さらば食料廃棄(その2)

その1はこちら

ゴミダイバーやってみたいわ

(F)捨てられるだけで物の持ってるイメージが急に変わってさ、それが残念やな。

(T)どういうこと?

(F)なんかゴミで料理してるとかゴミを分け与えてるとか、そういうふうに思っちゃうのが。

(T)物としては新品やのに、ゴミのコンテナから取ったっていうだけで、何か良くないものに見えてしまう。

(F)うん。

(T)ターフェルみたいな団体の人はその中でも選りすぐって、ほんまにいいものだけを選んで配ってた。それは厳し過ぎるって言って抵抗しているアフリカ人のスタッフの人もいたけど。

(F)カメルーン出身の女の人やな。

(T)あとはゴミダイバー。映画はゴミダイバーのシーンから始まっとったな。

(F)自転車で乗り付けて。マークボイルの本(ぼくはお金を使わずに生きることにした

)ではスキッピングって紹介されてたけど、わりとやってみたいわ。やってみたいなと思うねんけど、やっぱり法律が……。ドイツではあかんねんな。

(T)国によって違うみたいなことが書いてあった。ゴミを勝手に持って行ったら違法になる国とそうでないところと。

(F)そこらへんは調べればわかるんかな。

(T)ゴミダイバー自体は抗議活動っていうか、活動家、アクティビストって感じで。

(F)貧しいからやるっていうよりは、食べられるものがこんなにある、っていうことを示してる。

(T)そう。

(F)でも、あのおっきなゴミコンテナに入るには、けっこう体を鍛えなあかんな。

(T)落ちたら危ないよな。下手したら中にずどーんって。

(F)落ちてフタがガターンって閉まったら……

(T)自分がゴミや。

(F)悲劇やな。行くときは二人一組で行かなあかん。

(T)捕まる可能性もあるし。映画でも二人組やったな。

食品廃棄を家畜のエサに

(T)EUでは廃棄食品を家畜の餌にしたらあかんって決められてる。だからパン屋さんとかはせめて燃料にしようと余ったパンを燃やしたりしとった。

(F)うん。

(T)でも日本では家畜の餌にしていいねんな。実際にやってたけど。

(F)そう、何℃でどれだけ加熱っていうのをしっかりすれば、病原菌はいなくなる。しかも肉は入れないんやったかな?

(T)そう書いてたかもしれん。

(F)狂牛病とかはそれが問題やったんちゃうかった? そこは結構簡単に排除できますって日本の学者みたいな人は言っとったけど、それやったらなんでヨーロッパではそこまであかんねやろか、とは思うけど。

(T)ヨーロッパも肉入れんかったらいいんやったっけ? いやそれでもあかんのやったか。

(F)まあ燃やすとか豚にあげるとかはベストの方法じゃないけど、捨てるよりはいいよな。とくに日本は飼料自体を輸入に頼ってて値段も高いっていうことを考えたら、いいかなと思うけど。

(T)そやな。

(F)(本を見て)うん「70度に加熱する。牛には与えません」って書いてあるわ。豚には入れてるってことかな。牛用と豚用のエサを分けて作ってるってことか。

(T)結構分けるのたいへんそうやった。

(F)めちゃめちゃ手作業やったなー。

(T)最初のおじさんとか、普通にパックされたお弁当のフタをパカっと開けて、中身の食べ物だけをボックスに入れて。

(F)私プラスティックのリサイクル工場を見学に行ったことがあって、それだけでもすごい異臭と手作業にびっくりするわと思ったけど、それ以上やな。いろんな食べ物が混ざってベルトコンベアの上をわーっと流れてきてるところに、カッパ着てゴム手袋はめた人たちがずらっと並んで、流れてきたものをぐちゃぐちゃっとかき混ぜながら、異物がないかひたすらチェックしてる。あれだけの作業をして、それが豚に食べさせるエサになるっていうのが、なんか皮肉な話やな。

