自転車旅行9.07 ライヒェナウ⇒サンクト・アントン・アム・アールベルク

9月7日(天候)

from Reichenau to St Anton am Arlberg

◆「列車でアールベルク峠越え」

この日はボーデン湖畔のロールシャッハまで走り、そこからサンクト・アントン・アム・アールベルクまでは列車移動する予定で、この「列車で峠を越える」というアイデアが、今回のルート作りの胆だった。旅の計画段階でチューリッヒからウィーンへ走るルートを考えるアイデアの下敷きには2010年にチューリッヒからアムステルダムへの旅と2011年のブダペスト発ウィーン、ザルツブルグ、インスブルック経由でミュンヘンに移動した二つの旅をどう繋ぐかにあった。また、インスブルックからミュンヘンへ列車移動した時に車窓から切り立ったアルプスの山々を背にサイクリング道が続いている光景を見て、いつかは走ってみたいと思っており、今回はどうにかアルプスを間近に観ながら走るコースを組み込んでみようと考えた。

コンスタンツからロールシャッハに向かうボーデン湖沿いのサイクリング道はまるで公園の中の道のようであった。

そして地図を眺めて考えたのがリヒテンシュタインからアールベルク峠を越えてイン川沿いにインスブルックに出るコースだった。しかし、ライン川とドナウ川の分水嶺であるアールベルク峠は標高1802m地点にあり、正直走ることにはまったく自信がなかったが、何も自転車で走るという意地を張らずに列車移動に切り替えれば良いというのか答えだった。その点さえ解決すればインスブルックまで標高を700m落とす下り基調で100km行け、更にそのままイン川沿いに行けばザルツブルグに近いプリーンまで行ける。

旅を終えての感想になるが、ザンクト・アントン・アム・アールベルクからプリーンまで200km以上イン川沿いにオーストリアアルプスの絶景を眺め、幾つものアルプスの山間の街を観ながらの走りは大正解だった。

ロールシャッハからサンクト・アントン・アム・アールベルクへはファドーツに近いスイスのブフスで乗り換え向かう。

◆サンクト・アントン・アム・アールベルク

地域特急で車窓景色を眺め、全長10kmの長いトンネルを出るとサンクト・アントン・アム・アールベルク駅だった。プラットホームのリヒテンシュタイン寄りの部分はまだトンネルを抜けきっておらず降り立つと風も冷たく思わず寒さを感じる。列車に乗り込んだロールシャハとは1500mほどの標高差があるので当然のことと思ったが、日向に出ると9月と思えないほど日差しが強く、寒さも柔らいで感じられた。ホームで自転車を組み立て、街の目抜き通りに出るといかにもアルプスリゾートの街といった趣きの店が立ち並んでいるが、見かける人はまばらであった。店が立ち並ぶエリアを過ぎると瀟洒なホテルやペンションが道の両側に連なっている。この街はアルペンスキーの発祥地だけにピークシーズンは冬場なので、サイクリストにとって夏場は穴場シーズンと言え、オフシーズンだけに広々と清潔なホテルにも大変リーズナブルに泊まれた。泊り客はYajiさんと私以外には一組だけなので、全くひっそりしており、街の目抜き通りに面したホテルにもかかわらず車の通行も途絶え、夜9時を過ぎると物音一つしない静寂の世界が訪れた。(走行距離 53km)

ホテルの裏手の道を上がると四方に雄大なアルプスの山々が見通せる。