さらば食料廃棄(その1)

その2はこちら

今日のデザートは

(F)栗の渋皮煮と静岡新茶です。

(T)今年の新茶?

(F)うん。

(T)そして新栗やな。

(F)いつものお隣さんの畑の栗。今年のは小さいなぁって言うてはったけど。「今年は小さい!出来が悪い!」って。まあ毎年同じこと言うてはる気がするけど。

(T)謙遜してるんちゃう。でも栗に柿に、あと…

(F)枇杷も。恵まれてます。

(T)で、栗の渋皮煮作ったおかげでホーロー鍋が……

(F)赤く染まった。洗礼を受けたな。

今日の本は?

(T)ということで、今日も食べ物の話です。今日紹介する本は、

(F)さらば食料危機!……あ、違うわ、「さらば食料廃棄」

(T)危機と思ってた?

(F)思ってない。「さらば、食料廃棄 捨てない挑戦

」という本です。

(T)これはどこの本かと言うと……

(F)ドイツ。映画があんねんな。この本はその映画の解説書みたいな感じ?

(T)というか著者が二人いて、まずその映画の監督が映画の補足的な話を書いてるのと、もう一人はジャーナリストの人やな。

(F)うん。その二人がフォント変えて書いてあんねんな。

(T)そう、わかりやすくするために。明朝体のクロイツベルガーさんがジャーナリストで、ゴシック体のバレンティントゥルンさんが映画監督や。

(F)そこらへんは、どっちでもって感じやけど。

(T)でも二人の視点があるから、より多角的になるっていうか。

(F)二人の違いわかった?

(T)いや、うーん、はっきり覚えてないかも。まああんまり気にする必要ないかな、読む方としては。

(F)フォントまで替える必要あるんかなって。

(T)でも、突然映画の話になってもわからへんやん。

(F)あ、映画に出てこなかった話は、ジャーナリストの人が書いてるってことか。

(T)そう。別の視点というかテーマで書いてるんやな。

(F)ということで、映画の日本語版はまだやけど、ぜひたくさんの人に観てほしい映画です。……って自分が出演者みたいなコメントやけど。


映画は日本語版も公開されます

(T)映画の英語のタイトルは……

(F)「Taste the Waste(テイスト・ザ・ウエイスト)」

(T)で邦題が……

(F)「もったいない!」。ってこれちょっと前に言っちゃったやんな、ケニヤのあの人が。

(T)マータイさん。今さらって感じもちょっとするよな。本の訳者の人は「ゴミを召し上がれ」って訳してあって、この方がいいんじゃないかって気もしたけど。

(F)ほんまやなあ。

(T)それかテイスト・ザ・ウエイストのままでよかったんちゃうかな。

(F)そんなに難しい言葉じゃないし。

(T)ドイツの映画でわざわざ英語のタイトル付けてるってことは、英語でわかってねということやと思うし。

(F)でもドイツ人がわかるのと日本人がわかるのにはだいぶ差があるで。

(T)でもわざわざ英語のタイトルにしてるねんで。

(F)ウチのおとんとかおかんとか、ウエイストとか言ったらウエストのこと?っていうレベルやと思う。

(T)まあ意味は観てからわかった、ってことでもいいと思うねんけどな。

ドキュメンタリー映画「もったいない」の公式HPはこちら

ショッキングなシーン

(F)っていう映画の日本語版が、今年の秋に公開されるねんな。うちらはドイツ語版を観てみたけどな。やっぱり言葉は重要や。

(T)さすがに何言ってるかはわからへんかったな。本を読んだときのあれがこれかというのはだいたいわかるけど。

(F)でも映像で観るとショックと言うか、思わず「ああー」と言ってしまうような感じやった。

(T)何がショックやった?

(F)ほんまに商品がそのまま捨てられていってるっていうシーンが。

(T)うん。

(F)知らんかったかっていわれたら、そうでもないけど、あそこまでとは思ってなかったかな。例えば何トンものオレンジをもう梱包のままいくやん。

(T)棚から下ろして、そのまま捨てる。

(F)右から左に動かすときに、ちらっとカビがあったら「はい、これもだめ」って。すべての労力が一気に無駄になるっていうか。それが食べ物であるっていうことをもうまるで無視した捨てられ方やもんな。

(T)捨てると決めた瞬間からゴミ扱いになるわけやもんな。

食べられずに捨てられている食料の話

(T)ということで、この本はゴミの話。いやゴミっていうか、食べられずに捨てられている食料が世界では、特に先進国にはたくさんあって、それってどうなん?っていうテーマやな。

(F)うん。

(T)それだけの量があったら貧しい人、食べ物に困っている人を救えるだけの量のさらに何倍にもなるっていう話で、それをなんとかしようというのが「捨てない挑戦」ってことや。

(F)そうやな。

(T)それがどういうふうに捨てられているか、なんで捨ててるのかってっていうことを取材して、それに対して活動している人とかも紹介されてる。

(F)地球上の人類が全員食べれてる、もう食料十分ありますねんっていう状態で余りが捨てられてるっていうのやったらまだよかってんけど、そうじゃないっていうところが問題で。世界の人の何分の一やった?食べ物に困ってる人。

(T)数字は忘れたけど。

(F)結構な人がそうなんやろ? 食料が足りてない状態にある人たちがいて、一方で先進国といわれている国の有り余っている食料が捨てられてるっていうのが大っきい問題なんや。

(T)誰が考えてもおかしいけど、そういう仕組みで動いていってしまってるねんな。

(F)そこは知らん人が多すぎるんちゃう。

(T)せやな。自分らもそれほどまでとは知らんかった。

(F)意識がないねんな。

閉店間際に欲しいパンがなかったら?

