芝生の上でダッシュして体を温めた

キューバ1対5カナダ

昼食にFが作ってくれた焼きそばを食べ、宿でWi-Fiがつながることを確認して、応募している企業の採用担当者のCさんにメールを出す。その後、外出。バスに乗って郊外にあるインターコンチネンタル球場(洲際棒球場)に向かう。ナイトゲームのキューバ対カナダ戦を観戦するためだ。 試合前、球場の外でFと同じくキューバを応援している日本人たちと会う。おもにFが日本でキューバを応援しているときに知り合った人たちで、彼らもやはり日本からわざわざ台湾までキューバの試合を見にやって来ている。 球場に入るとキューバチームがシートノックをしていた。選手のプレーを間近で見られて「おお」と思う。客はまばらで、観客席は自由に移動できる。 同じく観戦に来ていた台湾人の陳くんという大学生と知り合った。彼は外野ファールグラウンドのブルペンで練習をしているキューバの投手たちに積極的に近づいて声をかけ、サインボールをもらっていた。カナダチームのベンチ付近では日本人の男性が「バットもらっちゃいました」とうれしそうに話しかけてきた。 このグッズコレクターの男性をはじめ、キューバ野球の写真を撮っている若者、試合で「バモ!」と声を出してキューバを応援する男性、横浜ベイスターズ在籍時のグリエル選手のユニフォームを着ている男性、中南米野球に関わる仕事をしている女性など、集まっている日本人たちは濃いメンバーで、そこまでキューバに入れ込んでいない自分はちょっと気圧される。 昼間は真夏のような暑さだったので半袖で出てきたが、夜になると風が出て冷え込んできた。試合途中で寒さに耐えられず、上着か何か売っている店はないかと思っていったん球場の外に出てみたが、そんな店は見つからず、近くの公園の芝生の上でダッシュして体を温めた。 観戦中、ライトポール付近の内野席の上段に、1人でトランペットを吹いてカナダを応援している欧米人の男性が見えた。話をすると面白いかもと思って近づいてみたが、カナダ攻撃中は応援に集中していて声をかけづらく、そうこうしているうちに寒さに堪えられなくなり、その場を離れてしまった。 その後、別の人からの情報によると、彼は日本在住のカナダ人で、日本語で応援しているらしい。再び近づいて、カナダの守備の時を見計らって話しかけてみると、「大阪の岸和田に住んでいます」と言う。誰かと連絡しているらしく、休憩中もスマートフォンを触って忙しそうだ。となりで一緒に太鼓を叩いていた日本人男性の若者に話しかけてみる。 「今日たまたま知り合ったんですよ」 応援仲間かと思ったら、手伝いで一緒に応援しているのだそうだ。どうしてわざわざこの試合を観に? 「いろんな球場めぐりをしているんです。明日は斗六という場所の球場に行きます」 日本代表の試合は? 「観ません」 彼も大阪から来ているそうだ。 お腹が減ったので、唯一の屋台で売っていたアメリカンドッグを買って、空いていた取材用のテーブルの上で食べる。観客はまばらで、関係者がほとんどといった感じ。カナダの2番バッターのぺぺがホームランを打ち、試合はカナダが勝った。キューバ打線は淡白で、その魅力は伝わってこなかった。 バスで街に戻り、夕食を食べてなかったので何か食べようと思うが、もう23時過ぎで、たいして店も空いておらず、宿に帰ってフルーツを食べてシャワーを浴びて眠った。