⑮ 4月7日(土) 多摩川緑地野球場
合宿前の最後の試合、ビッグアプセットは初顔合わせのD-vendersと対戦。若干の守備の乱れはあったものの、投打がガッチリかみ合い11-4と圧勝。5連勝を飾るとともに、今季成績を11勝4敗の貯金7つとし、最高の気分で強化合宿に突入することになった。
鮮やかな先制パンチだった。じゃんけんで勝って先攻を選択した思惑通り、韋駄天福原が四球で出塁するや、2番黒田との間でランエンドヒットを敢行。これがものの見事に当たり、黒田の打球はセンター前へ。福原は当然のごとく三塁を陥れた。
さらにすかさず黒田が二盗でお膳立てすると、3番橋本がライト前へ値千金の先制タイムリー!相手の守備が乱れる間にセカンドランナーの黒田もホームインし、幸先よく2点をゲットした。
4回にはツーアウトからヒットで出塁した芝田を、5番桜町が右中間を真っ二つに破る会心のスリーベースヒットで返し、さらに続く窪田もセカンド後方へ詰まりながらも貴重なタイムリーと打線が見事につながり、4-0と序盤を完全に支配した。
リードをもらった先発楠本は緩急を織り交ぜた心憎いばかりの落ち着いたピッチングで相手打線を翻弄、3回までスコアボードに0を連ねる。ところが4回に落とし穴が待っていた。ワンアウト1、3塁のピンチを迎えたものの、楠本は低めにボールを集めるナイスピッチング。相手打者をショートゴロに打ち取ったかと思われたが、名手橋本がまさかのエラーで1点を献上。さらに次打者の何でもないサードゴロを芝田が1塁へ悪送球。2人の走者が次々にホームインして1点差に。ここでレフト前タイムリーを許し、なんと同点に追いつかれてしまった。楠本にとっては自責点0ながらあまりにも不運なイニングとなってしまった。
しかしここからが今年のビッグアプセットの真骨頂。4イニングで交代予定だった楠本のために、絶対に勝ち星をつけてやりたい――。そんなナインの思いが5回表の攻撃に結実した。エラーで出塁した2人の走者を置いて、待望の復帰を果たしたバズーカ山下が執念のセカンド内野安打でチャンスを広げると、末永が押し出しの四球でまず1点。さらにこの日打撃絶好調の佐藤肇がセンター前へ火の出るようなタイムリーを放つと、これが導火線になり福原が打撃妨害、さらに黒田、橋本、桜町がタイムリーの嵐を浴びせこのイニング怒涛の7得点を挙げ、試合を決めてしまった。
5回裏からは末永がリリーフで登板し、3イニングを2安打無四球の無失点で乗り切り、楠本の6勝目に花を添えた。先発の楠本は四球1、自責点0で早くも今季6勝目と安定した投球術にさらに磨きがかかった。
そして忘れてはならないのがキャッチャーの佐藤肇。楠本、末永の投手陣を巧みなリードと体を張ったキャッチングで盛り立て、自責点0の快投劇を見事に演出した。さらに打撃でも2安打1打点2盗塁と大活躍。この日欠場した監督村上の穴を完全に埋めるとともに、正捕手争い激化の予感を漂わせた。
また4回に乱れたものの、試合全般を通してみると守備陣の安定感は特筆モノ。特にレフト黒田、センター福原の外野陣は、俊足を生かした守備範囲の広さで何度もピッチャーを助けてくれた。大会でも外野の層の厚さは大きな武器となるだろう。
まだまだうれしいニュースはある。この日はDHのみの出場だったが、山下の復帰はチームにとって希望の光となりそう。故障した足が完璧に治れば、近いうちに必ずあの華麗な守備と勝負強い打撃を見せてくれるだろう。
打撃陣も見るべきものが多かった。特に黒田、橋本、桜町、佐藤肇の4人がマルチヒットを記録するなど上げ潮ムード。4番芝田も右へいい打球を打っていたし、どこからでもチャンスメークできる層の厚さは、大きな武器となろう。来週の合宿では投打ともにさらなるレベルアップを図り、5月の大会へ向けて最高の状態にもっていきたい。いい意味での競争もチーム内に生まれてきているし、今年は必ずや好成績を残せるはず。
若葉繁れる新緑の5月、ビッグアプセットの大輪の花が鮮やかに咲き乱れるに違いない。