◆セントレアから那覇経由で宮古島
ANAマイレッジの消化がてら宮古島と沖縄本島に一週間旅することにした。因みにANAマイレッジは3年が経過するとマイルが消滅してしまう使い勝手の悪さがあるので、今回の消化を最後にマイルの使用期限もなく何かと使い勝手の良いユナイテッドに乗り換えることにしたのであった。もっと早く対応していれば自然消滅するマイルもなくもっと良かったのであるが。
◆輪行袋が破れる
セントレア中部国際空港での自転車の保安検査は極めて簡単で、国際線であればX線装置にかけて検査するのであるが、輪行袋を開けて目視で調べるだけの拍子抜けするほどの簡単さである。
那覇を経由して宮古島で自転車を受け取ると、輪行袋が破れ車輪の軸が突き出ているではないか。海外のキャリアーでなく国内のそれもANAだけにもっと丁寧に扱ってくれると思っていたが甘かった。乗機前に特殊荷物ゆえの免責事項を承知したとのサインをさせられているのでクレームも言えない。やはり、輪行袋はあくまでも自分で自転車を持ち運ぶためのものと心得なければならないと再認識したのであった。
◆宮古島
ホテルの事前予約もしていないので、空港内の観光協会でホテルを紹介してもらうと、電話もしてくれ、すぐに改装したてのホテルをキープしてくれた。
戸外に出ると夕方6時ちょっと前なのにまだ十分に明るい。暗かったらタクシーでホテルに向かうつもりだったが、これだけ明るいのであれば自転車で行こうと早速自転車を組み始める。
輪行袋が破れていただけにどこか壊れていたり、調子が悪くないか心配であったが全く問題ない。結構自転車って頑丈にできているものだと感心しながらホテルのある平良に向けて走る。
南の島らしく顔に当たる風も穏やかで温かい。空港から平良の街への道には広い自転車道もあるし、車道の幅員幅も十分で車が並走しても気にならなず、走りながら今回の二泊三日の宮古島サイクリングが楽しいものになる予感がしてきた。
ホテルにチェックインして駐輪場所を確認する適当に保管する場所が見つからなかったので、ダメ元で部屋で保管しても良いかと尋ねると驚くほどすんなりとOKしてくれるではないか。部屋に行くと更に驚く・・・何と部屋に洗濯機がある!ホテルに洗濯機とは初めての経験であった。
宮古島を一周すると約100kmあるが、ざっくり言うと島の南東部は比較的起伏が大きく北西部は平らな地形のようであるので、坂道が嫌いな私の計画は疲れが出る前に起伏のある来間島、うえのドイツ文化村から東平安名崎方面を走り、そこまでに余程疲れ切ったら無理せず二日がかりで走るように途中で平良に戻るものとして、行けると判断すれば池間島の突端まで走り宮古島を一日で巡ることにした。
朝8時にホテルを発ち、坂を下って先ずは平良港に向かう。フェリーターミナルを右手にして国道390号線を行くが朝のラッシュアワー?なのか車がちょっと多いように思うが、路肩も広く、並木越しに見える海をちら見しアップダウンしながら進む。
この390号線は沖縄本島からこの宮古島を経由して石垣島に至る日本最南端、最西端の国道なのである。30分もしない間に来間島の表示を見つけて390号線に別れを告げる。390号線を外れ235号線に入ると車の往来もめっきり少なくなり、まるで広い専用自転車道のようである。来間島には立派な橋が、それもサンゴ礁の美しい海のまっただ中にかかっている。
しばらく来間橋のたもとで景色を堪能し、再び235号線を東平安名崎を目指す。しかしここから岬までは私のとっては厳しい坂の連続。5%~10%程度の勾配で上っては下り、下っては上る連続が岬のたもとまで続く。景色の良い海岸沿いの道は厳しい道であった。
島の最東端の東平安名崎は美しいサンゴ礁の海に大きな岩が点々と配されている今までに見たことがないようなものであった。点々と在る大きな岩は地震で打ち上げられたもののようで、津波のすさまじい力が想像できる。
