オリーブのこと

初日チュニスからスースへ向かう電車の車窓から、すべてがわかった気がした。2時間半の間、ほとんどオリーブの木しか見なかった。しかも、時期とあって、ところどころ収穫風景も見られた。これで、オリーブが美味しくないわけがない、のであった。

焼きたてパンとオリーブの国のわりに、宿の朝食は、たぶん前日のパンに、機内食で出るようなジャムとマーガリン、それとコーヒーで終わりなので、食べるだけムダ。だったら、自分で美味しい焼きたてパンやオリーブを買ってくるべし、である。 オリーブは種類も豊富で、色もカラフル。どれを選んでいいのやら。感覚的には漬物に近いのか、けっこう塩が効いている。最後にチュニスの中央市場で、”Demi Sel” の表示を見つけた。減塩といったところか。これがとても美味しくて印象に残る味だった。そのあとも、オリーブ専門店で、いろいろ味見をさせてもらったら、今年の新漬けのものが苦味があるのだとわかった。しわしわの自家製古漬けも試させてもらったが、こちらは発酵が進んだような、なかなかオツな深い味だった。スーパーマーケットに売られている瓶詰めやパック詰めは、あまり買われている気配がない。たしかに量り売りがこんなにあるなら、必要な分だけ毎日買うことができるもんな。名残惜しく、バケツ型のタッパーに塩水を少し入れて詰めてもらい、袋で何重にもくるみ、お土産としてバックパックの中ほどに潜ませた。飛行機では預け荷物にするしかなかったので、かなりの冒険だったが、少しの水漏れで済んだ。そうなると、もっともっとたくさん買いたかったな…と欲がでてくるのだった。パンとオリーブは、本当にクセになる組み合わせ。