9月16日(晴れのち曇り)
from Ebensee to Linz
◆観られるのは自転車旅だけの絶景
グムンデン方面に向かうトラウン湖沿いの145号線はエーベンゼーを出てすぐにトンネルに入る。そして自転車はトンネル入り口手前で湖沿いに右に分岐する。トンネルが出来る前の旧道を活用したトラウン湖沿いの自転車道には朝が早いこともあって誰も走っていない独占状態である。何にも増して贅沢なのはアルプスの山々とトラウン湖が織りなす幻想的な景観である。時々刻々変化する大自然の眺めは今ではサイクリストしか楽しめないいわば特権であった。グムンデンからエーベンゼーに向けて船旅で楽しんだ前回とは一味違う良い見ものであった。
エーベンゼーからグムンデンに向かうと車道はトンネル、自転車はトラウン湖沿いの旧道に出る。出色の景色はその湖岸沿いにあり、陽が昇るとともに時々刻々と、場所が変わるとともに景観は変化する。自転車乗りだけの贅沢な空間である。
◆道を外す
リンツからグムンデンに向けて進む道は前回走った経験はあった。ほとんどはなだらかな起伏が続き、時には最も標高の高い尾根道の真っ只中を走る道で特に途中の街ヴェルスからグムンデンまでは標高1691mのトラウンシュタイン山の姿がだんだん大きくなるのを観ながら畑の中を進んだ記憶がある。
今回は前回と違って左岸側を選んだが判断が悪かった。トラウン川沿いに暫く行くと道がなくなってしまう。戻って新しい道を探すと長い急坂が見えたのでゼイゼイ言いながら幹線道に辿り着く。しかし上がった道も交通量が多い上に行く手に起伏がありそうな道で余り進みたくない。すると下にトラウン川に架かる橋が見え幸い歩道橋も付いているように見える。しかし、両サイド共歩道橋にアプローチする道が見当たらず、渡って良いものか逡巡してしまう。通りがかったオジサンに声をかけるがどうも英語は通じない。“ヴェルス?ヴェルス?”と橋の方を指さしながら聞くと“OK!”とうなずき、ジェスチャーで先に見える小路を指さして行け!と言う。お礼を言って進むと深い谷に素通しの格子が敷かれた歩道橋に出た。高所恐怖症にとっては渡りたくない橋だったがやっとの思いで渡り切る。そしてしばらく走って見覚えのある道に合流して行く。
グムンデン市庁舎にはグムンデン焼きの陶器の鐘があり時を知らせている。
◆リンツへの電車移動
ザルツブルグを発つ時から先々の天気の動向を考えて日程を作ってきた。雨になる見通しの明日から二泊三日でリンツからチェコのチェスケー・ブジェヨビツェとチェスキー・クロムロフへの列車旅を計画していたので、どうしてもリンツまで進みたかった。走ることも出来たがリンツまで残り40km弱は電車で進むことにした。(走行距離 72km)
ヴェルスからリンツへは列車で移動。