東京旅行 1日目

東京行き

夫が、宣伝会議の協賛企業賞を受賞したのがそもそものはじまりだった。

電話がかかって来て、授賞式への招待を受けたのだという。交通費も出るそうだ。応募してよかった、勉強してよかった、佳作的な賞だけれども授賞式へ招待してくれるのだから!と満場一致(2人)で、東京行きを承認。私も便乗して溜まったマイルでついて行こうかとも考えたが、決めたのが遅かったのでマイルの価値を活かせず、また改めてとなったのだった。

結果として(多くの方にはお話したように!)交通費として15000円が支給され、それは東京行きの片道分でしかなかった。交通費を出すと言われたら、いくらですか?全額ですか?と聞くこと、あるいは、宣伝会議のケチ!ということである。浮かれてついて行かなくてよかった。

ともあれ、気を取り直して再度東京行きが決まった。夫がやっとスタートさせたインタビュー企画の第2弾で、インタビューを受けてくれる方が東京方面にいらっしゃったからだ。その間だけは別行動として、まる2日の東京よくばり旅行計画を練り上げた。

朝一の新幹線で、と、当初は思っていたのだが移転が決まっている築地市場を見ない手はないと思い夜行バスに変更。夫の会社が終わるのを待っているとバスも高くなるので、別々で出発。幸い到着はほぼ同時刻であった。東京駅八重洲南口のマクドで待ち合わせる。

私のバスは、北のはずれのプラザモータープール出発。神姫バスで、「1プラス2」という座席配置だった。昔はスタンダードシートの青春ドリーム号や、更に下を行く、補助席、とかにも堪えた私達もそれ相応に学習し、3列シート以上のバスしか選ばない。今回2人席を知らない女子とシェアだったが、くっついている2人のシートの間にもカーテンが引けるようになっており、問題となる肘置きも広く、喧嘩にならなかった。ただ、トイレがついていないので、2~3時間おきに停車、ライトオン、アナウンスが繰り返されるのは若干ネックだった。が、これもアイマスク&耳栓でかなりカバーできた。2人体制の運転手が、就寝、消灯の23時間際まで横並びで座り世間話をするのだが、これがウルサイ。こっちには消灯後は私語は謹んでくださいというアナウンスをしながら、そちらのおしゃべりもね!と突っ込みたくなること満載だった。夫のバスは、超特急的存在のJRバス。大阪駅発だし、完全3列独立で、トイレ付き、途中の停車もなしで、私のバスより遅く出発するのに同じくらいに到着する、スグレモノ。しかし2000円くらい値段もアップだった。

ともあれ、無事に八重洲南口の店員がほぼ外国人マクドで落ち合って、出発。まずは築地までウォーキング。

いろいろ悩んだのが、この2日間の交通機関をどうするかということだった。多少なりとも乗り鉄の気がある2人なので、そこはこだわる。また、何かしら縛りがないと、久々の東京にて収集がつかなくなってしまう。最初は、東京メトロと都営地下鉄の違いもわかっていなかったが、調べていくうちにそれらも把握し、決めたプランが、コレ!

1日目 都営地下鉄「春」のワンデーパス 500円

2日目 東京メトロ24時間券 600円 + 都電一日乗車券 400円

ベストプランは、1日目に都電を組み入れて、「都営まるごときっぷ」700円 を使う(それなら、荒川線に加えて日暮里・舎人ライナーにも乗れた!)のだが、スケジュール的に厳しく、このようになった。

で、東京駅から築地市場まで歩いたのは、このラインはメトロだっただけではなく、30分もかからない距離だということや、朝の東京の街を歩くのもいいな、ってこと、バスに揺られてきたのでリフレッシュにもなりそう…といいことづくめ、実際よかった。

築地にて

築地市場の見学には何時に行ったらいいのだろう?と漠然と調べてみたが、5時からいけ、とか、セリが休みの日曜がオススメという人などさまざま。市場自体は午後もやっている。わかったことは、いわゆるセリ(マグロ)を見るには、5時に並んで参加人数限定の枠に入らないといけない。魚の市場部分を見るには、9時以降しか一般人は入れてもらえない。青果市場はいつでも入ってオッケー、場外市場はもちろん、観光客ほぼほぼウェルカムであった。あとは、場内の超人気ご飯やさんが5時から開店するので、早く並べば早く入れるということなのだった。

