日本の壱岐の海でシュノーケルの楽しさを知ってしまった私たち。スリランカでもわずか10日間の滞在のうちに2回のシュノーケリングを計画し、マイシュノーケリングセットを日本から持参していた。
その1 マータラ
早朝、散歩がてらビーチまで海の様子をチェックしに行くと、朝早いのにすでに砂浜でクリケットをして遊ぶ男の子や、デートしているカップル、海に入って遊んでいる親子連れがいた。このあたりの海で有名な、海面に突き立てられた棒に腰掛けて器用に釣りをする漁師の姿も見えた。
しかしシュノーケルに適したポイントが今ひとつわからない。普通のビーチにしか見えないのだ。しかも波が結構ある。沖のほうに目をやると、どーんと高さのある波が白いしぶきを上げている。うーん、これちょっとシュノーケルできるんかな、と首をひねりつつ宿へ戻る途中、バイクに乗った宿のオーナーが通りがかった。
「シュノーケリングするならガイドを紹介するよ。もしよかったらだけど」
たしかにガイドと一緒ならうまくポイントへ案内してくれるだろうし、もし溺れかけても助けてくれるかもしれない。まだシュノーケル初心者だし、ここは無理をせず頼んでみることにした。ガイドとしてやって来たのは、地元の高校で水泳の先生をやっているというニローシュさん39歳、独身。彼のお兄さんは日本人女性と結婚して埼玉に住んでいるという。背が高く、口数は少ないが人はよさそうな青年で、外国人には珍しく見た目より若く見える。フィンだけレンタルして、さっそくシュノーケリング開始。
トゥクトゥクでsunilゲストハウスを指定したが着いたらここだった、まぁいい。
ビーチから泳ぎ始めると、いきなりイワシのような小魚の大群に囲まれた。周りを見回すと360度、イワシしかいない。すごい数だ。あの棒の上に座った漁師はこれを釣ろうと狙っているのだろう。そのあと沖に向かって泳ぐ。ニローシュの後ろについて泳ぐと、ナマコ、ウミヘビなど、いろいろ指差して教えてくれた。
ただ沖に向かうにつれて潮の流れが強く、いくらフィンをバタバタさせてもなかなか前に進まない。かなり太ももの筋トレになった。珊瑚礁は白くなってしまっているものが多かった。
ひとしきり泳いだあと、「ウミガメ見たい?」と聞かれる。そりゃぁ見たいけど‥‥と答えると、「よし、付いて来て」と泳ぎ始めた。今までより少し深く、足の立たないところをしばらく泳いだあと、ニローシュが指差した先の海底には、おおー、ウミガメ! 感動して後方からじっと見ていると、気づかれたのか、しばらくしてふわっと浮き上がり、前足を羽のように動かし空を飛ぶようにゆっくりとどこかへ泳いでいった。ウミガメは人に見られているとだんだんプレッシャーを感じてきて、このように逃げてしまうのだそうだ。ここのビーチでは毎月、満月の前後の夜にウミガメが砂浜に上がって来て産卵するという。それも見てみたかったが、満月はちょうど一週間前に終わったばかりだった。