自転車旅行9.09 エッタール⇒インスブルック

9月9日(晴れ)

from Otztal to Innsbruck

◆アルプスの景観を走る

アールベルクを出発した時に比べて、イン川沿いの景観は徐々に変わってきた。両側に迫っていた山々との距離が開き、山々の高さが徐々に低くなってくる。そして両側の山の連なりの間に出来た谷間も広がり、いつの間にか牛や馬が放たれている草っ原が現れ、その中を進むようになってきた。そして、ライン川とドナウ川の分水嶺に近いアールベルク近辺ではイン川は小川のように細かったが見違えるほど立派な川幅になり流れ下っている。川の水はアルプスからの流れ出したことを物語るように真っ白に濁っている。

◆見覚えのある道と山の姿

インスブルックに近づくと見覚えのある大きな山の塊が右側からせり出しているのが見えてくる。かつてインスブルックに来た時に自転車を下ろして近郊のポタリングをした時に地図も持たずにイン川を上ったが、その近くまで来た証であった。走るに連れて記憶が蘇り、おせっかいなことに思わずYajiさんに解説をする。そして眼前にインスブルック空港の滑走路が広がる道沿いの日陰に座り込みランチを摂る。座った場所はハンス・フレッキンガー・プロムナードと呼ばれているイン川沿いの堤防道で堤の上の道が遊歩道になり、下の道は自転車が走る位で車はほとんど走らない所なので休むには格好である。

空港からは赤や黄色の塗装の派手は小型ヘリコプターが頻りに飛び立ち上空を旋回しながら観光飛行に向かうのか飛び去って行く。また、滑走路が短いためなのか小型ジェット機も離発着を繰り返す。動きもあり飽きない光景を眺めながらゆっくりとしたランチタイムが過ぎる。

インスブルック空港の真ん前の木陰で昼食休憩。ちょうど黄色いヘリが飛び立って行く。

◆マリア・テレジア凱旋門の真ん前のホテル

インスブルックのホテルはYajiさんがホテル予約サイトで前日の間に見つけてくれていた。ウェブを上手く使いこなせない私はやむを得ず“当日現地で見つける“主義にならざるを得ないので便利さは随分違う。予約してあれば宿の確保に心配が要らないので、時間を気にせずに焦ることなくゆったりと旅を進められる。一方、現地で探す時には自分の目で見て気に入った宿を選んで泊まることができるが、宿探しに奔走しなければならないリスクもあり、人には余りお薦めはしない。

ホテルはマリア・テレジア門の真ん前にある。この凱旋門は1765年に女帝マリア・テレジアの三男レオポルド2世の結婚を記念して作られたもので門の両面には様々に装飾されている。また、門のアーチ越しには2度のオリンピックのスキージャンプに使われたベルクイーゼルシャンツェのジャンプ台が見え、まるでインスブルックの街に向かって飛び出すように設置されている。

ホテルがあるマリアテレジア門の交差点は真っ赤な市電も走っている。

二度目のインスブルックでは主な観光ポイントはあらかた見尽くしているが観て回る。14世紀にハプスブルグ家が支配し王宮が置かれたこともあり、黄金の小屋根、宮廷教会、アンナの記念柱、インスブルック大聖堂などなど旧市街の見所は多い。また、黄金の小屋根越しに北の方向には2000mを超えるアルプスの山々が背景として収まる景色もインスブルックらしい。(走行距離 55km)

金の小屋根とインスブルック大聖堂