(T)いい餌を作るためにそうやってるんやな。いい食材が流れてきてるわけやから、材料の栄養は高そうやけど。

食育もせなあかんわ

(F)あとはもうちょっとなんかこう楽天的な話というか、ニューヨークのビルの上でハチを飼って蜂蜜取ってる人とか紹介されとったな。あれゴミとは直接関係ないやんって思ったけど。どっちかっていうと環境問題っていう感じやんな。

(T)これからのことを考えて行動する人みたいな感じかな。他にもビルの屋上菜園やってる女の人とか。

(F)うん。子供に食育するというのは日本でもやってるけど、そういう流れが出てきてるのは何もしないよりはいいことやと思う。

(T)教育が大事やっていう流れで紹介されてたんやな。都市でいろいろ取り組んでいる人は、みんなに関心を持ってもらおうとやってるわけやもんな。

(F)日本なんかまだましやと思うけど、ヨーロッパの子供でも普段自分たちが食べてるものがどこから来てるかも知らんし、どうやってできてるかも知らんし。野菜そのものも見ても何かわからへんみたいなこと言ってたし。

(T)冷凍とかパックになってるからかな?

(F)うーん、どうなんかな。ほんまにそこまでひどいもん食べてるんかはわからんけど。でも、何食べてる?って聞いたら「ジャガイモかレンジでチンのなんとか」とか言ってる男の子がいたけど、ほんまにあんな子がたくさんいるんやったら、それは食育もせなあかんわ。食育なんて昔やったらする必要がなかったっていうか、畑を手伝って家事も料理も手伝ってってやってたから、自分の食べてるもん知らんとかあり得へんかったけど、今はそこまでいってるねんな。

コミュニティ・サポーテッド・アグリカルチャー

(T)それと取り組みとして、フードコープみたいなものも。

(F)CSA、コミュニティ・サポーテッド・アグリカルチャー。

(T)それは消費者が直接農家から買うみたいなことやった?

(F)投資みたいな感じかな。消費者が直接、地域の農家に1年分の資金を前もって渡して、農家はそれに応じて作物を作りできたものを還元する。だから大根を100本とかそういう契約ではなくて、今日は人参1本、かぼちゃ1個ですよというような形で分配する。だから中間がないし無駄がない。

(T)遠くから来るものでもないし。

(F)輸送中のロスも結構あるって書いてたしな。あと冷蔵庫に入ってない時間があったから腐ってしまったとか、できたものを直接消費者に渡すことで、そういうロスがなくなる。こういうことは地域でやってるからこそできるってことで。CSAは昔は日本にもあったみたいやけど、今はないみたい。

(T)地産地消みたいな? ちょっと違うか。

(F)弱い。単に道の駅で売ってるものを買うだけでも地産地消って言ってんねんから。

(T)サポーテッドしてない。

(F)し、やっぱり大量に出荷してるから、余ってるやろし。

ヨーロッパでもきゅうりは真っすぐじゃないとあかん

(T)規格とかも厳しそうやった。

(F)ヨーロッパでもきゅうりは真っすぐじゃないとあかんって知らんかったわ。

(T)ピクルス漬けるのに曲がっとったら具合が悪いって、前に聞いたことあったけど。

(F)でもこの本には箱に入りやすいからって書いてあったな。

(T)映画であったけど、ジャガイモの大きさがきっちりこの大きさとこの大きさじゃないとだめで、その中間の大きさのものは買い取ってもらえないとか。

(F)ハート型のジャガイモもあかんねんな。

(T)そう。

(F)でもそれを後で拾いにくる人がいるっていうのはおもしろいな。農家の人もどうせ捨てるんやから、もちろん拾ってくれていいと思うって言って。でも、あんまし拾わしてくれへんところもあるんやったかな。そこらへんのケチさがなあ。

(T)今はスーパーとかも、廃棄物を人に荒らされたりしないようにしてるわけやん。

(F)鍵かけたりとかな。

オランダのスーパーのゼロ円商品

(F)あ、でもオランダやったか、いいスーパーあったな。

(T)なんやったっけ?

