トゥクトゥクに乗る

カラフルでピカピカなトゥクトゥクが、どの街でもたくさん走っていた。スリランカではいわゆる三輪タクシーのことをスリーウィーラーと呼ぶとガイドブックには書いてあったが、現地の人はトゥクトゥクという呼び名を普通に使っているようだ。

道を歩いていると、乗るか?と運転手が勧誘してくることもたまにあるが、たいていは全然しつこくなく、要らないといったらすぐ引き下がる。私たちは「ノーサンキュー」が口癖になっていて、乗るべき場面でも、その機会を失ってしまい後悔することもあったくらいだった。

トゥクトゥク乗るときは、まず行き先を告げて値段を聞き、それに対してちょっと安い値段を提案して折り合いをつけてから乗る。ということを繰り返していたのだが、キャンディーの宿を出てバスターミナルへ向かうとき、Tが流しのトゥクトゥクを止めたと思ったら、行き先だけ言ってすぐに乗り込んだ。

今時の若者っぽいおしゃれな運転手は、走り出すやいなや音楽の音量を上げてウーファーをズン、ズンと鳴らし出す。ああ、きっと客は外国人で値段も聞いてこなかったし、「ぼれるな、ラッキー!」と思ってゴキゲンで走ってるのだろう。私は気が気でなかった。

これは文中に出てくる若者ではない別の運転手さん

バスターミナルに着いて、Tにお会計を任せて先に降りた。値段でひと悶着あるやろなーと遠目で見ていたら、あっという間にトゥクトゥクは走り去っていき、普通の顔をしたTが歩いてきた。「え?今のんいくらやったん?」と聞くと、「50Rs渡したら、それでオッケーやったよ」とのこと。なんと。これまでの最低価格であった。へぇぇーーと驚く私に「そりゃそうやろ」とT。いくら?とか先に聞くほうが素人っぽくて、何も聞かずに乗って最後に思った金額をさっと渡す方が相場を知ってると思われるらしい。初めて夫のカッコイイとこを見た気がした。というか、それはスリランカのトゥクトゥクのドライバーは、たいてい誠実で信頼できるという証拠である。

コロンボではタクシーメーターを搭載したトゥクトゥクも多く、これも明朗会計でよかった。もっと乗ったらよかったかなとも思うけど、結局バスに乗ることのほうが多かった。トゥクトゥクならどこへだって簡単に行けてしまって、面白みに欠けるからかな。しかし意外とそうでもなかった話はまた今度。

雨の中トゥクトゥク運転手目指して広場で練習(写真はバック中)