スタッキング可能

(T)まず今日のデザートは、

(F)「スタッキング可能!」

(T)えっと、まずデザートを……

(F)え? あ、デザートか。ええと今日のデザートは、自家製の桜餅です。

(T)いただきます。

(F)いただきます。

今日の本は、松田青子さんの「スタッキング可能」

(T)で、今日は話す本は「スタッキング可能

」です。これはどういう本やったっけ?

(F)岸本佐知子さんが良いってツイッターで言ってたから、これはぜひ読みたいと思って読んだ本やけど。書いてるのは松田青子さんっていう人やな。

(T)若い人やんな。

(F)まあまあ。うちらよりは若いな。

(T)で、内容はというと…

(F)「ウォータープルーフ!」

(T)……についてはあとで触れるとして、まずこれは小説?やんな。

(F)やんな。

(T)やけど、完全な創作っていうか想像の世界って言うよりは、実世界でありそうなことを書いてる感じやな。

(F)だいぶ実体験にもとづいてるよな。

(T)津村記久子さんみたいな?

(F)ある意味な。年代的にも似てるか。

(T)テーマが、オフィスとか、仕事とか、女同士の関係とか、

(F)化粧品とか、ファッションとか。

ウォータープルーフ嘘ばっかり!

(T)で、どこがおもしろかった?

(F)なんか漫才ネタみたいな小話っぽいやりとりがおもしろかった。

(T)それが……

(F)さんハイっ「ウォータープルーフ嘘ばっかり!」

(T)さんハイ、なんて言ってたっけ?

(F)せーの、やったかな。

(T)声をそろえるねんな。漫才トリオみたいな女子たちが。

(F)うん。それとあと「ちふれ」にも驚いた。まさかそれが全国地域婦人連合会?の略やったとは。

(T)あれ、ほんまなんかな。

(F)ほんまかな。今調べるべきか……

(T)まあええか。あとで調べよ。

(T)で「ウォータープルーフ嘘ばっかり!」はどういうことなん? 化粧品にほんまかいな、って突っ込んでるわけ?

(F)ウォータープルーフって聞いてなんのことかわかった?

(T)ええと、たしかマスカラやったっけ?

(F)そう。もうこのタイトルで「やられた」って感じのおもしろさやったな。私は。

(T)わかる、って感じ?

(F)うん。共感度が高かったな。

(T)つまりマスカラにウォータープルーフって書いてるくせに、ウォータープルーフじゃないってこと?

(F)そう。でもいつのまにか、消費者として甘くなってきてさ。ほんとはたいしてウォータープルーフじゃないんやろなと薄々思いながらも、しかもけっこういい値段払いながらも、まあしょうがないかっていう感じになってくる。なんか自分の使い方のほうが悪かったんじゃないかっていう。

(T)今度こそは、って期待を込めてまた買ってしまう?

(F)そう。で、なんか擁護しながら使ってしまう。それを声を大にして3人で声を揃えて「ウォータープルーフ嘘ばっかり!」って言ってくれてるのがスカっとしたわ。

(T)あと、おれは小学生の目の下にクマを発見したっていう話も、なるほどって思った。

(F)ああ。

(T)なんやったっけ? クマを消す化粧品。

(F)コンシーラー。

(T)それ。コンシーラーでクマ消さなきゃと思いながら、たまたま電車に載ってる小学生の顔を改めて見てみたら、クマあるやんって。

(F)小学生にもクマあるのに、なんで私はそれを消そうとしてるんやって話やな。

冷静でシュール

(F)最初のほうの話ではA山さんとかB山さんとかいろんな人が出てきて、何がなんやらわからんくなりそうな感じで。しかも途中でシャーロックホームズみたいな人も出てきて…

(T)シュールな世界。

(F)そう。そういえば、ああいう所々が太字になってるような書き方って最近多いな。

(T)そうかな。そうかも。

(F)あんまりああいうの好きじゃないなと思っててんけど。

(T)ネットっぽい?

(F)そうやな。ネットっぽいな。この本はネットから来てるわけじゃないよな?

