自転車旅行8.20 ゲルマースハイム⇒ハイデルベルク(ドイツ)
8月20日(晴れ)
◆「ドイツ人の素晴らしい真心を知る」一日
ライン川沿いの堤防に沿って走り始め順調に距離が伸びる。堤防道路は両側に鬱蒼とした林が連なる一本道ので、車もまったくと言って良いほど通らず、走るには格好である。
走りながら見ているとこのところ雨が多かったせいか、内側の林は根元で冠水している。
堤防道路の自転車道と行く手に見える原発のタワー
しばらく行くうちに堤防道路を外れ、街に差しかかると途端に道に迷ってしまう。
自転車で通りかかったおじさんにハイデルベルクへの道を尋ねるとついてこいと手招きする。
時速15kmほどのゆっくりマイペースの後に続いて走る。
ゆっくり、ゆっくり15分も走ると、ライン川にかかる橋のたもとに着いた。
おじさんがにこにこしながら指をさして「ハイデルベルク!」と言い、そのまま走り去った。
対岸に渡って再び走りだすが、道に次から次へと交差点が現れて来る。
それもきちんとした十文字の交差点ばかりでなく、いろいろな方向に分かれて、おまけに道路標識もない。完全に方向感覚もなくし、持っている地図で現在地すら確認できず、またまたお手上げ状態になってしまった。
品の良い70過ぎとおぼしき自転車のお婆さんが通りかかるので、またもや「ハイデルベルク?」と聞くと、ついていらっしゃいと手招きする。
小さな農村の細道を右に左に折れ曲がり、途中、畑で水遣りしている顔見知りと出会うと「道が分からない人たちだから連れて行ってあげるの」と言っているみたいに話している。
街外れの小川のほとりに着くと小さな橋が現れ、ここを行きなさいと言う。
お礼を言って走り始め、ふと後ろを振り返ると、お婆さんが来た道を戻ってゆくのが目に入った。
私たちのためにわざわざ回り道してくれたのだと思うと本当に感謝の気持ちでいっぱいになった。
ゆっくり走ったおじさんも、品のいいお婆さんもドイツ語でしゃべっているので、言葉はまったく理解できなかったが、心で語るまごころには感動した。
「迷いに迷って、彷徨った」一日は「ドイツ人の素晴らしい真心を知る」一日だった。
◆宿代が値切れた!
ハイデルベルクのカール・テオドール橋のたもとのガストホフが市内散策にも便利に思え、宿泊の交渉に入る。
ネッカー川にかかるカール・テオドール橋
ふだん交渉前には宿の立地や街の様相を考えて自分なりに宿泊費のボーダーを設定しており、今日は立地も良いので90€までと決めていたが、交渉すると125€と言う。
そんなに高いのなら他をあたると言うと幾らならOKなのだと言うので、ダメ元で80€ではというと、そんなに安くてはダメといいつつも了解、値切れることもあるのだと。
ハイデルベルク城内
◆自転車がショップ
自転車そのものがディスプレーであり、ショップになっている。
道の真ん中に置かれて、ぎっしり盛りだくさんの商品が飾られている。
私もこんな柔軟な発想ができればまだまだ若いがと思いつつシャッターを切った。