11月に豊洲へ移転するのは場内だけで、ここには築地魚河岸っていう施設が新設され、ある程度の機能は残るらしい。邪魔な観光客が、上から眺められるようにできているような施設の完成を待ちたい。

海鮮おにぎり屋さんに並ぶ。こちらは場外のお店でそれほどまでには混み合っていない。それでも通り道を塞いでしまうように並びはじめた私たちに、ちゃきちゃき系の割烹着姿のおばちゃんが言った。「アタシがこういうふうに並んでるんだから、アンタたちもこういう風に並んだらどうだい!」慣れない江戸っ子言葉とニュアンスに戸惑いながらも、おばさんの指図に従って列を折り返して並ぶ。その後も外国人が気付かずに折れ曲がっている途中のところに並んでしまったので、おばさんの神経を逆撫でしないように素早く彼らに列の最後尾を教える。またそのあとに並んだのは魚河岸のゴムエプロンにハチマキ姿のおじさん。自分の並んでいたところが最後尾でないと悟ると、チッと舌打ち。なんで俺らがこんな観光客に混じって並ばなきゃなんねーんだよ、という声が聞こえてきそうだった。

このように、場内はもちろん場外についても、もともとは市場で働く人達を目当てにできたお店なのだな、と実感。中には観光客に的を絞ったようなお店もあるが、こちらとしてもそういう店は嘘臭いので近寄らない。というわけで、人気店にはプロの方も、観光客も押し寄せてしまっている状況だった。

他にも、場内にある吉野家(築地が発祥らしい)に入ったらこちらは見事にプロばっかりだった。店員のおばさんが、ひとり忙しく対応しているのだが、ちょっと間違えたら「つゆだく、ねぎだくっていっただろうが!ったく!」と怒る客のおじさん。おぉ怖い。しかし、ツユダク以外にもネギダクとかツユナシとか半シャリとか、みごとにみんな何かしらのマイオーダーをしているのが興味深かった。味は普通なり。場内にある八千代とかそのへんの人気店は行列がすごくて、30分後に戻ってきてとか言われていたので、並ばず、市場内をちょっとうろついて終了とする。海外でみる、いわゆる市場とはちょっと違う。ここは卸売がメインだから仕方ないのだろう。

最後に老舗っぽい雰囲気の和菓子屋さんの店先に美味しそうなお団子が売られていたので、2本入りを購入。お支払いの段になってびっくり。340円?!みたらし団子くらいのあん団子が3つが1本170円もするなんて。値段が書いていないって恐ろしい。味は普通だったが美味しかったと思いたい。

葉山へ

さて、都営地下鉄、築地市場駅で、上記のパスを購入して今から出かけるのが葉山。いきなり範囲外だが、途中の泉岳寺までこれで行く。京浜急行の赤い電車に乗ってみたかったのと葉山ってどんなとこなん、を満たすべく出発。意外にも赤い電車ではなく青い電車だった。いわゆる普通の赤い電車は、鈍行のようでたまに見かけたが、写真にすら撮れなかった。シートが水玉でかわいいし、まあいい。桜の咲く街をたくさん通って電車は進む。横浜とか川崎とか、そんな有名なところも通ったので何か贅沢な感じ。途中、金沢文庫を通って、あぁこれがあの、くるりの歌にでてくるとこか!と静かに満足。でもエンジン音みたいのはきっと赤い電車のやつなんだろうな、とかどんどんマニアックになっていくのでそのへんは置いておく。

