いもち病

診断のポイント

・本病は育苗中の苗、本田での葉、節および穂に発生する。

・葉での初期病斑は円形あるいは楕円形で灰緑色ないし暗緑色水浸状である(急性型)が、後に葉脈に沿って拡大し、紡錘形ないし長菱形の褐色病斑となる(慢性型)。典型病斑の中央部には灰白色の崩壊部があり、その周囲を褐色紡錘形のえ死部が囲む。さらに外側には黄色の中毒部がみられる。健全部との境界は明瞭である。

・急性型病斑が多数形成された場合には、イネは萎縮し、坪状に生育が劣り、いわゆる「ずり込み」を生ずる。

・穂での症状は淡褐色~黒褐色の病斑が各部位に形成される。出穂後の早い時期に侵されるともみが不稔となり白穂になる。比較的遅く侵された場合でも稔実が悪くなる。

・節に発生した場合、表面が黒く、くぼんだ小斑点が現れ、のちに節全体が黒変する。病斑の拡大とともに稈は折れやすくなる。

発生生態

・本田での葉いもちの初発は 6 月下旬~7 月上旬(中山間部)、7 月中旬~下旬(平坦部)である。

・葉いもちは、20~25°Cで曇雨天が連続した場合に発生が多くなる。

・出穂期に上位の葉身に病斑が多い場合には穂いもちになりやすい。

・被害わらや保菌種子が伝染源となる。

・感染苗の放置により周囲に伝染する。