鍋に入れたまま固まってしまったビーフンのようなこの代物は、朝の食堂でよく見かけたストリングホッパーという食べ物である。スリランカにもずいぶん慣れた気になっていた5日目の朝、ついに初挑戦となった。初めてのものに挑戦するときは、たいてい値段をまず聞く。もちろんこのときも聞いてみた。ひとつ5ルピー。それがこのストリングホッパーの値段だった。春雨のような細い麺が蒸すか茹でるかされて、円形に固まった状態でガラスケースの中に陳列されている。麺には赤色と白色があり、赤は赤米、白は小麦粉で作られているそうだ。どちらも試してみたく、赤と白とひとつずつ欲しいと伝えて席に着くと、まもなくお皿に盛られた麺と、ダル(豆のカレー)が運ばれてきた。ライス&カリーのときと同じように、右手で麺をほぐしながら、ダルと混ぜて口に運ぶ。可もなく不可もなくという味。しかしこれで5Rsとは安いなと言いながら、あっというま間に平らげた。お会計の紙が机に置かれたから、その金額を見てみると、想像よりずっと高い値段が書いてある。「ちょっとこれどういうこと?」と店のおじさんに値段を再確認したら、びっくり。どうやら私たちはストリングホッパーを10個も食べたらしいのだ。麺は薄い円盤状になっているものを1つとカウントするらしく、それが赤白各5枚積み重なった山がサーブされていたわけだ。それを私たちは全部食べてしまった。スリランカの食堂では、食べ物はとりあえずたくさん出しておいて、そのうち食べた分だけを清算する仕組みになっている。オーダーしたつもりの赤白「1つ」ずつという注文は、あっけなくスルーされていたのだった。かくしてストリングホッパーはその味よりも、個数を数えるのが難しいトリッキーな食べ物として印象に刻まれたのであった。
とりあえずいろんなものが出てくるが、食べるかどうかは自由方式