自転車旅行9.08 サンクト・アントン・アム・アールベルク⇒エッタール

9月8日(晴れ)

from St. Anton am Arlberg to Otztal

◆朝のアールベルク

昼食用にサンドイッチを作りたいが余りにお客が少な過ぎるので、この日はオーナ婦人に事前に了解をもらって作ることにした。快く了解してくれたので胡麻の付いた細長いパンにバターを塗りたっぷりのハム、ソーセージやチーズを詰めて作り、紙ナプキンに挟んで完成。携行食としてナッツ、レーズンやウエハースを持っているので、どんな田舎を動いても問題なく準備を済ます。外に出るとアールベルクの朝は冷たく澄み切った空気で清々しい。ホテルの裏の道を行くとすぐに高台に出られる。出発前に歩いて高台に登りアームベルクの街の景色を眺める。街の南側は間近まで木々に覆われた山が迫り、その奥には高い山々が見える。北側も山が迫っているが、山腹にはスキースキーリフトやゴンドラの張り巡らされている。オフシーズンなので人はいないが冬になれば多くの人で賑わう様子が目に浮かぶ。

静けさに包まれた朝のアールベルクの街

◆イン川サイクリングのスタート

ここからインスブルックを経てドイツのプリーン方面に向けて約200kmをアルプスの絶景を見ながらのイン川沿いサイクリングの始まりである。アルプスの景観だけでなくプリーンに向けて800m以上も標高が下がるという坂嫌いには何とも嬉しいコースでもある。街を出るとすぐに幹線道に合流する。ちょうど朝のラッシュアワーとぶつかって交通量が多い。車を嫌ってイン川沿いのダート道に入るとひんやりとした空気の中、四方には朝日に輝く山々が見え、贅沢なことにそんな中を走る。下りも多いのでスピードが出すぎ転倒の恐れもあるのでブレーキをかけながら進む。至る所が格好の写真スポットなので進捗は遅い。暫く行くとダート道も途切れたので元の幹線道に戻るとラッシュも過ぎたことと多くの車が並走する高速道に入ったので気持ち良く走れる。途中に通った名前も知らない小さな村も美しい風情がある。家の前は花で飾られ壁にはフレスコ画が描かれ静かに佇んでいる姿は観光地ではないが良いものを観た気持ちになった。

アールベルクからイン川沿いに走る道はどこを見ても絵葉書になりそうなチロルの景色が望める。

◆調子に乗りすぎて道を間違う

シュトレンゲンを過ぎると下り勾配がきつくなり、漕がないでもぐんぐんスピードが増し、行き交う車が少ないことも相まって本当に気分よく走れる。すると道は下ったまま左右に分岐している。余り考えることもなく右と決め切ってカーブに沿って下って行くと、山が間近に迫り日陰が続くように変化する。ちょっと調子に乗り過ぎ後続のYajiさんを待つがいくら待っても来ない。何かがおかしいと感じ取り敢えず分岐点まで戻ろうと走り出すとYajiさんが走って来る。そして道が違うと!やってしまった!Yajiさんにお詫びしつつ道を戻り再びイン川沿いの道に戻った。

その後も大自然の中を変化に富んだ景色を愛でながら進む。イン川沿いに道は時々ダートになったり驚くほどの急傾斜にもなったがストレスなく走れる。エッタールに近づくと水着にライフジャケット姿の若者たちが、自然をそのまま生かしてコース設定したイン川でのラフティングを楽しんでいる。

山に沿って走る急坂を見違って下ったこともあったが、景色の良さに疲れは感じない。

◆間近で見るといっそう荒々しいアルプスの山

泊まりはエッタールの駅前にあるガストホフにとった。何も特徴のない宿であったが、嬉しいことに部屋からアルプスの山の連なりが間近に見える。直線距離にして2kmほどの距離にある山は殆ど山頂近くまで浸食され、地肌が鋭利に切り立ち樹木が生える余地もない。そして崩れ落ちた岩が山裾の下半分にうず高く積もっている。スケールは違うがまるで蟻地獄に捉まって蟻が逃げようと斜面を登っても崩れ落ちてしまうかのようでスケールの大きな蟻地獄を見る思いであった。(走行距離 67km)

エッタール近くで道は少しの区間だけ厳しくなってきた。

間近で見るアルプスの山肌はがれており、崩れた岩が山裾に溜まっている。

自転車旅行9.09 エッタール⇒インスブルック