(T)捨ててるっていうのは、家庭でも捨ててるしスーパーマーケットでも捨ててるねんな。

(F)家庭ゴミも多かったけど、特にやっぱりスーパーの厳しすぎる管理やな。品質管理っていうか在庫管理っていうか、要は儲かるためにやってるんやけど、棚に常に商品がいっぱい、閉店間際までいっぱいじゃないとあかんっていう。

(T)うん。

(F)それはなんでかっていうと、お客さんが「あ、自分の欲しいもんがなかった」って思ったときに、「じゃあここじゃなくて別の店に行こう」って思ってしまったら、そのお客さんを取り逃がしてしまうから、それを避けるだけのために常に商品を満タンにしておく。

(T)そやな。

(F)そこがほんまにエゴやなっていうか。

(T)それは買う人も含めてやな。

(F)だってびっくりするのは、パン屋さんで閉店間際に自分の欲しいものがなくて怒るとかさ、普通に考えたらわかるやろって思うけど。

(T)怒らなかったとしても、じゃあ隣の店に行ったら、ばーっと新しいものがきらきらと並んでたら、わーってなって。

(F)今度からこっちで買おう、って思ってしまう。

(T)新しい物が揃ってるっていうのはなんか魅力があるんや。人間の本能的に。

(F)うーん。

(T)そこに吸い寄せられるんちゃう。

(F)でもそれはこういう話を聞いて意識したら止めれることっていうか、ハタッと思って気づくことができることやから。

(T)そやな。

(F)そこらへんをみんなが知ったら行動は変わるやろな。閉店間際に欲しいパンがなくても、違うパンを買ったらいいだけなんやって。

新陳代謝の本能?

(F)あとそれが買った物の価格に結局は転嫁されてるっていうことも。

(T)でもドイツは食べ物の値段がすごく安いんやろ? それが粗末にする風潮につながってるって。調査によると、けっこう買った物をそのまま捨ててる人が多かったやん。

(F)しかもショッピングを楽しむっていうか、無意識のうちに買い物の方が重要になってて、一生懸命買い込んでは冷蔵庫に入れて。で、賞味期限をチェックして、それが切れたら「ああ、これはだめだわ」って、それを捨てる理由にしてぽんぽん捨てて。それで冷蔵庫が空っぽになったら、また楽しくショッピングに行けるって気持ちになるっていう。

(T)新陳代謝の本能みたいなもんかもしれんな。古いものを捨てて新しいものを入れたいみたいなのってあるやん?

(F)気持ちとしてはわかるわ。たしかに冷蔵庫のなかにくすぶってたものがなくなった日には、やったって感じがして、これでまた新しいフレッシュなものが買えると思うもんな。

(T)その気持ちが爆発してしまって、全部捨ててしまえ、新しいものだーっと買ってしまえ、みたいな気持ちになったらなあ。結局そういう気持ちが集まって、ああいうスーパーマーケットに反映されてるんかもしれんな。

ベストビフォーじゃなくてユーズビフォー

(F)あとは賞味期限と消費期限の違い。やっぱり賞味期限は設けるべきではないんちゃう?って話やな。あれはほんまに念には念を入れたくらいの早め早めの時期が書かれてる。でもほとんどの人は賞味期限っていうのは、そこまでしか食べられない日付と思っててそれを機に捨ててしまう。やっぱりもっと自分の舌でちゃんと確かめないと。書くんなら消費期限、ベストビフォーじゃなくてユーズビフォー。

(T)賞味期限後はもう食べられなくなるんか?ってことやんな。

(F)そう。劣化は徐々にしていってるはずやのに、賞味期限があったらその日を境に急に毒に変わるような気がしてしまうやん。

(T)とくに回転が命みたいな商品のことやんな。たぶん売る方が文句言われへんようにっていうか、それより後に食べて美味しくないとか言われても知りませんって言える時期というか。

(F)メーカーは捨てても食べても、買ってくれたらそれでオッケーやもんな。

(T)そやな。買う人も、何日後までに食べ切らんかもしらんから買うのやめとこ、とかはあんまり思わへんもんな。

(F)しかもたいていスーパーに行く人っていうのは、思ってる以上のものを念のために買ってるっていう。もしかして後で欲しくなるかもしれない、っていう理由でなぜか買ってしまうというマジック。

(T)そのへんはスーパーがどれだけ近いかとか、どれだけ買いものができるかとかとも関係してるかもしれんけど。

廃棄された食品を回収する団体

(T)そういうことで食料廃棄が多いっていう問題やけど、その廃棄をなんとかしようとする人もいるねんな。

(F)ターフェルとか?

(T)そう。廃棄された食品を回収して、貧しい人に配るNPOみたいな組織やな。

(F)日本にもあるんかな?

(T)あるみたいやで。

(F)ターフェルジャパンみたいな?

(T)いや、違う団体みたい(セカンドハーベストジャパン)。そういう動きが日本でもあるみたいやな。

その2へ続きます