(28) 7月29日(土) 大田スタジアム
みずほ証券を破って上げ潮ムードのビッグアプセットは、大田区1部リーグの強豪ファイヤーバードを草野球の新たな聖地「大田スタジアム」で迎え撃った。
初回いきなりの先制パンチだった。韋駄天福原がファイヤーバードの剛球エース円谷投手からレフト前ヒットを放つ。そして自慢の快足で二盗に成功すると、絶好調芝田もじっくりと球筋を見極めて、四球を選びチャンスメーク。ここで3番末永がインコースギリギリの快速球に手が出ず、今季2つめの三振を喫し、嫌なムードが漂ったが、それを救ったのが頼れる主砲山下だった。
初球はコースを小さく絞って、真っ直ぐでも変化球でも対応できるようにしている山下だが、狙い通りのコースにスライダーが来たところを、鮮やかにセンター前へ技ありのタイムリーヒット!セカンドから福原が一気に生還し、幸先のいい先取点となった。
それにしても変化球を呼び込んでの勝負強い打撃は、さすが4番にふさわしい。こういう打撃を全員が見習って、考えたバッティングができれば、強豪チームとも互角に渡り合えると確信できる打席だった。
さあしっかり守っていこう! と気合を入れた矢先、意外な強敵がいきなり仁王立ちした。2週間前のバビグリン戦の悪夢が再現されたかのように、空が一気に真っ暗になり、すさまじい雨がグランドに容赦なく降り注いだのだ。もちろん試合は中断。ベンチに引き下がったナインの心に、「また中止か」というあきらめにも似たムードが漂い始めた15分後、雨が突然降り止んだのだ。
神様は見捨てていなかった。しかもここは天下の大田スタジアムだ。マウンドと各ベースにはしっかりとシートがかけられていたので雨の影響はほとんどなく、グランドも人工芝のため水が一気に掻き出され、試合は再開された。
先発楠本は序盤ややコントロールに苦しんだものの、真っ直ぐと変化球のコンビネーションが冴えわたり、中盤からは凡打の山を築く完璧なピッチングを披露。
これに応えるように、同点で迎えた4回表には、素晴らしいプレーが飛び出した。ヒットで出塁した山下を1塁に置いて、打者楠本との間でヒットエンドランを敢行。楠本がしっかりとサードに打球を転がし、サードがファーストに送球する間に、ランナー山下は一気にセカンドを回りサードを陥れるビッグプレー。この意表をついた走塁にあわてた相手野手が悪送球する間に、山下は長駆ホームイン!まさに機動力を使った最高のプレーで、1点リードを奪った。
あとは最終回を締めれば、強豪相手に勝利となるところだったが、さすがに勝負は甘くなかった。5回裏の相手先頭打者のなんでもないショートゴロを西村がまさかの悪送球。これがファースト後方に転がる隙をつかれ、打者走者にサードまで進塁されてしまったのだ。エラーは仕方ないにしても、そのあとの処理をしっかりしていれば、
セカンドで止めておけただけに、今後の課題が露呈したといえそう。その後タイムリーが出て2-2の同点に追いつかれ、試合は惜しくも引き分けに終わってしまった。
しかし、楠本は散発3安打のナイスピッチングで、強豪相手にも臆することのないパフォーマンスを見せたし、キャチャー村上もピンチの場面でキャッチャーフライをダイビングキャッチするガッツ溢れるプレーを見せ、さらにその直後にはセカンドへ矢のような送球で相手の盗塁を完全に封じるなど、キャッチャーとしては草野球界で最高のレベルに達していることを証明してみせた。
また福原も好投手相手に2安打。しかも予想を超えるイチローばりの快足で内野安打を奪い、草野球界では最高のリードオフマンに成長したことを知らしめた。
さらに芝田も、鋭いカーブをひじをたたんで上からコンパクトに叩くスキルフルなバッティングで左中間を真っ二つに切り裂くツーベースを放ち、パワーと技術がさら高いレベルで融合していることを見せてくれた。
勝てはしなかったが、1部相手でも十分互角に戦えることはわかったので、あとは細かいプレーをしっかりとやっていけば、間違いなく強いチームに成長できるはず。秋の大会へ向けて、8月9月の試合は、各自が課題を持って着実にレベルアップしよう。実りの秋は確実に近づいている!
~監督談話~
惜しい勝ちを逃してしまった。
楠本は、強豪相手にナイスピッチングだった。ただ、私自身がキャッチャーをやっていて、ピッチャーにはどうしてもより高いレベルを求めてしまうので、試合中、試合後には楠本に対して「もっとボール球を少なく!特に打者への初球!」との注文をしたが、長い中断後でも緊張感を切らせることなく、あそこまで抑えてくれれば立派なもの。あと1点、攻撃の方で取っておきたかった・・・。
また、ヒットエンドランの場面では、打者(楠本、福原)は上手くバットコントロールして責務を果たし、更には山下の圧巻の好走塁が出て、効果的な点を奪うことができた。
最終回、今までであれば、あっさりとひっくり返されることもあり得た我チーム。負けずに粘りの守備を発揮できたことは良かった。