南紀旅行 day1

JR西日本が「元気です和歌山」と銘打って、南紀パスなるものを出している。

大阪市内から和歌山への往復特急と、和歌山県内の主なJRとバス乗り放題で、3日間有効、6000円。

これは!

何年も気になっていた、仙人風呂に行くチャンスと思い、仙人風呂のある川湯温泉の民宿をじゃらんで予約した。Tからは、宿に直接申し込んであげればよかったのでは…とやんわり言われ、多少めげそうになったが、いやいや、予約は予約。でも昔バイトしてたペンションでも奥さんが「案内所を通した紹介のお客さんはイヤだー手数料取られるし」って言ってたな…。とにかく。予約が取れました。

大阪から朝イチの特急の指定席は満席だったため(前日に指定取ろうとした私が甘かった)始発の新大阪駅に早めに着いて自由席に並ぶ。座れてひとまずほっとする。

用意してきたパンと生ハムパプリカのマリネとコーヒーで朝食をとる。特急ってほとんど乗ったことがない私達は、いつもの天王寺までの環状線エリアからすでにちょっと興奮気味。だって、線路がちょっと違うのだもの。

なんだかんだで白浜着。ここでの持ち時間は1時間半。駅前のバス停には、そろいのフリースジャケットを着込んだ案内嬢のおばさまたちが、「はい、どこ行くの~?アドベンチャーワールドは何番のバスに乗ってね~…」と乗客をてきぱきと捌いている。時刻表をゆっくり見ることもままならない。しかし私たちの目的地、臨海にある「南方熊楠記念館」方面のバスは、1時間に1、2本くらいしかなくて、どう考えたって1時間半では足りないことが判明。

周辺の散策に切り替えて、円月島を望む足湯に浸かった。風が強く、いったん濡れた部分が露出すると拷問のようだ。したがって、めくりあげたズボンの裾ぎりぎりまでお湯につけて、しかもぜったい裾は濡らしたくないというせめぎ合いが楽しかった。白浜と言ったら白い浜。ほんとうに白い。いや、これはもっと自慢してもいいのでは?してるのかな。ちょっと感動。さて次はJRで白浜駅から少しだけ戻って紀伊田辺駅へ。持ち時間15分で、お弁当屋さんをサーチしてすばやく購入。とてもいいお弁当屋さんだった。おかずがいろんなバリエーションで、いろんな形のお弁当箱に入っていて、どれでも500円。選んでカウンターに持っていくと、あったかいご飯を詰めてくれた。ここからはバスに乗って川湯に向かう。ちょうどお昼をはさんで2時間半の行程なので乗客は当然車中でランチだろうと思いきや、みなさんもう済ませているのか、食事してるのはうちらだけ。あまりリラックスして食べられなかった。しかも、この路線バス補助席があって、なんか修学旅行みたいだった。

まずは川湯を行き過ぎて熊野本宮大社前でバスを下車。お参りを済ませてから、次のバスで宿のある川湯へ戻り、宿にチェックイン。メインイベントの仙人風呂は夜にゆっくり浸かることにして、近くにある湯の峰温泉まで散策できないか、と宿の娘さんに聞いてみたら、今から歩いていくのはちょっと無理とのこと。しかしまぁ行ってみようか、と歩き出す。ちょっとした山越えである。すでに15時を回っていたので 日暮れまで2時間ほどしかない。バスはとっくの昔に最終が出てしまっているので歩くしかない。ヒッチハイクでもできないかなぁ~、と思っていると、1台のプリウスが私たちを通り越して停まった。窓がスーッとあいて「どこへ行くの?乗せてあげようか?」とおじさん。あまりのタイミングの良さにびっくりしながらも、即行で乗せてもらう。聞けば湯の峰温泉で旅館をやってらっしゃる方だった。おかげで明るいうちに湯の峰温泉を散策して帰ることができた。念じれば通じる、望めば叶う?日ごろの行いが良い、そういうことだろう。帰りは思いのほか早くて徒歩30分で宿へ戻ることができた。それを娘さんに話したら、驚かれた。私たちは結構早足だったのかもしれない。夕食を済ませた後、白い息を吐きながら、仙人風呂へ。目の前の川沿いに数百メートル歩いたところの河原が温泉だ。ライトアップされていて川から湯気がほわほわ上がっているのが幻想的。入っている人も10人以上はいる。混浴の為、基本的に水着着用だ。となりのカップルの女性が酔っ払っているのか、男性に「男は脱げばいい、脱ぎなさいよ、夜なんだからー。誰も見てないし~」と繰り返し大声で言っているのが面白かった。ちょうどいい湯加減で、しっかり温まったあとだから、着替えるのもそこまでは辛いこともなかった。でも、なかには濡れた水着の上から浴衣を羽織ってすたすたと宿まで帰る人もいて、それはちょっと真似のできない芸当に思えた。