(T)違うと思うで。まあいろんな短編小説を一冊の本にまとめてあるから、スタイルはいろいろあったな。

(F)なんかこうおもしろいけどシュールで、結局よくわからん終わり方の話があったり。

(T)会社の話とかは、あれは会社のOLをしたことがある人は共感する感じ?

(F)Tは共感した?

(T)男の子が主人公の話もあったやん。会社の女の子について男同士でいろいろ話さなあかん、リストから好きな子を選べ、みたいな。ああいうの面倒くさいなっていう感じはわかる。

(F)あれは女の人の作者のわりによく知ってるよな。

(T)そやなあ。

(F)すごい冷静な客観的な目を持った作家と言えそうです。

(T)言えそうです(笑)。あと文体もちょっと変わってるしな。普通は重ねへん、〜だが、〜だが、が続いたり。

(F)飛んでるよな。

(T)冷静なツッコミの文章でありつつ。

もうすぐ結婚する女

(F)Tが面白かったのは?

(T)「もうすぐ結婚する女」

(F)ああ、私、結構あれ疲れてきたわ、最後のほう。

(T)そっか。うんまあ内容もそうやけど、これも題名が良かった。題名でやられたって感じ。

(F)そやな。

(T)「もうすぐ結婚する女」と名付けることで、こう世の中の見え方が変わるわけやん。親友がもうすぐ結婚する女になった、とか。今現在もこの世の中には、結婚情報誌とかを読み出したり、式場の下見に行ったりとか、そういう「もうすぐ結婚する女」たちが点在していると思うと。

(F)いわゆるそういう人らのことやな。

(T)この本は全体的に、結婚情報誌的世界とか、女性ファッション誌的世界へのツッコミになってるんやと思う。

(F)それをうまく表してるわけやな。「もうすぐ結婚する女」っていう言葉は。

(T)そういうこと。で、ツッコミつつ、自分も結婚したいとか彼氏が欲しいとかやったり、化粧品も嘘ばっかりでもないみたいな展開になったりして、最終的にそういう世界への愛情が感じられた。こういうのを文化っていうんかなとか思ったり。

(F)この人の別の本も読んでみたいな。この人これが処女作やんな?

(T)ぽいな。でもオレ前から知ってたで、松田青子さん。

(F)なんで?

(T)この人、ロボピッチャーと一緒にラジオ番組やってたから。

(F)え?!そんなレアな情報、何で知ってんの?

(T)前にロボピッチャーがちょっと流行ったやん。

(F)うちの中で。

(T)そう、うちの中で。そのときにそのラジオ番組を知って。京都のAMやったかFMやったか。

(F)へー、そんなんやってたんや。

(T)名前は微妙にちょっと違った気がするけど、でも文章書くときは松田青子やって言ってた気がする。

(F)え? 実際聴いたって事? その番組。

(T)そうやで。

(F)私聴いてない。なんで1人で聴いたん?

(T)いや……ネットで聴いたんかな…。

(F)岸本佐知子を知るより先にこの人のことを知ってたんや。ふたり共通点あるよな。翻訳やってるし。

(T)「はじまりのはじまりのはじまりのおわり

」っていう本か。おもしろそうなタイトルやな……誰が書いたんやろ?

(F)外国人やろ。……ってそりゃそうか。

バブルな歌にもツッコミ

(F)まあ最近読んだ本の中では、笑っちゃう感じやったな。ニヒルな笑い。

(T)某歌手の話とか。

(F)あれ、これ書いていいの?っていうくらいの。

(T)とある歌に対して、指摘しとったな。

(F)しとったなー。

(T)その歌は知らんかったけどな。バブルの再来を望むようなテンション高い歌。最近の歌らしいけど。

(F)本になって印刷されて大丈夫なんかな……

(T)いや本やからいいねんで。インターネットとかの方がへたなこと書かれへん。本は印刷されるだけやから、そんなに広まれへん。◯◯さんここ読んでください、って誰か言うまでは、その人にそれは伝わらへんから。

(F)でも伝わるよな、うちらこんなん言ったら。

(T)まあもし本人が検索とかしてここを見つけたら、ここ以外のページを見ていってくださいということで。でもまああれやから、「某歌手」にしとこか。アルペン的な感じの。

(F)絶好調な感じで。

(T)今日はこんなとこにしときましょう。

(終わり)