SICKO(シッコ)

今日はシッコ

(F)今日は、昨日の晩観たマイケルムーアの映画『SICKO(シッコ)

』について、もう話しはじめています。マイケルムーアの作品を見るのは初めてなんかなあ。

(T)どやったかな。

(F)アテは干し柿のラム酒漬けです。まだ朝やけど、酔っ払いそうな感じや。

アメリカの医療保険の話です

(T)医療保険の話やねんな。

(F)うん。

(T)SICKOが何の略かはまだ知らんけど。

(F)あとで調べたほうがいいかもな。

(T)そやな。

(F)私が印象的やったのは、キュウキュウキュウ……

(T)キュウキュウキュウ?

(F)救急救命士の人がボランティアとしてグラウンドゼロで働いてて、砂塵とかをすごい吸い込んでたいへんな状態やのに、国は保証をしてくれないっていうことを言ってて。ボランティアするのもちゃんとした保険のシステムがないと考えもんやな、と思った。

(T)今はどうなんやろな。あの映画自体ちょっと前の映画やから。

(F)あれ以降にどうなったんか、ちょっとわからへんよな。ああいう人を救済するような仕組みができたんかどうか。

(T)まあそれもこれも、アメリカには国民の保険がないっていうことが問題であって。

(F)うん。

(T)なんも保険に入ってなくて、病気とかになったら、病院に行くのにすごいお金がかかるっていう話やった。

(F)そう。

(T)愛国的なことをしたために病気になった場合でも、保証されてない人もいる。ってことで、あの人たちの例が取り上げられてたんやろな。

知り合いの外国人の場合

(F)保険会社もなかなかあくどいよな。

(T)そやな。

(F)スターウォーズのオープニングみたいに、病気の名前がずらっと出てくるところはウケたけど。

(T)既往症のリストやな。

(F)それが半端じゃなく多いねんな。あれはすごい。

(T)前、おれの会社の同僚やった外国人が足のケガをしたときに、保険会社にカバーしてもらおうとしたらすごい突っ込まれて。

(F)それってアメリカの保険会社?

(T)たぶんアメリカベースやと思うけど、日本で営業してる外国人向けをうたってるプライベート保険。彼はそれがあるから日本の国民健康保険には入らんでええわと思っててんけど。

(F)うん。

(T)で、足傷めて手術することになって、手術したお金が戻ってくるかと思いきや、保険会社からいろいろ突っ込まれて。要は保険に入るときに、これまでかかった既往症をすべて報告せよっていう義務があったんやけど、あなたはこれは言ってないでしょ、これは言ってないでしょって言われて。だからあなたには医療費は払いませんって言ってきた。

(F)結局、出えへんかったん?

(T)彼も対抗して弁護士か法律関係の知り合いかに抗議の文書を書いてもらって、それはおかしいって反論して。すべての症状を申告するなんて不可能やってことと、申告してないものがあってもそれは今回のケガと関係ないやろっていうことを言った。

(F)うん。

(T)そしたら向こうは「じゃあ半額でどう?」とか「何パーでどうや?」とか言ってきて。

(F)意外とそんな大阪人みたいなことが起きてるねんな。

(T)少しでも払いを少なくすれば、保険会社はそのぶん利益を確保できるわけやん。

(F)なあ。支払いのことを業界用語でなんて言ってたっけ?「医療損失」やった?

(T)うん。そう言ってた。単純に売り上げと損失の差が利益やと考えたら、支払いを出来るだけ減らして…

(F)そやな。

(T)減らせば減らすほど儲けは増えるから、医療費は払いたくないっていう。その仕組みだけで動いてしまってるところが問題。

(F)そしてお医者さんも飼われてるというか。支払いを認めるかどうか判断をするお医者さんが、保険会社にいるねんな。

(T)うん。

(F)そのお医者さんは「却下」をいっぱいすればするほど、ボーナスポイントっていうか、お金がもらえる。すごい仕組みや。

(T)資本主義に忠実というか……そうすれば会社は儲かるから、貢献をしたその人にもお金が入りますよっていう理屈やな。

(F)うーん。それしかアメリカ人が保険に入る道がないっていうのがちょっと厳しい。

保険会社の方が強いって不思議じゃない?

(T)それに対して、オバマ大統領が国民皆保険制度を作ろうっていう……

(F)(ズー、ズー)

(T)鼻かんでます。

(F)(ズー)こういうのも言っといたほうがいいんかな、鼻炎がありますって。

(T)鼻炎がさっきのスターウォーズのリストに入っとったら、言わなあかん。

(F)入ってる可能性があるな。っていうか、保険会社は支払いって段になったら、ひたすら落ち度がないかを……

(T)調べる専門の人がいる。

(F)その人が映画に出てきてた。もうあまりにもひどいから辞めたって言ってたけど。

(T)辞めたからこそ、映画に出れるんかもな。

(F)お医者さんの中にも、やっぱりあまりにも良心が痛むからって、裁判で告白してた人もいたな。

(T)結局そうやって評判が悪くなることでしか、保険会社を改める方法は今のところないってことかも。

(F)にもかかわらず、映画を作った当時は保険会社は儲かってて、どんどん株価も上がっていって。

(T)うん。

(F)どういうことなんやろな? アメリカぐらいみんなが意見をはっきり言う国でも、保険会社の方が強いっていう状況ってさ、不思議じゃない?

