朝5時半起床。6時きっかりから開いている食堂というかカフェで、揚げサモサとプレーンティーの朝食をとったあと、シーギリヤロックに向かって歩く。
村は小さく、道以外はあたり一面の緑が広がっている。敷地内の車止めのゲートのそばに、年季の入ったツリーハウスがあった。警備員がひとり近くの木陰に座っていたので、「このツリーハウスは何に使うのですか?」と聞いてみると、「象を見張るためです。夜に象が遺跡に入ってこないようにするのです」とのこと。このあたりには野生の象がやっぱりいるんだ、と嬉しくなってしまった。
シーギリヤロックとは、高さ300メートルの巨大な岩山で、頂上部が平らになっており、かつての王がそこに暮らしたという。ライオンの両足をモチーフにした入り口から鉄の階段を上って頂上へ向かう。A.C.クラークの小説「楽園の泉」ではエレベーターがついていたが、現実ではまだ階段であった。
偶然にもTの妹もこのシーギリヤロックを先週激短ツアーで訪れていて、「めちゃめちゃ怖かった」と感想を述べていた。えーっとそれって、どこのことかなぁ?と思って、階段を上りながら後ろを振り向いたら、Tが固まっていた。さすが兄妹である。
確かにこの階段は怖いと感じる人もいるようで、地元の女の子もすれ違いざまに「For safety...」とか言って、私たちの腕を手すり代わりにしっかり掴みながら階段を上がっていった。Tは「この岩に道をつけるという仕事を請け負ったかつての人々のことを想像し、彼らと心を交わしながら登っていた」そうである。言い訳にしか聞こえない。
遺跡内にはあちこちに係員のおじさんが立っていて、いろいろと説明をしてくれたりする。あとでチップとか言うんじゃないかと冷や冷やしたが、1人がタバコない?と聞いてきたのを除き、誰もそんなことは言わなかった。
このシーギリヤロックの見どころのひとつは、岩の壁面に描かれたフレスコ画である。そこに至る道には、再三「フラッシュダメ」と各国語で注意を促す看板があった。にもかかわらず、私たちの後ろから来たイスラエル人カップル、壁画を見るや否や、バチバチとフラッシュ撮影。係りの人に「ノーフラッシュ!」と注意されると、「ホワイ?」と返していたのは、呆れるのを通り越して面白かった。
フラッシュだめと日本語でも表示あり
シーギリヤロックの入場料はうなぎ上りのようで、現在外国人は一人30ドル。スリランカ側もなんとなくその法外な値段設定に後ろめたさを感じるのか、よせばいいのにミニDVDがチケットのおまけで付いてくる。帰国して一応パソコンで観てみると、何度再生しても同じ場所でフリーズしてしまうのだった。