(26) 8月11日(土) 夢の島公園野球場
カキーン! 乾いた打球音を残して弾丸ライナーとなった白球がライトフェンスを軽々と越えていった。それまで0点に封じられていた鬱憤を晴らす驚愕のツーランホームラン! 殊勲の主は春の大会以降、不振にあえいでいた村上だった。
会心の打撃の余韻を味わうかのように4つのベースをゆっくりと回る村上。陶酔し切ったその表情は、選ばれた者しか到達できないアンタッチャブルな領域に足を踏み入れたことを物語っていた。オヤブン村上――この日の打撃は、もしかすると今後の大爆発を予感させるエポックメーキングな出来事になるかもしれない。それぞれに意味のあった残りの2打席を振り返ってみよう。
2年前に一度対戦して敗れている強豪ハッスルジャパンのマウンドに立つ梅澤投手は切れのいいストレートと鋭いスライダーが持ち味の好投手。しかし村上は2回に迎えた初打席で決め球のスライダーをものの見事に捉えライトへクリーンヒットを放つ。変化球に対して体を開かず引きつけて前でさばく。この打席でのバッティングがホームランへの布石だった。
さらに6回に迎えた第3打席でも、「2打席ともスライダーを打っていたので間違いなくストレートが来る」と完璧に読み切った末の鮮やかなレフト前タイムリー! この日の全打点を1人で叩き出してみせた。監督であり捕手でもある村上の打棒復活は、25日から始まるガンバロウ秋の大会に向け心強い限り。36度を記録した灼熱地獄の中、大きな収穫だったと言えよう。
試合は結果的に守備でミスが続出し、12-3と大敗した。年間90戦以上を消化する強豪ハッスルジャパンにミスをしていては勝ち目がない。しかし、ミスは修正可能だ。この日の試合で膿を出し切り、次週の南海ハーツ戦できっちりとしたビッグアプセットらしい野球をすれば大丈夫。捕手が投手へ何気なく返球するわずかのスキをついてサードランナーがホームを陥れるなど、ハッスルジャパンには高度でスキのない野球を随所に見せつけられた。しかし落ち込むことはない。野球の厳しさを学んだと思えば、敗戦も苦い良薬となるはずだ。
もちろんプラス要素もたくさんあった。センター福原、ライト熊野が魅せた超ファインプレーは最後まであきらめない精神がもたらした球際の強さだった。またアウトになったもののユニホームを泥だらけにしながら闘志あふれる果敢な走塁を魅せた福原、先制点にはつながらなかったが打ってほしいと思う場面できっちりヒットを打った山下、最終回に意地を見せ連打でチャンスを作った芝田と西村、点を奪われても冷静なピッチングで精神力の強さを発揮した楠本…。それぞれがこの暑さの中、最後まで何かをつかもうと必死で白球を追いかけ、魂のプレーを見せてくれたのだ。
相手投手はすばらしかったが、その投手から9本ものヒットを放ったのは紛れもない事実。あとはそれをいかに得点に結びつけるか。その課題を克服し、投打のバランスがきっちり取れたとき、ビッグアプセットが目指す野球は完成する。
自らを信じ、チームメートを信頼し、来週も自信を持って試合に臨もう。実りの秋は確実に近づいている。
~監督談話~
相手の容赦のない攻撃にたじたじになってしまった感じ。振りは鋭いし、ファーボール、エラーにはつけ込んでくるし、守りの弱さを露呈してしまった。自分自身も盗塁も刺せず、暴投もし、有効な指示の一つも出せず守備では反省の多い試合になってしまいました。相手が強ければ強いほど守り勝負になるのは野球の常。大会ではこの点をキチンと修正し、余計な1点を与えないという意識を持ってやりましょう。
打つ方ではオーバーフェンス、気持ち良かったです。バットを上から直線的にボールに当てる意識を持って(左手の手のひらでひっぱたく感じ)、そのまま左手の手のひらで少し押し込んだという感じでした。朴さんのアドバイスを思い出しました。こんな一打が打てると、灼熱の中、意識は最後の方、朦朧とはしましたが、皆と野球ができることの素晴らしさを改めて実感した1日となりました。
来週は熊野君の壮行試合、出欠記入未の皆さん、前向きにご検討を。また、再来週はガンバロウの1回戦の予定ですが、既に参加の難しい人も何人かおりますので、メンバー各位の積極的な参加表明、期待しております。総力戦で頑張りましょう!