我々はぁ~キューバをぉ~倒すのだ!

キューバ1対4台湾 朝7時ごろ起床。今日はこれまでで一番不安が少ない状態で目覚めることができた。明け方、蚊の襲来に悩まされたこと以外は問題ない感じだ。 昨日と同じ露店でコーヒーを頼むと、店主の女性が木耳ドリンクをサービスしてくれた。健康にいいらしく、これがこの店の本来の売りのようだ。 昨日は霧であたりが霞んでいたが、今日は日差しが強くて夏のよう。三佳早餐という朝ごはん屋で朝食。入り口に人が並んでいるので、きっとおいしいのだろうと入ってみた。 鹹豆漿、熱豆漿を頼む。「熱豆漿」は甘くて温かい豆乳のことで、これがデフォルト。それに対して鹹は塩、つまり「鹹豆漿」はしょっぱい豆乳という意味で、酢で半分固めた豆乳に油條などが乗せてある。その他、パイに餃子の具を入れたような葱餅などを食べる。葱餅は熱いので後回しにしていたら、Fがほとんど食べてしまった。そのため物足りなくて、あとで昨日の肉包店に行って自分だけ肉包を買って食べた。 宿に戻り、仕事。昼食はFが買ってきた素食弁当。生活パターンが定着してきた。 午後からFが野菜の種を買うべく、ホームセンターに向かう。バスを降りたはいいが、道の向かい側に渡りたいのに渡る場所がわからない。近くにいた人に訊いてみる。

「オポジット? アザーサイド?」

「アー?」

えーと、向かい側ってなんていうんだっけ。とりあえず行きたい方向を指差す。

「アー?トイメン?」

「トイメン! それ!」

対面(トイメン)は中国語だったか。

ホームセンターのあと、ナイターのキューバ戦を見に野球場へ向かう。 「蚊取り線香を買ってきてくれへん」 私、先に球場に行ってるから、とFが言う。既に野球場に向かう路線バスに乗っていたが、途中で降りて蚊取り線香を買ってこいという指令だ。 「なくてもええんちゃう」 「寝られへんで、蚊おったら」

道路沿いのドラッグストアが見えたところでバスを降りる。しかし、その店は化粧品中心で、きれいな店員のお姉さんに訊いてみたら虫除けスプレーしか売っていなかった。同じ道をしばらく歩いていると、「生活館」みたいな名前の何でも屋があり、そこで蚊取り線香を発見して買う。ただ小分けにされたものは売っておらず、30ロールのパックを手にレジに向かった。

今日の試合はキューバ対台湾戦。地元台湾チーム相手とあってチケットの入手が難しい試合だったが、キューバ応援仲間経由で入手できた。Fが先に球場に向かったのはそのためである。 球場はこれまでとは打って変わって席がぎっしり埋まり、拡声器から流れる声を先導に、全員がメガホンを振って声を出している。日本のプロ野球の外野席の応援団エリアが球場全体に広がっているようだった。観客は2万人と発表された。

でも、あのデモのアジテーションみたいなマイクの先導はどうかと思う。なんて言っているのかわからないが「我々はぁ~古巴をぉ~倒すのだ!」みたいなシュプレヒコールを挙げているように聞こえる(古巴=キューバのこと)。あと、ベンチの上のお立ち台で歌のお兄さんみたいな人たちが微妙な踊りで応援を盛り上げるのも可笑しい。 試合は、キューバのメサ監督が台湾の2番バッターをチャンスで2度も敬遠して、台湾の主砲の3番バッター林智勝との勝負を選択。1度目は抑えたが、2度目にレフトに目が覚めるようなホームランを打たれて、勝負あり。人気選手が「なめんなよ」と言わんばかりに見事リベンジを果たすという、これ以上ない展開で球場は大いに盛り上がる。 試合後、バスで市内に戻り、何か食べようと思ったがコレと言った店がなく、かなり長い距離を歩いて、前に見かけた鍋の店に行く。すでに12時を回っていたが、深夜1時までやっているらしい。 臭臭鍋を注文。1人1鍋で100元。和食の陶板焼きのように、鍋を下から温めるスタイルだ。日本のものが固形燃料を使っているのに対し、オイルにそのまま火をつけるのが台湾流で、オイルはたっぷり入っているので火力が弱まらず、いつまでもポコポコと沸騰して熱い。テレビでパリでテロがあったというニュースを横目に見ながら、フーフーと食べる。