ポースケ(その1)

今日はポースケ

(F)今日は津村記久子さんの「ポースケ

」。および、さかのぼって「ポトスライムの舟」です。

(T)えーと、一応ブックカフェということで。

(F)あ、はい。

(T)デザートは?

(F)今日は、もうモンブランの栗がなくなって、カボチャやな。カボチャのモンブランです。シフォンケーキにカボチャのクリームをのせました。

(T)カボチャやねんな、ソバージュが。

(F)前と違って、今日はほんとにソバージュっぽい。

「ポトスライムの舟」から5年後の話

(T)この本は小説やな。

(F)小説やろ、この人はほとんど。

(T)でも、たまにエッセイの本も出してる。

(F)あったっけ?

(T)「やりたいことは二度寝だけ

」とか。小説でも、どれも自分らに近いようなテーマやし、エッセイに近い感じがする。

(F)そうやねんな。まず舞台が関西っていうところからな。

(T)今回はどこやったかというと…

(F)奈良やな。

(T)奈良のとあるカフェをめぐる話よな。前に出てた「ポトスライムの舟

」っていう本の続きになってる。

(F)そうやな。

(T)「ポトスライムの舟」に出てきた人が、「ポースケ」にもまた出てくる。

(F)5年後の話って書いてたけど、そんなに開いてないよな、実際。

(T)そうかな、ウソ書かへんやろ。

(F)本の中の人にとっての5年ってこと?

(T)うーん「ポトスライム」が出たのは…(本を見ると)2009年。実際書かれたんは2008年か。で、「ポースケ」は2013年。

(F)ほんならやっぱり5年か。

(T)リアルに5年たってるんちゃう。

(F)そういうことやな。

コバタンって知ってる?

(T)印象に残ったのは?

(F)コバタン。

(T)(笑)おれもそれ思った。コバタンってなんやろ?

(F)コバタンのケンイチ。

(T)コバタンのケンイチを飼う。

(F)調べた?

(T)調べてない。手帳に「コバタン調べる」とは書いたけど。

(F)私は調べた。あんなものがコバタンって呼ばれてるなんて、知らんかった。

(T)おれも想像はできるで。

(F)九官鳥みたいなもん想像してるんやろ?

(T)うん。しゃべるって書いてあったから。かごの中にいて、言葉を覚えてしゃべる。

(F)でも、ああやって「コバタン」って書いて、どんくらいの人が知ってると思ってはるんやろ?

(T)知らなくてもおもしろいって感じちゃう?

(F)おもしろいと思って書いてはらへんかもしらんで。作者本人は知ってて当たり前と思ってるかもしれん。

(T)まあな。

(F)それとも、どうせみんなすぐ検索するやろ、と思ってはるんかな。

(T)ふふふ。まあ知らんことがあっても別にええやん。

(F)そやな。

(T)コバタンが何かわからんから、もうそれ以上読まれへん、っていうことはないから、いいんちゃうかな。

みんな博学すぎへん?

(T)おれが気になったのはウミウシ。

(F)の図鑑?

(T)うん。ていうか、コバタンとかウミウシとか2000円札とか、そういうちょっとおもしろいアイテムがさ。

(F)2000円札って、べつに全然おもしろくないやろ。

(T)おお、そこに2000円札出でてくるかー、って感じがせえへん?

(F)まあネタが細かいよな。どっからウミウシ出てきたんやろって感じはする。

(T)興味の幅が広い。外国の言葉とか。

(F)竹井さん詳しすぎひん?

(T)たしかに外国語に詳しかった。

(F)出てくる人、いろいろ詳しすぎる人多いなーと思って。

(T)(笑)

(F)ひとつのことにめっちゃ詳しい人は、たしかに現実にいないこともないけど、なんか出てくる人、アホそうでも結局博学やんっていう人が多くて。

(T)浮かない会社に入ってうまくいかへん、みたいな人でも、めっちゃいろんなこと知ってる。

(F)それはあれやろ、上司の悪口を外国語で書いてるうちに、外国語をどんどんマスターしたっていう話や。

(T)エスペラント語とかも出てきた。

(F)竹井さん、エスペラント語はまだ勉強中。でも、スペイン語とかもさらっと訳しとった。

(T)あのスペイン語の文けっこう難しいよな。しっかり読んでもわからへんかった。

(F)まあアラビア語はネットで検索しとったけど。

(T)でもアラビア語検索するには、字がわからなあかんもんな。キーボードで打てなあかんやろ。

(F)それをやったってことやんな。そこまでの根気があったら、もうちょっと会社続きそうやけど。

(T)それとこれとは別なんちゃう。

で、ポースケとは何かというと?

(T)で、ノルウェー語やな、問題の。

(F)問題の?

