学力テスト分析のための覚書
谷先生から発信のあった全国学テ情報。
勤務校にも届いていた。各教科担当が夏休み中に分析し、次の職員会議で提案される。
https://www.nier.go.jp/22chousakekkahoukoku/
国立教育政策研究所のHPから資料をダウンロードできる。
とりあえず覚書レベルのレポートを書いてみた。0からの脱却。
今日、明日と谷先生をお招きしてセミナーと合宿。
参加された先生方と共に、全国学テの話をする予定。ブレストかな。
1 『一人一台端末を文房具として』日常使いしているか
中学国語の大問1が「動画」だった。
「動画で自分のスピーチを録画して検討する」という場面設定である。
挿絵にもあるように、一人一台端末を日常的に使っていることを想定した問題になっている。これは何を意味するのか。国語の授業で「文房具のように」端末を使っているかどうかを調査する意図がある。
普段の国語の授業で、このような学習体験をしている生徒たちにとっては問題の意図を読み取りやすい。しかし、一人一台端末を普段から使っていない(教師が使わせていない)場合はイメージが全くわかない。
「生徒質問紙」にも右のように日常的な学習場面で一人一台の端末を使っていたかどうかを問うている。教科書やノートを使って学習することはもちろん、あらゆる学習場面で一人一台の端末を使っていく(使わせていく)ことが必要である。
端末を使うスキルの高さによるのではなく、このような使い方をしたことがあるかどうかの「経験差」によって正答率が変わる問題になっていることがわかる。
授業でのポイント ー指導法の工夫ー
授業の原則十か条:
第五条 所時物の原則 子どもに活動させるためには、場所と時間と物を与えよ。
国語の授業でスピーチをさせる「物」を用意する。手に何か物を持たせて話をさせる。その方が子どもは話しやすい。ショー・アンド・テルの指導である。 スピーチの型を教え、物を見せながら話す。これだけで子供たちのスピーチは良くなる。日常的に一人一台端末を手に持って、画面を見せながら話す指導の蓄積ができていれば、スピーチのポイントが体験的にわかる。
2 『一字一句 言葉にこだわる国語の授業』をしているか
中学国語の大問2が「Web編集」。
三 自分の考えが伝わる文章になるように、根拠を明確にして書く問題
正答率: 46.5 %と極めて低い結果となった。
調査結果によれば「【農林水産省 のウェブページにある資料の一部】(左資料) から情報を引用するにあたって、かぎかっこ (「 」)でくくることができていない。また、 引用箇所をかぎかっこ(「 」)でくくることは できていても、文章をそのまま抜き出すことが できていない生徒もいた。これらの生徒は引用 の仕方を正しく理解していないと考えられる。」とされている。
第一に、引用をかぎかっこ (「 」)でくくることができない。
日常的に何かを調べまとめるという作業をする。国語の授業に限ったことではない。その際、引用や出典を明記する指導をしておく必要がある。また、どこからどこまでが自分の文章なのか、どの部分は引用なのかをはっきりさせることも指導しておく必要がある。文を書くときの作法として「引用はかぎかっこ (「 」)でくくる」ことを教える。教えられていなければできない。教えられていれば当たり前にできる。
第二に、文章をそのまま抜き出すことができない。
一字一句を正確に抜き出すことは国語の基本的なスキルである。受験でも必ず必要になってくるスキルだ。正確に、書かれている通りに読み書くことを日常的な授業で教えられていなければ、大切さもわからない。
授業でのポイント ー指導法の工夫ー
レイアウトから見て「Googleドキュメント」そのものである。横書きの文章を協働編集し、コメントをつける。そのコメントに対して返信する。Googleドキュメントの基本操作だ。これをやったことがなければ(やらせていなければ)イメージがわかない。これも「能力差」ではなく「経験差」である。生徒たちは、放課後や学校以外の場所ではこのような使い方を当たり前にしている。スマホでも簡単にできる。Googleドキュメントに限ったことではない。クラウドサービスならどれでもできる。
Googleドキュメントを「共有」するだけでいい。生徒たちは直感的に操作して授業中に協働編集を始める。コピペすれば引用も正確にできる。
3 『わずか一語でもおろそかにできない』と考えるようになる授業
向山学級で、普段の国語の授業はどのように行なわれていたのか。「国語の授業が楽しくなる」(明治図書)に、貴重な「向山学級の普段の国語授業」が記録されている。数あるうちのひとつが、有名な“ かける ”の授業だ。
5年生に進級したばかりの4月、教科書にのっている「最初の教材」の「最初の一文」をあつかって授業したのが“かける”の授業である。 「国語の授業が楽しくなる」の中で、向山氏は次の文を書いている。
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同一の現象に接しても、人によって「見え方」は異なる。知的訓練 を受けていない人間の見え方は、粗く狭い。
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「『かける』とは、どういう意味ですか」という問いからはじまる授業は、まさに知的訓練だと言える。100を超える用例を列挙し、それらを次々と仲間わけ(グルーピング、分類)していく。“かける”の意味、たったこれだけで数時間にもおよぶ授業が展開され、向山学級の子ども達は、学問の方法を身につけていく。子ども達に力がついたことを証明する一文が、前掲書の中に書いてある。
