LAX, Water bottle and Southwest Airline

●到着

着陸前の機内食が済んだころ、インド系だろうか、訛りのある英語でパイロットがロサンゼルス空港(LAX)の改修工事の影響か何かで遅れそうだとアナウンスした。LAXは世界一忙しく混み合う空港だそうであり目下大改修中であることは事前に知っていたのだが、焦った。実はLAXで1時間半くらいの余裕を見て、国内線に乗り継いでサウスウェスト航空でサンフランシスコに飛ぶことにしていた。それが、急激に危うくなってきたからだった。もうすでに時差がよく飲み込めないアタマで必死に考える。このままでは間に合わない。

その少し前に、前述の15分だけ機内無料wi-fiが一瞬通じていたのか、2つの新着メールが届いており、それによるとサウスウェスト航空のサンフランシスコ行きが①一旦30分遅延するとのお知らせと、②やっぱり定時に出ます、とのお知らせがあった。今回の場合遅れたままであって欲しかったことはいうまでもない。




もう、眼下にロスの街はみえているのに降りられないというジレンマ。

着陸の順番待ちか何かでひたすら上空を旋回している機内で、CAに乗換便の時間が迫ってることを伝えると、心配顔で一番早く(エコノミークラスの中でだけど)降りられるように前の席に移動させてくれた。が、できることはそこまでだった。急いで降りたところで荷物が出てこないとどうしようもない。これまた荷物がいつまで立っても出てこない。ベルトコンベアまでが渋滞なのか、止まってしまっている状態だった。

ポーターっぽい係員に、あそこで荷物が詰まってるよ!と指差してみるけど、(彼らの仕事はそれではないらしく赤帽のような人たちだったようだが)大丈夫そのうち出てくるから、の一点張りで何もしてくれない。もうあと20分で定刻である。グランドスタッフにどうしたらいいの?荷物が出てこない!と詰め寄ったら、香港航空とコピーされたメモ用紙みたいなものに、「この飛行機はおよそ____遅れましたことを証明します」の空欄に時間を書き入れてぞんざいに手渡された。遅延証明?ないよりはましか。それを持ってやっと出てきたバックパックを背負い、イミグレーションへと走る。

想像していたのと違い、どこに並べばいいのかがわからない。見るからにやる気のない係官が適当に誘導しているところに並んだら、さきにESTAを済ませろと言われ、少しあと戻りする羽目になった。そこに林立しているのは謎の自動販売機のようなもの。ESTAで事前に入力したようなことをまたポチポチ入力したり指紋を画面上でセルフコピーしたり、身長に合わせて自由自在に動くカメラに顔写真を撮られたりした。終わると、ピロピロと紙切れが出てきた。それを持って先ほどのパスポートコントロールに並ぶ。そこではまた写真を撮られ指紋を取られやっと入国。

そのまま乗り継ぎのターミナル間を3つ走る。口の中が血の味がしたし夫の背中はみるみる小さくなった。普通こういうときカートみたいなんに乗せてもらえて静かな割に速い速度で人々を追い抜いていくイメージやし。と空港係員ぽい人間にアピールしてみるも、走れ、と言われる。しかも出口を出て外の歩道を走れと。椰子の木がさわさわして日光がじりじり照りつけている。3月なのに信じられない。

格安航空会社サウスウェスト航空の発着ターミナルは国際線から一番遠いターミナル1であった。夫がヘルプデスクに駆け込んだときには ”too late” だったらしく、「一般のカウンターの列に並んで次のフライトの予約をするように」と言われた。っていうか、こんだけ血をを吐きそうなほど走ってきたし、悪いのは香港航空や荷物を吐き出さないベルトコンベアやわかりにくい入国システムであって私たちに非はなく次のフライトに乗る権利がある、とかいろいろ言い訳を考えながら走ってきたのに、とくに理由も聞かずに次のフライトを割り当ててくれるのかサウスウェスト航空。日本での予約時には1番安いランクの時間帯のフライトを予約したので、追加料金を取られてもおかしくないのだが、それもなく。ただし、そのフライトがまた2時間ほど遅れることになるのだがまだ知る由もない。



Full of yes! ありがとう、いい会社です、Southwest航空。

次のフライトまで時間があるにせよ、この先どんなトラブルがあるかわからないのでまずは国内線の手荷物検査場を通り抜ける。長蛇の列。国内線の方がチェックが厳しいとのはなしもある。サウスウェスト航空は手荷物預けも無料だったので(ええ会社や!)助かった。しかしリュックの中の空にした水ボトルがX線でひっかかった。係員が無表情な顔で私にボトルを差し出しなにか言った。私はボトルだけ欲しいのです、といつもやっている受け答えをしてそれから少し遅れて頭の中で彼の言ったことをよく咀嚼してみる。

「ここを抜けたらトイレの横に水を汲めるところがあるからそこを使うといいよ!」と言っていた。てっきりボトルはだめですよ、とかなんとか言われたのだと思ったけど、めっちゃ親切やん。そしてトイレの横にはそのとおり次々と人がマイボトルに水をたっぷり詰め込んで待合へと流れていくのだった。

それについてニューヨークタイムズの記事を見つけた。アメリカでは2010年からこのウォーターボトル・フィリング・ステーションが広がりはじめた。今ではかなりの空港にあるようだ。

忙しい読者のみなさまのためにざっくり要約すると…

セキュリティーチェックを抜けるときの、水ボトルの発見と再検査の時間が短縮され、捨てられるペットボトルの廃棄とそれにかかる埋め立てやリサイクルのコストの節約になり、空港内の高い水を買って飲むのを我慢してエコノミー症候群になるリスクも低減される。いつの日か私の好きな炭酸水のリフィルもできると嬉しいな(インタビューされているおばさんの願い)。

日本にも早くこの波が来ますように(これは私の願い)。




なんかデザインもおしゃれなんよね。