⑤ 2月11日(土) 城北中央公園野球場
あまりにもあっけない幕切れだった。7回裏同点で迎えた1死満塁のピンチ。空振り2つを取って追い込んだ村上が、プレートをはずした瞬間、何を思ったのか主審が「ボーク」のコール。誰もがきつねにつままれたような表情を浮かべる中、あまりにも後味の悪いサヨナラ負けとなってしまった。審判が言うには「足と一緒に手も離したのでボーク」と言い張るのだが、なぜボークなのか最後までよく分からなかった。
負けはしたものの、宿敵南海ハーツさんとの対決は白熱した好勝負。初回打撃好調の2番佐藤が三遊間を鋭く破って出塁すると、すかさず二盗を決める。続く山下がきっちり右方向にゴロを転がすと、山下の快足にあわてたセカンドがエラー。この間に佐藤が一気にホームを陥れてまず1点。2回にも楠本がヒットで出塁すると、監督村上がレフトの頭上をはるかに越える会心のタイムリースリーベースで2点目をゲット。さらに4回にも主砲櫻町のヒットを足場に、4つのフォアボールで2点と、一時は4対1とリードした。
ところが5回に落とし穴が待っていた。4回まで1安打無四球とほぼ完璧のピッチングを見せていた末永だったが、3番田中にヒット、4番高松に初めてのフォアボールを与え、無死1、2塁のピンチを招く。ここで5番筒井の打球はサード前にボテボテのゴロ。末永はサード橋爪に「ベースを踏め」と指示したが、ランナーが一瞬早くベースに到達し野選に。これで無死満塁となり、続く6番青木の打球はフラフラとセンター前にポトリと落ちるタイムリー。しかし、まだ2点差。ここで食い止めておけばよかったのだが、続く2人の打者に連続で犠牲フライを打たれ同点に追いつかれてしまった。
打線も4点は取ったものの、走者がスコアリングポジションにいる場面でポップフライを打ち上げる場面が多く、展開では押しながらもペースをつかめず、拙攻が結局は流れをこちらに引き寄せられない原因となってしまった。
前の2試合を連続サヨナラ勝ちと波に乗るかに見えたが、やはり野球は厳しい。きょうの試合で課題が山積していることが露呈しただけに、つぎは気を引き締めて試合に臨みたい。
しかし、悪いことばかりではなく、うれしい収穫もあった。同点に追いつかれた5回裏の守備、2死3塁の場面で相手打者が鋭く振りぬいたラインドライブの当たりはライトへ一直線。誰もがやられた! と思ったその瞬間、忍者のように打球に寄っていたライト大河原がジャンプ一番手を伸ばすと、打球はグラブへすっぽり!生涯最高のファインプレーでピンチを救った大河原のプレーは、まさに今季のMIP候補に挙がるのは間違いないほどの、すばらしいプレーだった。
またショート楠本も2安打に加え、守備でもスナップスローをはじめ軽快なフィールディングを披露。好守ともハイレベルなプレーを見せつけ、首位打者戦線に名乗りを上げた。
そして忘れてはならないのが人生初の4番に抜擢された橋爪。いきなり登山帽で登場したのにはびっくりしたが、プレッシャーで帽子を忘れてしまったのか。しかし、プレーは4番打者に恥じない立派なものだった。3打席目にはあわや抜けるかという痛烈なセンターライナーで存在感を放ち、最終7回ツーアウトランナーなしの場面でも、執念のショート内野安打! ムードを一気に盛り上げてくれた。次も4番で使ってみたいと間違いなく監督は思ったことだろう。
負けはしたものの、今の時期に課題が見えたのは逆に考えればよかったかもしれない。次こそは、好守にスキのないビッグアプセットらしい試合をして、大会へ弾みをつけましょう!!
~監督談話~
今日、我々が試合後Royal Hostで飲み・食事してた頃、サッカーの日本代表がアメリカと試合をし、日本は3対2と後半反撃したものの惜しくも負けてしまった。試合後のインタビューでジーコ監督は6月のワールドカップに向け、「今は色々試したい、そういう意味では今日の試合も良かった」と言い、また、宮本キャプテンも「結果は出なかったが、今の時期に(こういった試合が)できたのは良かった」と言っていた。
我々も同じだったかな、と思う。橋爪の4番・サード守備の経験、楠本・大河原の軽快な守備、初回山下の進塁打を見たのにその後ノーアウト三塁と満塁のチャンスでそれに習えなかったこと、そして私のボーク、・・・今の時期に試し、経験できたことを次の糧にするしかない。