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子どもが得たのは、このような「関心」「態度」「知識」だけではない。「方法」も身につけた。この後「わからない言葉」「わかったようであいまいな言葉」に出会うと、用例を次々とあげ、それを分類する方法を使うようになった。
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事実、向山学級の授業記録の中に、上記のような活動場面がいくつも描写されている。 前掲著の中で、代表的なものを取り上げるとすれば「“~みる”の授業」だ。
学問の方法が論理的かつ具体的に記されている名著に「創造の方法学(高根正昭著、講談社)」がある。出版されたのは、1979年9月だ。「“かける”の授業」が行なわれたのは、1980年4月。向山氏が5年生担任の時だ。同じ年の1980年10月には、有名な授業「社会科研究授業 日本工業地帯の分布」が行なわれている。そして、“かける”の授業で学んだ学習方法をベースにして行なわれているのが「“~みる”の授業」だ。この一連の時期が重なっているのは偶然ではない。向山氏の数々の実践がリンクしているのである。
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整理のやり方は子どもも知っている。 五年生の時、「かける」の意味調べでやったからだ。
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向山氏が意図的に活動を仕組んでいることがわかる。「“かける”の授業」
「“~みる”の授業」について、向山氏は次のように書いている。
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教室中で、数千の例文がつくられた。これを整理しなければならない。
数千の文を整理するということ、これがとりもなおさず、学問であり、
学問の方法なのである。それは、多少の知識があるなどということと
比較にならぬ力なのである。
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知識を教えるのではなく「学問の方法」を教える。向山学級では、普段の国語の授業でこのような授業がおこなれていたと言える。
「“かける”の授業」「“~みる”の授業」で、子どもたちにどんな力がついたのか。 向山氏は、次の3つをあげている。
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①「日本語について考える」ようになった。
②「言葉について今までと異なる目で見る」ようになった。
③「わずか一語でもおろそかにできない」と考えるようになった。
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「あれども見えず」という。今までに「見えなかったこと」を「見える」ようにすることが、向山学級の授業では何度も行なわれていた。 高根正昭氏は、「創造の方法学」の中で次のように書いている。
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概念の修正、さらに新しい概念の創出こそ、人間の知的創造にとって、きわめて重要な働きなのである。
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自分の身につけている知識を総動員して考えていくという学習の過程で、「学問の方法」をみにつけていく。
4 『AIの一定知識を身につける』ための データを活用した授業
理科・数学で『データ活用』の問題。
中学校の理科、数学では気象データや統計データをあつかった問題が出題された。これも今回の学力テストの特徴をしめしている。教科書で学ぶ実験や計算式を「実生活でどのように活用していくのか」を問題にしている。やや強引な状況設定ではあるものの、今までのように式に当てはめて計算するだけの能力は、これからの時代に合わないことをイメージさせている。
このようなデータや統計は「AI(人工知能)」と相性がいい。これからの時代は、国民の一人一人がAIの一定知識が必要な時代である。そうでなければAIに仕事を奪われ、AIに「使われる人」になってしまう。
授業でのポイント ー指導法の工夫ー
「Googleスプレッドシート」を使えばデータを活用した協働的な学習が簡単にできる。実験する人、データを計測する人、データを入力する人、データを編集する人など同時進行で体験できる。グラフもボタンひとつで作成できる。社会に出たとしてもすぐに役立つスキルが身につく。
5 『やっているかどうか』が試されたプログラミング教育
算数で『プログラミング』の問題。
小学校の算数で出題された「プログラミング」に関する問題。
ごくごくシンプルな問題である。教科書に掲載されている典型的な作図(正三角形)のプログラムなので「やっていれば」ほとんど問題なく正解したはずのレベルである。しかし、調査の結果を見ると想像以上に低い正答率であることがわかる。
つまり、やっていない(やらせていない)可能性が高いのではないだろうか。教科書に掲載されている、ごくごく一般的なプログラミングの問題が解けないのは極めて深刻である。
授業でのポイント ー指導法の工夫ー
それぞれの教科書会社に「デジタルコンテンツ」がついている。QRコードなどを読み取って、プログラミング教材へアクセスできる。最低限の知識や経験はデジタルコンテンツで対応できる。可能ならスクラッチなども操作させるといい。
学習用のサンプルもフリーで使えるようになっている。
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