(41) 12月18日(日) 潮見運動公園野球場
ビッグアプセットの今季を締めくくる最終戦は、まさに死闘、野球は筋書きのないドラマと言われるゆえんのドラマチックな試合となった。
前半戦は圧勝ペースで、前日の痛い敗戦を払拭するかのように攻撃がつながった。2回に韋駄天福原のタイムリー内野安打で1点を先制すると、3回にはレッドソックスのオルティスばりの勝負強さを見せる桜町のタイムリースリーベース、芝田の右中間タイムリーで2点。4回には、西村、朴、桜町、芝田の4連打で2点。5回にも朴のスリーランで3点と、ここまでは8-0と横綱相撲の展開。
ところが、楽勝ムードで気が緩んだのを見透かされたのか、野球の神様はビッグアプセットにまたしても辛口のストーリーを用意していた。
満を持しての登板となった先発末永は、4回まで2安打無失点とほぼ完璧に相手打線を封じていたのだが、5回に本塁打を含む長短5安打を浴び4失点。そして7回には先頭打者を四球で歩かせると、またも5安打を集中され8点差を追いつかれてしまう。しかも同点でワンアウト1、3塁とまさに絶体絶命の大ピンチ。ナインの頭に前日のサヨナラ負けの悪夢がよぎる。
しかし、2日連続でサヨナラ負けを喫していては、何の進歩もない。昨夜の熱いトークは何だったのだ!と奮い立ったナインは、まず、いったんタイムを取り内野手がマウンドに集結。1点取られれば負けなので、サードランナーを刺せる位置まで前に出て守ることを確認。こうして意思統一したのが功を奏す。
次打者の打球はセンター前に落ちるかと思われたが、タッチアップに備えて前進していた福原が好捕し、さらに素早い返球でサードランナーの本塁突入を阻止しツーアウト。そして、次打者のボテボテのサードゴロも芝田がスタートよくダッシュして華麗にさばき、送球はワンバウンドだったものの、これも桜町がガッチリ捕球し、2日連続サヨナラ負けの大ピンチを全員野球でなんとか脱した。
こうなると、ビッグアプセットは息を吹き返したも同然。延長に入った8回表、何としても出塁するぞという熊野の執念が打球に乗り移り、鮮やかなレフト前ヒットでチャンスメーク。村上も1、2塁間にゴロを転がし、あせった相手セカンドがファンブルし1、2塁のチャンス。ここで末永が自らピッチャー前に送りバント。満塁ノースリーでも打って出るわがまま末永が、犠牲バントを自ら実践する驚異の人間的成長(?)でワンアウト2、3塁としたビッグアプセットは、続く福原が執念のレフト前タイムリーで貴重な勝ち越し点をゲット。さらに敵失でなどで一気に3点を上げ、粘るウイングビートを突き放した。
接戦に弱いと言われた今シーズンだったが、はからずも圧勝ムードが追いつかれて接戦となり、そこから盛り返しての劇的な最終戦勝利は、来季へつながる貴重な体験となったのは間違いない。
また、キャッチャー村上の強肩もすさまじい印象を残した。4回、相手の快足1番がヒットで出塁し盗塁を企てたものの、矢のようなストライク送球でタッチアウト! 続く2番打者が四球で出塁すると、再度村上の肩に挑んでスチールしたものの、これまた驚異の鉄砲肩でセカンド寸前で完璧に刺してみせた。あまりの強肩にその後は出塁しても自重することが多くなり、これが勝利へ結びついたといっても過言ではなかった。
また福原も年間50盗塁の偉業を達成すれば、桜町も50打点をクリアするなど、すばらしい記録が続々誕生した。
今季41試合、19勝20敗2分の成績を残したビッグアプセットは、勝利はもちろん多くの敗戦の中から、貴重な経験という財産を得た。これをバネにチームも個人も来季はさらにレベルアップし、草野球界に名をとどろかせる最高のチームに昇華しよう!