9月6日(晴れ)
in Reichenau
◆ウンター湖周遊ポタリング
ライヒュナウ島に滞在し空身で島を囲むウンター湖を走ることにした。ドイツとスイス二か国の湖畔周遊は楽しい一日になった。
連泊二日目はライヒェナウ島が浮かぶウンター湖を“どこまで走ろうか?”と、これといって目的地を決めずに好天の中で景色を楽しみながらのんびりとポタリングして回ることにした。余分な荷物もペンションに置いてあるので、パンクに備えた修理道具と飲料水だけという軽い出で立ちで出かける。島を出て湖畔北側の一般道は交通量も多くないし、一歩細道に入ればウンター湖が一望できる住宅街に出る。もちろんその中央には今しがた渡ってきたライヒュナウ島が見える。
ウンター湖の北岸からライヒュナウ島を眺める。島の西橋には昨日行った聖ペーター・パウル教会も見通せる。
快適に走る道にはユーロヴェロ6号線の支線を示す表示板もある。ライヒェナウ島の西端に正対するアレンスバッハ辺りまで来ると昨日行った島の先端にある教会、聖ペーター・パウルの二本の尖塔がはっきりと見えてくる。ウンター湖畔にはラードルフツェル以外にはこれといった大きな街はないが、走っていると家の軒先にカラフルな野菜や香草とお金を投入する小さな金庫が置かれた無人販売があったり、道路を跨いで繋がった築400年以上の木組みの四つ星ホテルがあったりと飽きさせない。また、気ままな走りなので途中で湖に面した緑地でコーヒーブレークをしてゆっくりとを楽しむ。
また、途中立ち寄ったラードルフツェルの商店街を自転車を引いて歩いていると、紫のアーティーチョーク、鮮やかな黄色のズッキーニや珍しい色と形をしたカボチャが置いてある八百屋があった。さまざまな形のカボチャに興味がわき見ていると、品の良い老婦人がオレンジのカボチャを指さし“ホッカイドウ、ホッカイドウ”と言う。そしてこちらが分からないとみると人を呼んで説明させる。聞くとこれは日本から来たカボチャでヨーロッパでは一般的だとのことだった。まさかラードルフツェルの店先で日本由来のカボチャについての話を聞くとは思いもしなかった。
オレンジ色のカボチャは”ホッカイドー”だと教えられる。
ユーロヴェロ6号の支線のひとつを示す標識。ラードルフ・ツェルの街中
◆“ラインの宝石”シュタイン・アム・ライン
ルート計画もなく気ままに走るだけのポタリングなのでシュタイン・アム・ラインまではたどり着かないと思っていたが、途中でやっぱり何とか行きたいと思いシュタイン・アム・ラインまで走り、そこでUターンすることにした。
シュタイン・アム・ラインはライン川に面したスイスの本当に小さな中世然とした街で別名”ラインの宝石”と呼ばれており、通りに面した建物は精緻でカラフルなフレスコ画や富の象徴だった出窓で美しく装飾されている。そんな美しい街を見に実に多くの観光客が街に溢れている。暑い中走ってきた私たちも建物の影に入った涼しいテーブル席でアイスクリームを食べながら街を眺める。
”ラインの宝石”とよばれるだけあってシュタイン・アム・ラインは小さくても中世の匂いが感じられる素晴らしい街である。壁面のフレスコ画と出窓が往時の栄華を競ったことを物語っている。
帰り道はライン川を越えてウンター湖の南岸を行くのであるが、街からライン川に架かる橋に行くまでには交互片側通行でしか行けない狭い部分があり、信号でコントロールされている。実はここには思い出があった。6年前Nobさんと走った時にコンスタンツからユーロヴェロ6号線の本線をライン大滝があるシャウハウゼンに向かう途中で立ち寄ったが、その時にこの信号を無視して街に入ろうとしたNobさんが対向の車から怒られた思い出があり、思わず思い出してしまう笑いしかなかった。
街の南側をウンター湖から続くライン川が流れており、後ろの山の頂にはホーエンクリンゲン城が見える。
◆何もなくても贅沢な散策
ウンター湖周遊ポタリングから戻ってから散策に出る。前日中に世界遺産の三教会など定番の観光ポイントは巡ったので、宿の目の前の島一番の高みに歩くことにした。野菜やブドウの畑に草を食む馬たちが放たれたまき場の間を抜け、ちょっとした丘を登り上がると、頂上にはぽつんと風変わりな建物ホフワートが立っており、ここからは遮るものは何もなくぐるり360度ライヒェナウ島とウンター湖そして対岸の街や山が一望できる贅沢なところだった。風変わりな建物が印象的だったので調べてみると1833年に茶屋として建てられたもので景色を眺めながらお茶をしたり手工芸品のギャラリーを覗いたりできるところのようだ。ややもすると毎日せわしく次へ次へと急ぐ旅になりがちだが、同じところを拠点にして走るだけでなく、のんびりとその地の良さを肌で感じる旅も悪くない。(走行距離 64km)
ライヒュナウ島へはライン川を上って来たフェリーで戻る。