(T)そら問題やろ、タイトルが。

(F)あー、ポースケ。

(T)ポースケが何かというのはあえて言わへんけど。

(F)でもさっそく第一章が「ポースケって?」っていう題やったよ。

(T)え、そやった?…ほんまや、第1章「ポースケ?」って書いてある。

(F)いきなり答えやってんな。

(T)そうやな。少なくともポースケは、ぼんやりとした男の子のあだ名ではない。

(F)は?

(T)人のあだ名とかキャラとかじゃないってことや。

(F)……

私が一番なりたいのは、ヨシカやな

(F)誰にいちばん感情移入できた?

(T)うーん。

(F)Tは男やからな、全部登場人物が女子ばっかりっていうのは、どんな気持ちなんやろな。

(T)カフェをやってるのが30代の女の人で、そこにいろんな人が集まってきて…っていう話やねんな。で、それぞれの人が主人公になる章がいくつかある。

(F)こういうのなんていうんやった?……あ、オムニバスか。映画でこういうのあるよな。

(T)話の視点が変わっていく。

(F)そう。

(T)誰に感情移入したかっていうのは、おれがFに訊こうと思ったことや。

(F)私が一番なりたいのは、ヨシカやな。

(T)ほー、カフェ店主。

(F)普通やけど、なんかできそうな気がするやん。

(T)ヨシカにできるんやったら、私にも?

(F)いやそこまでヨシカが悪い人やとは思ってないけど。淡々とカフェ経営をしてるやん。

(T)さばさばしてる。

(F)そう。それがいいなと思って。でも私やったらパートのおばさんとか雇わへん。

(T)午後にパートで来てるおばさんのことやな。

(F)普通カフェやってる人はバイトの女の子は雇うことがあっても、パートのおばさんっていうのがミスマッチな感じでさ。パートのおばさんが小鉢に副菜を盛りつけてるとか……

(T)そやったな。

(F)しかもテレビあるやん? あそこほんまにカフェなんかなあと思って。どっちかと言えば喫茶店ちゃうんかな。

(T)定食も出してるから定食屋? なんて言うんやろ。

(F)昔の喫茶店みたいなさ。

(T)でもなんで、そのおばさん、とき子さんがパートになったんやろ? 書いてあったかな。

(F)書いてなかったと思う。とき子さんは旦那が仕事をリストラされて契約社員になったから、自分も働かなあかんくなった。

(T)うん。

(F)それはわかるけど。その人を採用したヨシカのその選眼はよくわからへん。

(T)Fやったらそこは……

(F)とき子さんはそんなにオシャレなおばちゃんには思えへんから。

(T)うん。

(F)やっぱり自分のお店で働いてもらう人が、そんな普通の定食屋のおばちゃんみたいやったらいややから、って思ってしまったけど。

(T)ヨシカはそこまでオシャレを追求してない。

(F)してない。オシャレも追求してないし、料理も追求してないし。

(T)そうか。

(F)まあ、紅茶はわりとこだわってたっぽかったな。紅茶と、しかもスコーンでかい、量多いみたいなところは。あれは紅茶とパンが大好きなツムキクらしい、っていうのは私の推測やけど。(注:津村記久子さんのことを勝手にツムキクと呼んでます)

(T)それと比べると、普通の食事はこだわりの、とかそういう感じじゃ…

(F)ないねんな。

(T)まあつまり、わりと普通の料理を出すっていう感じの店を舞台にした話やねんな。

ポトスライムあれこれ

(F)またポトスがちらっと出てきたな。

(T)ポトス出てきたっけ?

(F)うん。ポトスと、あと多肉植物好きじゃないと知らんような植物が出てきてた。

(T)おれはポトスライムすら知らんかったから。あの本のタイトル見たときはてっきり、ポト、なかぐろ、スライムやと思った。

(F)それは何やと思ったん?

(T)わからへん。

(F)じゃ、ポースケとおんなじやん。

(T)そう。なんやろ?って。スライムはまあ間違いないやろと。だから……

(F)ポトはポルポトみたいな。

(T)そう。

(F)ポト、スライムか。私は家にポトスがあったから、さすがに知っとったけど。

(T)もしライムポトスって書いてあったら、おれも想像できるで。ポトスっていう言葉は知ってるから。でもなんでこう ポトス、ライムって後ろから来るの?

(F)え、あれ、ほんまはライムポトスなん?

(T)いやいや、ポトスっていう種類があるとして、そのバリエーションじゃないの?

(F)そうなんかな。たしかにうちでもずっとポトスって呼んでたけど、ポトスライムとは言ってなかった。

(T)あ、それはポトスライムを略して、ポトスって言ってるってこと?

(F)だと思ってた。

(T)ああー、そういうことかもな。