新逗子で降りて、バスに乗る。神社で土曜朝市をやっているというので覗いてみようと思ったのだ。そこから葉山に暮らす人たちの人となりがわかるかなという魂胆。行ってみたら、ま、葉山の方々も似た感じであった。元々こういうとこで欲しいものにあんまり出会わないタイプなのだった。葉山に一体何を求めていたのだろうか。思ったより早く終了してしまったので、バス通りを歩いてみると、葉山の御用邸前に出た。だからといって何もできないし、寒いので次のバス停からバスに乗って、石原裕次郎が好きだったというコロッケ屋さん旭屋牛肉店へ。本当は、朝市で買い物をして、仙元山という小高い山に登って、富士山を仰ぎ見ながら買ったものを食べるという算段だったが、今日は風が強くて寒い上に曇っているので富士山も見えまい、でコロッケに直行。夜の花見に向けてコロッケをたくさん買い、ミッションが終わってしまったので、もう葉山いっか。と東京で会えないはずだった友達に再度約束を取り付けつつ、帰る方向でぶらぶらと歩く。細い道や坂が多い。その細い道も結構車が通るのでちょっと歩きにくい。おしゃれな家は多い。コンポスト容器を2つくらい見かけた。葉山の広さがもうひとつわからず、このままぐるっとバス通を歩いて帰れるかな、と、バス停に遭遇。待っている人に、ここから新逗子駅まで歩くとどれくらいか聞くと30分から40分くらいとのことで歩くことにする。

お昼ちょっと前、美味しそうなパン屋さん発見。となりがレストランになっている。これは、うまいに違いない。直感で決めて入る。メインはパスタか魚か肉。私は、春キャベツと桜えびのタリアテッレ。夫はエビアレルギーなので、佐島産ヒラメのムニエルを選んだ。

最初にフォカッチャがでた。続いて、山盛りのグリーンサラダ。控えめな手作りドレッシングでこれだけワシワシ食べられるのは嬉しいし、順番的にも正しいのだろう。その間に、となりのパン屋さんで作っているパンを切ったものをサーブしてもらえる。ここのパンは外のパリッと感と中の柔らかさの差がすごい。日本人好みだな、と思う。メインも薄味で美味しくいただいた。

最後にコーヒーが出るのだが、なぜか、オープンカウンターを見ていて不吉な予感。コーヒーを蒸気で温めている。そして、更にまた温めている。豆を一杯分ずつ挽いていたとこまでは良かったのに、なんで最後に温めんのかな?カウンターの上で私達に運ばれるのを待つ湯気がもうもうと上がったコーヒー。もちろん、香りも何もなく。氷入れないと冷めませんよ、ってくらいアッツアツのコーヒーなのだった。それだけが、残念。しかしよく流行っている店でわりと他府県ナンバーの車が次々と来てはパンを買って行き、レストランもあっという間にいっぱいになったので、私たちはゆっくり食事ができてラッキーだった。誰かあのコーヒーの真実を教えて。

バスに乗らず歩いたからこそ、さっきのレストランを見つけることができてよかったな、としばらくいくと、こんどは、大判焼きやさんが!大判焼きには裏切られたことが最近あったので、それ以来食べたくて仕方がない。今はおなかがいっぱいなのだが、とりあえず買おう、と、店内へ。大判焼き1個140円。高くないか。さっきの団子といい。味を見てみたいだけなので、ひとつだけ買うことにした。これはでも、140円の価値があるかもしれない。大きいのだ。皮の表面に出光の女の人の横顔みたいのんが入っているのも珍しい。これは団子170円より正しいと思われる(夜中ホテルにて食べたがそれでも美味しかった)。

ホテル奉仕会館

葉山を満喫して、また青い電車に乗り、泉岳寺から都営地下鉄で馬喰町へ。一旦宿にチェックインすることにする。今回の旅行はなかなか決まらなかったため、最初に目をつけていた宿が埋まってしまい、夫が早く決めてくれないばっかりに、と私は怒りを露わにしていた。その気迫に恐れおののいた夫は素早く検索し、ここどうやろう?と二人で6000円というまずまずの値段のホテルを提案してきた。もう今を逃すと本当に取れなくなると、即決。それがここ、ホテル奉仕会館だった。

