自転車旅行8.14 ライナウ⇒ラウフェンブルク(ドイツ)
8月14日(晴れのち曇り)
◆自転車担いで山登り
朝8時にルート「R2」に沿って走り出すが、連日の疲れが蓄積したせいか、坂が多いためかどうも体が重い。
*「R2」とは例えて言うと県道〇号線といったもので、Rがついているのは自転車道であり、ドイツだけでなくヨーロッパ各国の主要なサイクリング道路に付番されているもの。
しばらく走ると「R2」は山に向かって伸び、上り坂が続いているようで、正直走りたくない気分。
他に道はないかと地図を確認するとライン川に沿って集落を抜けて行く道があるではないか。
経験上、川沿いであればまず起伏は少ないこととから迷わず裏道を選んだが、大間違い!だった。
裏道は先に行くに従ってダート道になった挙句に、どんどん細くなって行く。 はたして道は大丈夫なのかと心細くなった時、幸い散歩している爺さんに会ったのでこの先行けるかと尋ねると、行けるし、この先見晴らしの良いところ?があると言う。
それではと更に先に行くがついにライン川の岸で行き止まり!になってしまった。
すると、そこには金属板と金槌があり、向こう岸に渡りたいのであれば金属板を打ち鳴らして渡船を呼べとあるので、鳴らすが船が来る気配は全くない。 本当に爺さんといい、表示といい頼りにならないと恨めしくなるが戻るしかない。
途中まで戻ると川から離れてゆく分岐道の案内板があり、ちょっと上るようだが抜けて行けるようなので、さっき来た遠い集落まで延々と戻るよりは余程ましだと考え選択した。
迷い込んだ道で思わす見とれたライン川の景観
しかし、しかし道は細くなり、ついには板で土止めしただけの細い階段になってしまった。
踏んだり蹴ったりだが、ここまで来て戻るのも癪だと思って取りあえず空身で階段を上ってみると段丘の上にある農道に出ることが分った。
戻って今度は自転車とサドルバックを別々に持ち上げて階段を往復し、やっとのおもいで道に出た。
まさかサイクリングの途中で山を登るとは思わなかっただけに今でも強烈な記憶だし、迷った時の鉄則はもとに戻ることと思い知らされた。
予期せぬ山登りでヘトヘトになったので上の集落で見つけた素朴なカフェでしばし休憩することになりNobさんとゆっくりくつろぐ。
お茶する話題は今しがたの辛い辛い?経験であるが、終わってしまえば笑い話でゲラゲラと大笑い。本当に強烈な印象であった。
◆「あーーっ!」パスポートがない
しかし、思わぬハプニングは続くものである。
走り出すと直ぐに突然Nobさんが「あーーっ」と叫ぶ。
体をあちこち触り何かを探している。
何とパスポート、日本円などの貴重品を入れた腹巻をそのままそっくり昨夜のガストホフ サルモンに忘れたと言うではないか。
これは一大事と。
それでも、さすがNobさんのこと、すぐに冷静になり、タクシーか電車で取りに戻ると言う。
地図を見るとガストホフ サルモンは駅から遠いので最寄のエーグリーザウ駅まで行き、タクシーを探すことにしたが、何せ小さな駅で客待ちのタクシーはいない。
探しようもないので居合わせた人に事情を話しタクシーを呼んでもらう。
親切!な人達で嫌な顔もせずにすぐに電話してくれた。
タクシードライバーに行き先を伝えNobさんは出発し、私は駅前のカフェで待つことになった。
待つこと一時間半、ほっとした笑顔のNobさんが無事に帰還し、聞くと腹巻は部屋掃除の前でそのままあったとのこと。
エーグリーザウのカフェにて
そして、帰る途中にスイス入国時に警察官からパスポート検問を受けたとのことであった。
スイス、ドイツ、スイス、ドイツ・・・と国境が目まぐるしく変わるエリアだけに検問は何の不思議もないが、行く途中でなくて良かった。
スイスからEUへの検問は易しいが、逆のEUからスイスへは厳しいので、Nobさんは英語が苦手な上にパスポート不携帯であり、もし行きに検問されていたらどうなっていたであろうか?
◆口角泡ならぬパンくずを飛ばすスイス人
付け加えるに待っている時、私は変なスイス人に楽しく?つかまっていた。
仕事で何度も日本に行ったことがあるという70過ぎのお爺さんが話しかけてきた。
初めの日本語のあいさつは「こ(ん)にちは」であったが、その後は英語でまくし立てる。
話すのは構わないが、話す度に、口からパンくずみたいなものを飛ばす。
PやBなどの破裂音をしゃべる時には尋常じゃない力強さで発音するので、次から次へとお構いなしに口の中から飛んでくる。
服に、顔に、眼鏡に無数のパンくずをペチャペチャ飛ばし散らしてくる。
そして、去る時にはひとこと日本語で「神のご加護を」と。
今晩の泊まりはドイツ・ラウフェンブルク。
ライン川沿いの国境の小さな街で派手さはないがしっとりと落ち着いた雰囲気で、この街もライン川を越えるとゼンホーフというスイスの街という国境の街であった。波乱万丈の一日も静かに更けていった。