(F)賞味期限が2日以内に迫ってる商品を見つけたら、それは無料で持ち帰っていいっていう。

(T)それFがやったら、がんばるんちゃう?

(F)がんばると思う。でも今考えたら、私みたいな性格っていうか意識をしてる人は、気がついたらカゴに中はほとんどが割引商品なんよ。だって品質が落ちてないから。それやのに値段が安くなってるから、もちろんそっち買うやんってなる。

(T)それのゼロ円コーナーがあるみたいなものやな。

(F)そう。

(T)そこは自分の見る目があれば……

(F)そうやねん。今までは自分の中でもちょっと罪悪感っていうかかっこ悪いなっていうか。

(T)みすぼらしいていうか?

(F)「まあ、あの人、全部30%オフ商品ばっかり買ってるわ」みたいに見られてるんやろなと思っとって。全然選ばずにさっと一番上にある商品を取って行くおばさんとかを「余裕やな」って思ったりしたこともあったけど、今になれば私も先端を行ってたなと。

(T)同じ商品やったら、消費期限の早いやつを買う人はえらいよな。

(F)でも値段が同じやったら私も買わへんで。同じ値段やったらフレッシュなほうを買ってしまうから、そこは店側もどうせ廃棄になるんやったら、早め早めで割引して行くとかしないと。

(T)そやな。

(F)映画スタッフの人がお店でフルーツを買うとき「そっちのちょっと当たってるやつは割引にならないの?」って聞いたら、なりませんって断られて、じゃあそれどうするの?って聞いたら「捨てます」って言われて。すごい怒ってたたけど。

(T)でもそういうことは普通にあるやろな。

(F)売る方は新しい商品がいっぱいあるわけやから、そっちを買ってもらったら100%の値段でなわけで。1個50%でしか売れんかったら損やもんな。

(T)この前、居酒屋で1皿しか注文してないつもりが2皿来たものがあって。あれ?これ注文してませんけど、って言ったら、あ、他のところと間違ってました、ってことでそれはよかってんけど、もしあれが単純な間違いで、すいませんって厨房に持って帰って、ばーんと捨てるだけやとしたら、じゃあもう残しといてよって感じ。

(F)せやな。

(T)そういうことが日常的にあるなと。

アフリカに小麦が輸出されている

(T)今はアフリカにヨーロッパから小麦とか輸出されてるんやろ。

(F)あれも知らんかったなあ。すんごいでっかいタンカーみたいなやつで、砂かと思ったらあれ小麦やったなあ。私がアフリカ行ったとき食べたパンも……

(T)パンも行ってるし、トマト缶も。

(F)トマト缶もなあ。私がアフリカで買ったときは、モロッコとかあのへんのものやったと思ったけどなあ、スペインとか。

(T)アフリカの人は食べ物を作って先進国に売ってるけど安すぎて儲かってないんや、みたいなことを何となく思ってたけど、そういうことでもなくて大量に食べ物を輸入してるんやな。

(F)循環っていったら聞こえがいいけど、アフリカ人が作ったバナナがヨーロッパに行って、かたやヨーロッパで作った小麦の質の悪いやつがアフリカに行って。それぞれ自分とこで作ったらいいのに作られへん。

(T)そうやな。

(F)バナナも規格が厳しすぎてたいへんそうやった。あのクロネコメール便測るときの物差しみたいなやつでなあ。ちょうどそれに挟まるサイズしかあかんねんな。

(T)メール便並の厳しさ。

(F)メール便以上かもしらん。いやメール便も厳しいけど。「ちょっとの差やから負けて」って言っても、バイトの子に「いやそれはちょっと」って言われたりして。

最終回に続きます