パン屋を探す(Sidi Bou Said)
明日は、イスラムの盛大なお祭り、犠牲祭。商店は全て閉まってしまう。
その事に気付いたのは、前の日の夕方、チュニスから日帰り観光に訪れた、シディブサイドの町でだった。
明日のパンと今晩のパンを確保しておく必要がある。しかも旅行中最後のパンになるかもしれないから、焼きたてを買いたい。
観光地とはいえ、どこかには地元の人のためのパン屋さんが在るはず。
通りかかった女性二人組がちょうど、籠からパンをはみ出させて歩いていたので、聞いてみた。「この近くにパン屋さんがありますか?」しかし答えはNo。
チュニスで買ってきたのだそうだ。がっかり。そしたらお姉さん、パンが欲しいの?あげるわよ、と数本あったバゲットを1本差し出した。思わず受け取ってしまう私。
違うの焼きたてが欲しいのであって、パンをくださいと言っているわけでは、と言い訳するほどのフランス語力はなかった。
うーん、もらってしまったなぁー…と歩いていると、今度は男性二人組、またもパンの入った袋を持っていたので、同じように質問すると、パン屋?あるけど…あげるよ、どうぞどうぞ。とパンを差し出され、また受け取ってしまう私。
あぁなにやってんだ。パンを恵んでやることもイスラム教の教えのうちなのかもしれない。あれで、みんなの明日のパンが不足しないことを祈るばかりである。
そのあと、ぶらぶら歩いていると、いい香りが漂ってきた~。自らの鼻で、パン屋を探り当てた時の達成感ったらない。なんでも次が20分以内に焼けるらしくみんな大人しく並んでいる。フランスとチュニジアを行き来しているというリッチなおばさんと世間話をしながら、焼けるのを待つ。まだ買うんかい!こっちは夕食用。さっきもらった2本は明日の朝食にさせていただきます。メルシーボークー、シュクラン。