゃう?レイヤーが違って。

T)まあな。どっちもある意味、現実的なんかもしれん。

F)行間を読めって感じ。

T)どっちが?

F)どっちも。

T)それは、あらゆる本が行間を読め、じゃない?

F)行間のない本もあるで。おもしろくない本。

F)「Beフラット」は選挙や議員やっていう、そういう触れ込みやったからちょっと敬遠しとったけど、

実際は、あーさんの日常っていう題名でもいいくらいの話やな。

T)もちろん選挙や議員の話もあるけど。

F)あるけど。

T)議員もややっぱり普通の人やねん、ある意味。

F)いやー、そうは思えへんかったけど。

T)なんとなく国会議員はエライと思いがちで、で、国会議員はあれもできへん、これもできへん、って言いがちで。

でも普通に賢い人もいれば、そうじゃない人もいて、っていうことを忘れがちやなと。

F)政治家がエライとか賢いとかもう思ってへんやろ、若い人は。

T)うん。まあ、そうかもしれん。

F)逆に希望も持ってないからな。議員に対して。ほんとやったら議員にもっと働きかけて、それを国のほうに持って行ってもらわなあかんねんけど、もうそれをまったく期待もしてないし、そういう役割が議員にあるっていうのもしらんし。ほんまに無関係な人っていうくらいの。

T)もっと普通の人として、意見まとめて持っていってくれるだけでいい。

F)代表委員、みたいな感じ?クラスの。

T)そう。代議士っていうしな。でも「Beフラット」の中でそういうこと言ってる人がいて、おもしろいなって思った。「僕はビジョンとかないです」っていう政治家がいた、って書いてあって。

F)ふーん。

T)それはそれでわかるなっていう。なんかこうしたい!とかさ、へたに理想を掲げなくてもちゃんと声を集めて持って行ってもらえたら、それで立派な仕事というか。

F)その人、それをするって言ってたん?ビジョンない代わりに、国民のみなさんの意見をちゃんと聞くって‥‥

T)そういう話には展開してなかった。

F)そこは残念やな。

T)あーさんもビジョンがないことにちょっとがっかりしたっていうような感じの書き方やったから。そっちのほうにあんまり話が進まんかったというか。

F)ただビジョンがないだけでやってる人やったら、ほんまにがっかりやけどな。

T)そやな。

F)何をしてるんやろって。サラリーマンとして仕事されてもな。

T)それはそれでいいんかもしれんけど‥‥

F)いや良くないよ。

T)みんながみんな演説をして、大声を張り上げて競争しなくてもいいと思うけど。

F)でもその人がいることで、何が起きるんかよくわからへんねんけど。

T)だから意見を集めて‥‥

F)出してくれたらいいの?

T)そう。ビジョンを語る人は、意見を集めてそうやなあ、そうやなあと思ってビジョンを持ったというよりは、最初からこうあるべきだ、みたいなことを思い込んでる感じの人もいるわけやん。それがいい考えやったらいいけど、悪い考えやったら‥‥。どっちにしても変わらへんっていうか。そんな気がする。

F)こういう話は難しいな。ほんまにいっぱい人がいて、それぞれがそれぞれ人間やから。抽象的にはしゃべられへんもんな、いろんなことについて。

T)そやなあ。だからあーさんも一人ずつインタビューした人のことを書いたんやろうな。

F)なかったね。こういう本は、今まで。まあ個人的にもあーさんと友達になったから。

T)果敢やったなあ。

F)去年はそれができる気がした。自分が話したい人にはこっちから声をかけていく。

T)そうすると意外といけるっていう。

F)チャンスをつかめばいけんねん。そういう年やったな。