使ってみたいと思っていたのだが、短い旅行には不向きということでスルーしていたのだった。Airbnbという民泊予約サイトである。
今年、くらりょこ旅行計画でふいに浮上した、「野球を観に台中にいく」と、この「Airbnb」がうまくつながった。暮らすように旅したい、にしっくりくるからだ。なぜ、野球なのか…というとこらへんは置いといて、この「Airbnb」を使ってみるっていうアイディアに突如興奮した私は、夫を差し置き、さっそく検索を開始。ものの数分で、ここしかない!というアパートを見つけだした。円安の影響もあり、台湾での宿泊は決して安くない。となると、安いところから探すってのは私たちにとっては当然のこと。そして小家(仮称)を見つけた。
どのようにAirbnbを利用するかというと、まずはメールアドレスなどを登録して自分のIDを作る。それからの検索ができるようになる。気になる宿に、自分の希望する日が空いているか聞けば、かなり早いタイミングで返事がくる。私たちは約1週間の滞在だったので、丸々空いているかどうかどきどきしながら聞いてみた。やりとりは、英語。ちょっとおっちょこちょいな感じのするオーナーだったが、なんとかうまく1週間の予約を取ることができた。
台中入り5日前。鍵の受け渡し方法を聞いてみた。昼ごろ到着予定と知らせると、「ではその頃にアパートに帰るようにします」とのことだった。しかし、その後 「ソーリー、その日は帰れないから、鍵を職場に取りに来て」とメールが。職場がどこにあるのか、と聞くと…「台中一中」。学校の先生なのであった。しかも、あの映画「KANO」に出てきて、台湾予選で嘉義農林と戦っていたあの台中一中!嬉しくなって、「行く行く」と二つ返事で了解。有名な学校なので、場所はすぐわかった。オーナーのフルネームのメモを見せ、門番に呼び出してもらうことになった。
さて、夫より1日早く台湾入りした私は、桃園国際空港から直接バスで台中駅へ。そこで台中一中を通りそうなバスに乗り、すんなり到着。結構大きな学校。中学という名前だが、日本で言うところの高校にあたるらしい。門番にオーナーの名前を見せると、すぐ電話してくれた。が、つながらず。目の前の建物を指さして「5階だ」と言うので、入ってみることにする。
エ レベーターがあってよかった。私のような人がいわゆるお客さんであって、エレベーターは私のような人のためにあるのよなぁ、きっと生徒は使用禁止だろう… と5階で降りて廊下を歩く。案の定ふつうに授業が行われており、先生がマイクをつけて廊下側、あ、こっち向きで授業してる~恥ずかしい。と超怪しいバック パッカーは各教室の先生に目を合わせて、意中の人を探すが、みんななんだろ?っていう顔をしている。そのうち、代表委員的な子がでてきて、「何か御用です か?」と。先生も出てきたのでメモを見せると、「あ~、6階か7階」的なことを言っている。ここは物分り良く怪しくないオーラを出しつつ「オッケーサン キュー」と階段でまずは6階へ。今度こそ居てくれよ、と教室を探すと、そこは美術準備室と書いてある(日本と同じだ)。果たしてそこに、オーナーの女の子 が居た。そういえばプロフィールにアートとトラベルが好きと書いていた。美術の先生だったのか。
I先生は、驚いた顔で「もしかして、あな たFUMI?」と教室から出てきて、「なんてスマートなの。どうしてここがわかった??」と言うが、あなたが指定した受け取り場所なんですけど。そして小家アパートの鍵の束をくれて、さっと説明した後「じゃ、私授業行かないといけないんで」とさわやかに敬礼して、行ってしまった。どの鍵がどれとか、ちゃんと聞きたかったけど、もう他の教室が授業始まってるところを見ると、行くべきである。
しかし、サイドビジネスに寛容な国だなぁ、日本とはえらい違う。学校に入っている私はゲストであって不審者ではないのだ。おかげで、時間はかかったけど面白い体験ができて、台中一のエリート高校の中ものぞくことができたし、いいスタートを切ることができたのだった。