奉仕会館って天理教かなんかやろうか?と若干怪しさは残るものの、背に腹は変えられない。口コミを見てもとにかくアクセスの良さが抜群、とかスタッフはとても親切、とか特に悪いことは書いていないし、セミダブルのベッドが一つで少し狭そうだけど、悪くなさそうな予想だった。はたして、馬喰町の駅から徒歩3分。奉仕会館ビルの5階にあるのがホテル奉仕会館だった。入り口の飾り付けからして只者ではない雰囲気。面白そう。入るとロビーでおばあちゃんとちょっとハーフっぽい子供が宿題をやっていた。おばさんが、お客さんよ~とフロントに声をかけると娘さんらしき人がでてきた。チェックイン予定時刻より大幅に早く来たにもかかわらず、愛想よく接してくれた。お風呂とかトイレが共同であることは好き嫌いがあるかもしれないが、お風呂に24時間入れるのも嬉しい。今日はこれから夜桜花見の約束があるので、遅くなってしまうことは確実。

冷蔵庫には謎の水入りペットボトルが冷やしてあり、どうぞお飲みくださいとある。コーヒー紅茶もロビーには置いてあるし、歯ブラシやカミソリをはじめとして、貸し出し品コーナーの充実がすごい。壁一面が棚になっていて、そこにアイロン、延長コード、電卓、パンチ、虫眼鏡、薬、ペンチ、クレ556…といるか?と思うものまで並べてある。でもなんだか親切心が伝わってほっこりする。部屋にタオルと浴衣は置いてあったし、テレビとソファも狭いながらあったので、これで6000円なら申し分ないといえる。壁が薄いので隣の声がウルサイという口コミもあったが、この日はラッキーな事に満室だったようだが、とても静かだった。フロントにはノートパソコンと知恵の輪が20種類くらい置いてあり、これをすべてクリアすると表彰してもらえるらしい。忙しくてひとつもやってみる気になれなかったが、何でまた知恵の輪なのか。にしてもこの謎は一度泊まっただけでは解明できないので、次に東京行った時にもまた泊まってみたいなと思える宿だった。

新宿駅そして夜桜花見

急遽時間を作ってくれたTちゃんと新宿で会う。夫はこのあとの花見の幹事なのでTちゃんの顔だけ見て先に行ってもらった。

私とTちゃんは、乗鞍高原のペンションでの住込バイトで一緒だった。実質一緒にいたのは数ヶ月だと思うが毎日同じ部屋で生活していたので気心が知れている。会うのは数年ぶりだが、近頃Tちゃんも私と同じく乳がんが見つかったとのことで近況をきき、お互いに大したことなくてほっとした。もうすぐ長年勤めた会社を辞めるとのことで、そしたら大阪にも遊びに来てくれるそうで楽しみ。大阪で行きたいところは京セラドームらしい。Tちゃんはプロ野球や相撲、プロレス観戦とか登山とかサーフィン、SMAPとかTDLとかなんかすごく多趣味で活動的。今日も会社は休みなのに牛タン屋さんでこれからバイト。2時間位喋って、お茶をごちそうしてくれた。急だったけど時間を作ってくれてさすが、Tちゃん。

さて、ここから次は遅れて夜桜花見会場であるスカイツリーのすぐそば隅田公園に向かう。都営地下鉄の「本所吾妻橋」で降りたかったのに、通過してしまい、「押上」駅で降りて仕方ない、桜色にライトアップされたスカイツリーを見ながら隅田公園まで急ぐ。なんか暗いけどあってんのかなと思いだした頃に公園到着。

夫が予め下調べして、隅田公園でもスカイツリー側は人混みが少ないという判断。みんな向こう岸から桜の奥にそびえるスカイツリーを見たいのだそうだ。たしかにこちらは灯台下暗しで結構暗い。夫はさすが、暗い場所をとっていた。そういう人だ。日が暮れる前から場所を決めたのでどれだけ暗いか想像できなかったらしい。集まった皆さんには申し訳ないが仕方ない。宴会はもう始まっていた。久しぶりにあったSくんは苗字が私の旧姓と同じなのでついに「大阪の姉」と言われた。「大阪の母」じゃなくてよかった。その他、夫の元同僚の方々や遅れて五反田から走ってきたというHくんも来て暗い中ではあったがお花見ができてよかった。ただ、この日は結構寒くて昼間からやばいなとは思っていたけど、本当に寒くてそれがちょっと残念ではあった。みなさんは風邪をひかなかっただろうか、私は1週間寝込みましたよ。

最後にシータで撮ってくれた写真、楽しみに待ってます(催促)。

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