更にここからは83号線を走って池間島方面に向かうのであるが、事前の調べでこれから暫くの区間が最も急な道と覚悟をしていた。しかし、予想に反してなだらかな道が続くではないか。良い意味で予想が外れており、順調に距離を稼いで走れるではないか。
途中、海が見渡せる展望台で休憩をとっていると、地元の方が「宮古島トライアスロンの練習ですか?」と声をかけてくれ、それをきっかけに話が弾む。私にとっては十分美しい海であるが、梅雨が明けた6月の海が大いにお奨めなので、もう一度いらっしゃいと。そして甘いものが疲れに良いとオレンジを差し入れてくれる。海の景色も良いが人の心も良かった。
ほぼ予定した時間どおりに走れ、体力的にも余裕がありそうなので、一日で島を回るべくさらに池間島に向かって走る。サトウキビ畑の中を走って、海を見て走って快調に池間大橋のたもとに着く。実に美しい海が広がっている。青と白の二色のグラデーションだけで見事な景色が創造されている。
昼食は宮古島そば:橋を渡ったところのお店に入ってちょっと遅い昼食は宮古島そば。具材に豚肉とかまぼこがトッピングされた、そばというよりうどんに近い風合いのあっさりした汁麺で美味であった。
それ以上にはまったのが「さんぴん茶」だった。ここで出会ってから沖縄を離れるまで飲み物はいつも「さんぴん茶」だったが、さんぴん茶=ジャスミン茶と気づくにはそんなに時間はかからなかった。
食後、池間島には高台に灯台もあるようなので東シナ海を一望する眺めを期待して向かうが残念ながらフェンスで囲まれ入れない。せっかくの絶景がそこにありそうなのに残念であるが戻ることになった。
池間島から平良までの戻りは20km足らずであるし、そんな坂もある訳でないので楽勝のはずであったが伏兵がいた。向かい風が強く吹いている。確かに右手に見える西平安名崎の風車が勢い良く回っている。強い日差しに焦がされ、風に吹かれてヘトヘト。往路でカフェショップがあったのを思い出し、とりあえずそこまで走ってコーヒーブレークをとる。カフェショップ「茶音間」は何かバリ島の雰囲気を彷彿とさせる戸外の板敷の席が設えら、出てきたコーヒーの器もおしゃれ。聞くとシーサー作家の手作りコーヒーカップだと言う。自転車旅でなければすぐに買っていただろう。
私にはきつかったが何とか一日で宮古島を周遊できた。
二日目(伊良部島、下地島)
宮古島を一日で回ったのでこの日は那覇へのフライトまでに伊良部島、下地島を回ることにした。
8時25分発の高速フェリーで伊良部島の佐良浜港へ向かう。来年には宮古島と伊良部島間に橋が架けられるそうであるがフェリーも良いものである。余談ではあるがドイツのエルベ川では60km以上に渡って橋がなく、渡し船で両岸の道がつながっている所があった。少し不便を我慢しなければならないかも知れないが、自然を壊さないし、投資に見合わない無駄も省けると思うので
あるが……。
佐良浜港からはすぐに急坂がそれも短いけれどキツイ坂が待っている。一気に上りたかったが途中で一度休んで上り切る。家並みを抜け海の見える高台を走り、さとうきび畑の中を走る県道90号線を先ずは下地島に向けて走る。
下地島空港に突き当たる道を右折し海岸傍に出ると砂浜に大きな岩が打ちあがった佐和田の浜に行き着く。右に海、左に滑走路を眺めながら島を巡る。宮古島の海も良かったが下地の海も素晴らしい。海底によって青の濃さを変える海はいつまで見ていても飽きないし、さらさらの白砂の浜に降りるのも良かった。
よく整備された道幅は十分な広さがある上に車が少ないので、宮古島以上に走りやすかった。一点注意をしなければならないのは直射日光が強いことである。二日間半袖で走ったので顔と両腕が日焼けというよりもヤケドのようになってしまった。緯度の高いヨーロッパとは全く違いことを思い知らされた。
(走行距離 43km)