自転車旅行9.22 ヴァイセンキルヒェン⇒ビーザンベルク

9月22日(晴れ)

From Weisenkirchen in der Wachau to Bisamberg

◆クレムスを過ぎて

ヴァイセンキルヒェンから昨日往復した同じ道を進み、デヒュルンシュタインでは自転車を引いて目抜き通りを歩く。まだ朝が早いので昨日多くの観光客でごった返していた通りにも人影は少ない。土産物屋の店内ではスタッフが地元産ワインや杏ジャムなどを荷出し、陳列作業に精を出している。街の東端の城壁まで来てデュルンシュタインを後にして再びペダルを踏む。クレムスの街を過ぎてドナウ川の右岸を走ることにした。

クレムザー国道に架かる橋を渡り行く道を変えた。橋の上から上流を見るとゆったりとしたドナウの流れが広がり、山々が遠くに見えた。

左岸側は一度ドナウ川沿いにウィーンから西に向かって走ったことがあるので趣きを変えてみようと考えた。右岸側に変えてもユーロヴェロ6号線の自転車道の路面は滑らかで走りやすい。クレムスまでと大きく変わってきたのは両岸に迫って来る山が遠ざかり開けてきたことと、それに相まって景色がちょっと単調になって来たことである。やはりバッハウ渓谷の景観は見事だと思わざるを得なかった。そのまま11時過ぎまで走っていると何もない川岸にポツンと立つ丸太組みのログハウスが見えて来る。そのまま通り過ぎようと建物の前まで来ると何台かの自転車が駐輪されている。屋外席でサイクリング姿の何組かの人たちがのんびりしているので、私も休憩にする。オーダーを摂りに来たスタッフが“日本人?”と尋ねてくる。どうやら日本人サイクリストが年に何人かここで一休みしていくようだ。

木立を抜け何もなくなったドナウ川岸にログハウス風のカフェショップがあった。

◆韓国人青年との出会い

ランゲンレバルンの街を過ぎてドナウ川畔のサイクリング道をのんびり進んでいると、前方から自転車用とは思えないちょっと変わったヘルメットの自転車が来る。遠目に見て一瞬日本人かと思い挨拶すると、英語で返事が返ってくる。止まって話をすると韓国から来た大学生だと言う。ソウル近郊に住む彼は釜山からフェリーでウラジオストックに渡り、シベリア鉄道でロシアを横断しブダペストからサイクリングを始めたとのだ言う。ここから年内かけてヨーロッパを巡り、その後南米に渡り、大学を卒業する3月に帰国する予定だと言う。また、旅の目的は就職前に実際に世界を広く見聞し、多様なものの考え方や価値観を得たいとのことだった。そして彼の名刺の裏を見ると大きく“Go ahead”とあり、私には“困難を乗り越えて先へ進むぞ!“と言う強い意志が感じられた。昨今、日本の若者の内向き志向が叫ばれているが、ぜひ若いうちに海外に出かけ見聞を広げることを願わずにいられない。

ランゲンレバルンの街を過ぎた辺りでブダペストからアムステルダムに向かう韓国青年に出会う。積極的で挑戦的な彼の名刺には一言”Go ahead”と。

◆ウィーン手前のビーサンベルクでの一泊

トゥルンの街で一泊するのが朝方出発時の予定だったが、順調に進んで来たので更に一時間ほど走ることにした。地図を確認するとトゥルンを過ぎるとウィーンまでそれらしい街がないのが不安だったが先に進むことにした。街がありそうなのが左岸なのでトゥルンで再度橋を渡り進む。進むに連れて家並が増え交通量も増してくる。左右を観ながら走るがホテルらしきものが中々見つからない。少し焦りを感じながらコルノイブルクの街を過ぎると左手に二棟の派手な黄色のホテルが見えて来る。五階建ての建物に入って行くと人の気配が全くなく不気味にすら思えたが受付で呼びかけると、やっと奥から太った女性が出てきて宿泊は出来ると言う。部屋に入るとコンパクトで機能的ではあるが安そうな素材を使った値段相応の安い宿に思えた。

翌朝起きて安い訳が理解できた。ダイニングルームに行くと既に多くの人で賑わっている。話している言葉からするとロシア人で団体旅行のようであった。(走行距離 84km)

道の所々に木の根で盛り上がったりして自転車に危険が及びそうなところにスプレーで注意表示の赤線が引かれていた。なるほどと感心。

自転車旅行9.23 ビーザンベルク⇒フェーゼンドルフ