こだわりのあるA君。
以前は、ベランダによじ登り「死んでやる」と騒いでいた子である。
だいぶ、落ち着いてきた。
ただ、やはり「こだわり」は健在である。
夏休み明けに「作品発表会」を行った。
5日前に予告をしてあった。
前日に、「習字」を持ってきていたので安心していた。
本番の5,6時間目。
作品発表→簡単な感想の流れで進めた。
感想は、出席番号で行った。
女子1番の感想は男子1番が行う。
ということで、A君も感想を言う場面になった。
他教科でも何度か立たせて読ませる場面をつくっていた。
だが、立ったまま動かない。
作品の「習字」も持っている。
でも、動かない。
気の利いた男女が側に駆け寄る。
動かない。
少し粘ったが、後回しにした。
その日は、理由は話してくれなかった。
翌日、その理由が判明した。
それは・・・
作品がちがうのである。
確かに習字も本人の作成である。
ただ、「発表したい作品」ではない。
夏休み前、担任が伝えてあった。
「一作品でいいから力作を持ってきなさい」
という言葉をしっかり覚えていたのである。
そこにこだわっていたのである。
だからこそ、それを持ってきた今日は生き生きしているのである。
友人たちもその工作に興味を示してくれる。
ただ、ここで安心はできない。
考えてみると、自分の席での発表は何度も経験している。
が、黒板前での発表経験は思い出せない。
ということで午後の発表にそなえて、練習を行うことにした。
本人に了解をとり、長休みに行った。
「作品の名前は?」
「工夫したところは?」
「苦労したところは?」
「ない」と答えることもあったが、一緒に考えた。
また、女子の作品へのコメントもまだだったので、それも聞いてみた。
すると、
「技の伝承の、技がきれいだった。」
とスッとコメントが出てきた。
「言えるじゃん。なんで。」
と聞くと、
「先生のあの時にもそう思ってました。」
と言う。
成長しているのである。
そこで、練習をして本番に挑む。
本番では、作品紹介で黒板前まで来ることができず、友人の手をかりた。
なかなか、第一声が出ず、担任から
「作品名は?」
「工夫したところは?」
と助け船を出したが、何とか発表することができた。
また、
「〇〇さん作品の感想は?」
と聞くと、
「技の伝承の、技という字がキレイに書けていました。」
と発表することができた。
「こだわりのある子へは事前の予告が必要である」
と以前、教えてもらった。
さらに、その予告には、予告したことを実行するための「練習」が必要である。
いくつものハードルがある。
・みんなの前に立つこと。
・みんなの目線が集まること。
・頭で考えたことを話すこと。
・初体験の状況であること。
それらを踏まえた「練習」が必要である。
だから、
「こだわりのある子への対応は事前予告と事前練習が必要である」
PS 意見文もなかなか書けないA君。
どうやって指導するか。
個別対応である。
「何について書きたい。」
「クライマックスはどんな場面。」
「その時、どう思った?」
「人の話を聞くと上手くいくことがあると思った?」
など、確認しながら書き進めていく。
一方的に進めてはいけない。
本人が納得しているか、手元の鉛筆の進み具合を見ながら進める。
すると、放課後、40分ほどで1枚分の意見文が仕上がった。
(もちろん、放課後行うことは事前に確認済み)