これまで野球はやるのも観るのもまったく興味がなく、むしろ好きでないくらいだった。ところが、結婚した相手が元野球部だった。昔のつきあった人が野球部だったこともあった。いろいろと夫から話を聞きながら観戦しているうちに面白くなり、気がつけば、私は夫がいない平日にまで野球場に通うほどに野球に興味を持つようになっていた。しかし、海外にまで「野球を観るために」行くのは(イチローはシアトルで観たけど)、はじめて。
きっかけは、2015年秋に大阪で初めて行われた、WBSC主催の世界野球選手権U18(歳以下)だった。平日、ひとり豊中球場で観た、キューバVS南アフリカ。その試合前の練習。初めて見るキューバの若者(!)とくにキャッチャーの子がミットの皮紐を歯でくわえてグッと引き締めるしぐさに私は恋してしまったのだった。そこからの、キューバチーム追っかけがはじまり連日、球場に通った。
キューバを応援している雰囲気の人はほとんどいない。他の国のチームと違って日本在住で祖国の応援にかけつけるタイプの人も皆無。いるのは、逆にとてもキューバに好奇心をもっているアメリカや日本のスカウトマンたちばかり。バックネット裏でスピードガン片手にデータを取る彼らに混じって私もスコアブックをつけていた。
そんな中で確実に毎日みかける赤いTシャツ姿の2人の日本人男性。数日後に話しかけてみると、彼らもキューバ専門で写真を撮ったりしていて、選手とも知り合いになっておりキューバリーグのことなど、とにかく詳しい。そのうち「次は台湾と東京でプレミア12という世界選手権があり、それにキューバがでますよ」との情報を得た。台湾!さすがにそれは行けへん、行けて東京がやっとやろ。と冗談交じりに言っていたのに、である。私は、夫を説得勧誘の上、1年に1回の定例旅行を、この野球観戦に当ててポチっと台湾行きの格安チケットを買っていた。準決勝まで進めば今度は東京で試合がある。が、むしろ台湾へ行くのも東京に行くのも交通費的にはさほどかわらず、むしろ安いかもしれないし、滞在費に関しても台湾の方が安い。となると、もう何がなんだかわからないけど、キューバを応援しに、台湾へいくことは当然のことと思えてきたのだった。