イネミズゾウムシ

診断のポイント

・葉を食害する成虫は体長約3mm で、背中に黒色の斑紋がある。田植え前の時期に水田周辺の堤防、土手、畦畔のチガヤ、ススキ、ネザサなどのイネ科雑草に、イネとほぼ同様な直線状の食痕が見られる。

・生育不良の水田では、6月~7月頃株を抜き取り水中で根をよく洗うと、水面に体長8mm 程度の乳白色をした幼虫が浮上してくる。

発生生態

・普通のイネ栽培では年1回の発生である。

・畦畔、堤防、山林などの枯草や落ち葉の下などで、成虫で越冬する。

・越冬成虫は4月中旬頃から活動し、周辺のチガヤ、ススキなどのイネ科雑草の新葉を摂食するが、イネが植えられると直ちに飛来して食害する。

・越冬成虫の水田での密度が高まるのは田植え直後から6月上旬である。

・産卵は5月中旬からはじまり、水中のイネ葉鞘皮下に1ケ月以上にわた って毎日1~2卵産み続ける。卵は乳白色で大きさは約 0.8mm、卵期間は7~10 日である。

・幼虫期間は約1ケ月で大きさは約8mm。老熟した幼虫はイネの根に土繭をつくり、その中で蛹になる。蛹は乳白色で長さ約3mm、蛹期間は7~14 日である。

・新成虫は7月中旬~8月中旬に現れ、日中はイネの株元に潜んでいるが、夕方葉先に上がってくる。9月にはほとんど越冬場所に定着する。