⑪3月10日(土) 石神井公園野球場
強豪ゾディアックとの今季第3戦は、点を取っては取られの大激戦の末、4点リードしたビッグアプセットが7回表の相手攻撃を3点以内に抑えれば文句なしの勝利をつかめたのだが、何と何とまさかの5失点で逆転されたところで時間切れ。公式記録としては6回に遡り8対4の勝利となったが、何とも後味の悪い試合となってしまった。
2連勝で迎えたゾディアック戦は初回からビッグアプセットが主導権を握った。まず魅せてくれたのがアスリート黒田だった。ゾディアック4番山崎選手がツーアウト2塁から放ったレフト線のヒットに素早く反応。打球を捕るやいなや矢のような送球でセカンドランナーをホーム寸前タッチアウトに仕留めるレーザービームで流れを一気に引き寄せる。そしてその裏、ツーアウト1、2塁で打席に立った黒田が強振すると、打球は左中間フェンス上部の桜の木を直撃。審判は木がなかったらフェンスを越えていたと判断し、鮮やかな先制スリーランホームランとなった。
しかし歴戦の勇者ゾディアックの攻撃はしたたかだ。出塁すれば果敢に走り、ミスを誘い、そこにタイムリーを集めてくる。先発した末永は何とか踏ん張ってきたが、2回に1点を失うと、4回には3安打1四球と牽制悪送球、緩慢な内野の動きをつかれて一気に3失点し逆転されてしまった。芝田が「最近全員が試合に集中していない」と感じていたように、確かにこの日は集中力を欠いた場面がかなり見られた。集中していれば失点やムダな進塁を防げただけに、今後の課題としたい。
その一方で、攻撃は見事だった。1点を追う5回裏には、ツーアウト2塁から芝田が右中間へ鮮やかな同点タイムリー! 6回裏にはツーアウト1、3塁から末永が執念のレフト前勝ち越しタイムリー! さらに熊野、福原がダメ押しの連続タイムリー!あっという間に4点差をつけた波状攻撃は鮮やかの一言だった。特筆すべきは、この日の得点がすべてツーアウトからだったこと。残塁の多かったこれまでとは一変した集中攻撃だったと言える。
それだけに7回表の守りはいただけなかった。特にツーアウト1塁から代打の小学生にフォアボールを与えたのが致命傷。そこで緊張感がプツリと切れてしまったかのように、末永はそのあと、四球、ヒット、ヒット、ヒットとつるべ打ちされて炎上してしまった。
大相撲では「相撲で勝って勝負に負けた」とよく言われるが、この日のビッグアプセットは、「野球で負けて勝負に勝った」と言われても仕方のないような内容。攻撃では随所にいいところが出たが、チームの生命線である守りで破綻をきたしては大会で勝ち進むことは不可能に近い。
しかし自信を失うことはない。記録上ゾディアックに3連勝したのは事実だし、胸を張って17日のブルーハーツ戦に臨みたい。失敗は誰にでもある。それを次に生かせるかどうかが強いチームになれるかどうかの分かれ目だ。そしていい意味で楽天的になることも必要。7回表の悪夢を大会前に経験できたことはむしろよかったと考えたい。
昨年夏に甲子園で優勝した早実は、夏の予選前はチームがバラバラで、練習試合でも全く勝てなかった時期があるという。そこを乗り越えたからこその優勝だったのだ。そう考えれば、この日の試合にも意味が出てくる。順風満帆などくそくらえ。大きな果実を得るためには、生みの苦しみが必要なのだ……。
~監督談話~
最終回、しまりのない試合をしてしまった。何ともコメントし難い・・・。
この試合、“守り”はあまり冴えなかったが、打撃では黒ちゃんのホームラン、熊野君の好打、芝田、末永のツーアウトからの執念のタイムリーと良い面が出た。“守り”が悪いリズムに陥った時、どうやって切替えて行くかが大きな課題。なかなかうまく切替えられない自分がもどかしかった。
それにしてもゾディアックはいいチームだと改めて感じた。野球をよく知っているし、プレーのマナーが良い。また対戦させてもらって、自分らを更に高めたいものです。