コロンボ近郊のアクティビティとして、複数のガイドブックが超オススメしていたボートツアーに行くことにする。多くの野鳥が住むラグーンをボートでめぐるのだ。
予約したほうがよいとのことだったので、町の電話屋からかけてみたが、つながらない。どうやらガイドブックに載っている電話番号が間違っているらしく、ネットカフェで調べた番号でかけなおしてみるとつながった。翌日の午前8時に予約をとった。
当日、この日も朝5時半起床。7時前にバスターミナルから、ニゴンボ行きのバスに乗る。ボートツアーをやっている「ムトゥラジャウェラ・ビジターセンター」には、このバスを途中で下車してそこから徒歩で行ける、とガイドブックには書かれていた。
下車する地点は、トゥデラという場所らしい。バスの車掌に前もってこの場所を伝えておいたのだが、この車掌、乗り込む時にはOK知ってる、という風だったのに、乗り込んでから、知らんわからん、という態度に変わってしまった。焦った私たちは周りの乗客に「トゥデラ?」とか「ムトゥラジャウェラ?」と聞きまくると、同情した何人かの人が、ケイタイでどこかに電話して行き方を調べてくれた。そのうちの1人、賢そうなインド人風のおばさんが、降りる場所を教えてくれたので助かった。
バスを降り、そこからはずっと道なりに歩いていく。結構遠く、途中でバナナを買って食べたりしながら行く。しかし、いつまでたっても目印の運河にたどり着かない。おかしいなと思って、そのへんの家の人に「ムトゥラジャウェラ?」と聞いてみると、「ここだよ」と言う。つまり、この村の名前がその「ムトゥラジャウェラ」らしいのだが、肝心の「ビジターセンター」は知らないそうだ。まあ、たしかに地元の人にはビジターセンターなんて用事ないんだろう。しかし、どうやらまだ距離がありそうな雰囲気だ。
まだ余裕でバナナの写真とか撮っていた
すでにかなりローカルなエリアで、トゥクトゥクもあまりやって来ない。来てもすでに客を乗せている。なんとか1台のトゥクトゥクをつかまえ、道を聞いた家のおじさんが、行き先をなんだかんだドライバーに説明してくれた。助かった。これでたどり着ける。約束の8時が近づいてきており、焦っていたのだ。
ごみを食らう豚との衝撃的な出会いもあった
が、それは甘かった。このドライバーは最高に安全運転もしくは燃費効率至上主義者のような青年であり、まあそれはいいとして、何かがうまく伝わっていないのか、見当違いの方向に向かっている気がする。ストップストップ。とりあえず、ガイドブックに書いてあるビジターセンターの近くにあるというホテルに行ってもらおう。そのホテル名を告げる。ドライバーは近くの商店のおじさんにそのホテルの位置を確認し、走り出す。やれやれ今度こそ到着できる。8時ちょっと過ぎるけど、仕方ないな。
と、思っていたら、またまたそれは甘かった。彼は教えられたことをすぐに忘れてしまうのか、すれ違う人に道を聞きUターン。うーん、こんなことなら、私たちがちゃんと道順を聞いておけばよかった‥‥と後悔しても後の祭り。
と、そのとき西洋人を乗せた大型バスが前に出現。こんな裏通りに観光バス。きっと同じ行き先に向かっている違いない。「あれを追って!」とドライバーに告げる。が、それがまた間違いの始まりで、いつまでバスを追いかけても、いっこうにビジターセンターには着かなかった。
もう時間も大幅にオーバーするし、そもそも歩ける距離のはずなのに、トゥクトゥクで何キロも走ってもまだ着かないなんておかしいしで、パニックになりかけたとき、例のセンターの近くにあるという「ヴィラ・パルマ」というホテルの名前が見えた。
ここだ!ストップ!トゥクトゥクを止め、ホテルのオーナーらしき人に訊いてみると、「あぁ、そのビジターセンターなら、ここからもうウォーキングディスタンス、徒歩圏内だよ」と言ったので、今度こそ助かった~。このオーナーが、わがトゥクトゥクドライバーに道順を教える。うなずくドライバー。今度こそ大丈夫だろう。私たちが道を再確認するまでもない。オーナーと握手をしてお礼を言い、トゥクトゥクに乗り込み走り出す。
そしてしばらく行くと、ドライバーの青年はトゥクトゥクを止め、すれ違う人にまた道を尋ね始めるのだった‥‥
まさかの展開におもわずため息をつきつつ、この期に及んで、工事中の道を安全運転でゆっくりゆっくり走る彼の後頭部を眺め続けるしかなかった。
結局迷いに迷って、約束の時刻からちょうど1時間遅れでビジターセンターにたどり着いた。ほんの数キロ乗るつもりだったトゥクトゥクに、1時間以上揺られていたことになる。ボートツアーは朝早い方がたくさんの鳥や動物に出会えるという話だったので、残念だったが、もはやどうしようもない。
出発するまではなかなか覚えられなかったこの「ムトゥラジャウェラ」という地名が、度重なる聞き込みによってすらすらと言えるようになったことだけが収穫だった。ボートツアー自体は、貸切でボートを出してもらえるわりには安い値段で、カワセミやオオトカゲ、水面を飛ぶ魚など見られて良かった。かつてオランダが作った運河を進んでいく感じもおもしろい。でも、ガイドの女の子に「アーユーエンジョイ?」って直球で聞かれても、どう答えていいのか困る。イエース!みたいなノリじゃないだろう、ここは。