(T)保険会社のほうが意見をはっきり言ってるんやろ。お金とともに。

(F)うーん。

(T)保険会社の意見をロビイストに託してどんどん政治家に言う。お金も政治家にあげてこれでよろしくって。

(F)それって汚職じゃないの?

(T)アメリカではオッケーなんちゃう。

(F)やっぱりアメリカには住めんな。

選択肢があったら、カナダに住む?

(F)ほんで、一方、カナダ。国境またいでカナダに行ったら医療費ただやん。

(T)そやったな。

(F)そら行くよな。

(T)実際にカナダに行ってる人が出てきてた。

(F)それもありっていう話? 住所があったらええんか。

(T)グレーなとこやな。たぶんカナダ人と結婚すればオッケーやけど、映画では内縁の夫婦っていうグレーな関係にして、それで受けさせてもらってた。

(F)アメリカかカナダかの選択肢があったら、カナダに住むな。

(T)それはまあ収入しだいなんちゃう。もし自分が大金持ちやったら……

(F)いや、今してるのはうちらの話や。大金持ちちゃうし。

(T)ああ、そっか。あとは税金との兼ね合いやな。

(F)ちょっとネットで調べたら、カナダ税金低いみたいやったで。いつの情報か確かじゃないけど消費税は5%。日本より低いやろ。それ以外の税金はわからんけど。

(T)なるほど。

(F)で、フランス、イギリスも医療費はただ。

(T)そういう国は移民をどんだけ認めてるんやろなあ。ばーっと人が入ってくることをある程度制限しないと、成り立たへんのじゃないかな。

(F)そっか。あの映画を私たちが日本人っていうのを忘れて見てるけど、いざフランスの制度ええやん、やっぱフランスやろ、と思ってフランス行ってみたら、なんでやねん、日本人は帰りなさいって言われるかもしらんってことか。

(T)行っただけでは、そうは簡単に住む権利が得られへん。

(F)でもカナダは入りやすそうやん、日本人たくさん行ってるやん?

(T)観光ビザで?

(F)観光ビザではあかん。

(T)ってことは、なんかビザとらなあかんよな。

(F)そうや。

(T)そのビザの取れる要件は刻々と変わってるはずやから、昔は日本料理店で働きますって言ったら取れたものが、もうだめになってるかもしらん。最近はもっと高学歴が求められたりするかも。

(F)伝統文化とか、この人じゃないとできひん仕事をやりますって人にだけ、ビザ認めるとか言ってたな。

(T)それプラス、もっとシビアに稼げる人っていうか、付加価値のある人。そういうところを審査する、みたいなことが何かに書いてあった。

(F)ふーん。

(T)ITのスキルとかやったかな。

(F)まあうちの国にとってあなたがメリットであれば、住む許可をあげますよってことやな。

(T)そう。日本料理とかも乱立してきて希少価値がなくなったら、それでは受け入れへんってことになるかもしらん。

(F)厳しいね。

(T)まあそういうこととセットになってるってことやな。いい仕組みは。

(F)そうやな。

キューバの医療ってどうなん?

(F)なんか船でキューバ行っとったやん? あれ行けんの? 「入れてくださーい」的なこと言うとったけど。

(T)ボートからハンドマイクでキューバに向かって叫んでるかと思ったら、気がついたらキューバの街歩いとった。

(F)アメリカ人でも普通に入れるんやろか。

(T)あのグアンタナモってどこなんやろ?。(地図を見て)あ、ここか。結構遠いな。

(F)どこ? ほーん、これはちょっと無理やな。

(T)マイアミからびゃーっと行っとったけど。

(F)1000キロくらいあるで。

(T)ほんまかな、あれ。

(F)いや、ないやろ。1000キロって、あんなかっこうで行けへんやろ。Tシャツ短パンでは。

(T)ちっちゃなボートやし。せめてこのへんやったらな(地図でアメリカに近い部分を指して)。

(F)うーん。

(T)でも、グアンタナモ行っとったもんな。

(F)なんでそこに行ったかというと、収容所に収容されてる9.11の容疑者、タリバンの人?

(T)アルカイダかな。

(F)まあビンラディンの手下とか、その関係の人をしょっぴいてきて、グアンタナモの刑務所に入れてんねんけど、そこの人のほうがアメリカで医療保険適用されへん人よりも良い医療を受けていい生活をしてる。だから「その人たちと同等でいいので医療を受けさせてくれ」ってハンドマイクで叫ぶ。

(T)うん。

(F)あそこはまあ冗談にしてもちょっとおもしろかったな。で冗談だけかと思ったら、そのあとほんまにキューバに入ってたから「行ったんや」と思って。

(T)薬とか買っとったし。

(F)買っとったなあ。「アメリカでは100ドル以上するような薬がキューバでは5セントで買える」って泣いてはったけど。

(T)うん。

(F)「買って帰りたい」って言ってはったけど、買って帰られへんのかな? それがちょっとわからへんかったけど。

(T)どうなんやろ。

(F)アメリカはいまだにキューバが世界最悪の国や、くらいのことをほんまに言うてんのかな。

(T)距離的にはめちゃめちゃ近いのに。

(F)近いからこそっていうのもあるけど。

(T)まあそのキューバの医療にもいろいろ複雑な話がある、っちゅうことをあーさんが言ってたから。

(F)そやな。続きはあーさんのキューバのブログを見て、最新情報を得ましょう。

あーさん(中村安希さん)のブログはこちら>>「安希のレポート」

(終わります)