自転車旅行6.07 マドリッド

6月7日(晴れ)

in Madrid

◆モンクロアバスターミナル

マドリッド滞在の最後の日はローマ水道橋と古い街を見物にセゴビアに行くことにした。スペイン国鉄レンフェでの移動は十分楽しんだのでセゴビアにはバスで行くことに決めた。プエルタ・デ・ソルからモンクロアのバスターミナルへはグランビア通りからプリンセサ通りを街歩きを楽しみながら進む。ちょうど出勤時間と重なっので、通りにはサラリーマンやOL達が急ぎ足で職場に向かう光景が至る所で見られ、ついサラリーマン時代を思い出す。

小一時間歩くと通りの中央にモンクロアのランドマークである四頭立ての馬車に乗る戦士を冠した勝利の門が見えて来る。

モンクロアバスターミナルの目と鼻の先にある勝利の門とターミナル内部

設けられた地下のバスターミナルに行くと多くの通勤客でごった返している。しかし、観光客は全く見られないしバスも市内を走るようなものばかりが入って来る。じっくり見ているととターミナルナンバーは300百番台ばかり。どうも他にもターミナルがありそうなので探すとやはりセゴビアのような郊外行きは他にあると気付き、移動しやっとセゴビア行きの表示を見つけ一安心。

時刻表を見ると未だ出発まで時間があるが列の先頭に立っていると、品の良いおばあさんがセゴビアに行くのかと聞いてきた。そうだと答えると更に切符は持っているかと流ちょうで分かり易く尋ねてくる。車内で運転手から買うつもりだと言うと事前に切符を買わないといけないのだと別の階にある切符売り場まで連れて行ってくれる。親切な方だ。

このおばあさんもセゴビアのお友達を尋ね数日滞在してお話を楽しむのだとにこやかに話してくれる。

◆セゴビア観光

広がる景色を楽しみながら1時間5分でセゴビアに着く。古くはケルト人が定住していたというセゴビアには古都というイメージを持っていたがバスターミナル周辺は新市街地のようで想像とは違っている。両側に土産物屋やレストランが並ぶ大通りの右カーブを回ると、突然目の前に二段になった石造りのアーチが見えてくる。紀元一世紀頃にローマ帝国が水インフラを確保するために遠くの川から導水したものだと言う。28mの高さの水道橋は近づくほど見上げなければならない程高く左右に続いている。遥か2000年近く前に造られたとは全く思えないものである。さらに、階段を上がって上から見ると全体が見通せ、増々そのスケールの大きさが実感された。

紀元前一世紀に作られたセゴビア水道橋のスケールはスペイン随一

上り切った水道橋の袂からは旧市街観光へ行ける。標識に従って細い街路を抜けるとマヨ―ル広場に出る。そして広場の向こうには威風堂々たるカテドラルが見える。日差しも厳しいので広場の一角のカフェで、16世紀に着工し18世紀中頃に完成した”カテドラルの貴婦人”と称される優雅なカテドラルを眺めてゆったりとした時間を過ごす。

涼しいひと時を過ごして再び歩き始め街の端にあるアルカサス見物に向かう。アルカサスとはアラビア語の宮殿や砦を語源にしたスペイン語で城を意味するものだそうだ。街に面した側には屋上に旗を掲げた四角い箱型の高層の建物と両側に黒い丸屋根を持った尖塔が配備された形態で、今までに色々な城をヨーロッパ各地で見てきたが初めてのものだった。もっともエレスマ川に面した側から見るアルカサスは崖の上の要塞のように見えエレガントに難攻不落という要塞の要件を兼ね備えたものだったに違いないと思い耽った。

マヨ―ル広場でゆっくりお茶しながら見るセゴビア大聖堂は薄い黄色っぽい石造りで優雅な姿をしていた。

カテドラルとアルカサスを見物した後は城壁に沿っての散策。城の外を眺めると真っ青な空の下に点在する小さな集落と茶色い痩せて見える土地と少しだけの緑なだらかな丘陵が続く。塀に沿って細い道を歩いて行くと道は二股に分かれ左側の上り坂と右側に門を備えた下り坂に分岐しその間に小さな四階建ての住居が現れてきた。シンメトリーな構造でなく自然の地形を生かした歴史ある街の景色である。せっかくだから手前のバルで軽食を兼ねて眺める。食べ終えて門を潜ると右手は城壁になっており、階段が付いていたので興味津々城壁に昇ろうと試みるが残念ながら途中で閉鎖されていた。

ソコロ広場が分岐したところにある城塞脇のソル門は味わい深い雰囲気があった。

◆お土産ショッピング

セゴビアから戻って明日の帰国に備えてお土産の買い出しに出かける。いつの旅でもお土産以外には全くと言って良いほど何も買わないので旅の最中にはショッピングに出ることも時間を割くこともないがお土産の買い出しだけは別である。そして買う物はほとんどその国らしい食品で、地元のスーパーや百貨店で購入する。空港売店にもあらゆる種類のお土産品が取り揃い、煌びやかなパッケージをまとって並んでいるが、空港にある商品の多くは薄っぺらい中身にもかかわらず、べらぼうに高い価格設定がされているので買うことはない。

選ぶ基準は出来るだけ軽くて、嵩張らず、その国らしい特徴のあるものを二つのサイドバッグとコンパクトなザックに入るだけの量を、ギフトの贈り先と好みの品をリストにして、既に女房からの指令で指定されているものを中心に求める。

今回は品揃えがよく、近くて便利な百貨店の”エル コンテ イングレス”で買ったら良いと既に連絡が来ている。確かに太陽の門広場のすぐ先なので便利。トゥーロン、無花果などのドライフルーツ、スペインメーカーのチョコレートや紅茶、スパイスなどなど買いまくる。

買い出しを終えてペンションに戻るとパッキング。先ずナップザックがパンパンに膨れ上がるほど詰め込み、残りを二つのバッグにこれでもかと押し込み、隙間を作って上から押し込む。バッグとザックを持ってみるとずっしり重い。

自転車旅行6.08~9 マドリッド⇒名古屋