01. 海外ヨーロッパ自転車旅行 -定年後の趣味に-

定年目前の58歳にして初めてクロスバイクに乗ることになった。その数年前に無理な歩行が原因で膝を痛めたため、膝に負担をかけずにできる運動はないかと探し、自転車に巡り合った。これが自転車と私の最初の出会いであった。 何せ初めてのスポーツバイクで、乗り始めた頃は家の近所を20kmも走れば、それなりに体に良い運動をしたという達成感も得られ満足しているぐらいのものであったが、その後徐々に興味も膨らみ、走る距離を伸ばしながら、私にとっては飽きずに続けることができる運動であり趣味となった。

それでも、自転車に乗っての活動範囲は、せいぜい一泊二日か二泊三日で遠出のサイクリングに出かける程度であった。

また、時折海外サイクリングの話題をインターネットなどで目にしても、「自分にとっては全く無縁なこと」と、はなから考えもせずに過ごしてきた。

しかし、ある時所属する自転車クラブで、ヨーロッパのロマンチック街道をサイクリングしてみないかとの企画話が持ち上がり、突如現れたチャンスに、「行ってみたい、走ってみたい」という気持ちが強くなり、現実のものとして湧きあがってきた。その一方で、本当にできるのだろうか?出来るわけがない!という後ろ向きな心理が働いたのは言うまでもなかった。

「海外でサイクリング?」と考えると出来ない理由が次々に幾つでも湧いてきた。

・60歳を超えた体力で大丈夫だろうか?

・ヨーロッパまで自転車をどうやって運ぶの?

・自転車が輸送中に壊れない?

・ヨーロッパに自転車屋はあるの?

・欧州と日本の自転車規格と違うから修理できないのではないか?

・自転車の修理費用がべらぼうに高いのではないか?

・サイクリングのガイド本もないのにコースはどう選ぶの?

・そもそも安全に走れるの?

・宿は予約してゆくの?

・どこまで走るか分からないのに宿の予約はどうするの?

・宿の予約なしで行くのは無謀ではないの?

・宿を予約したら例え何があっても走らなければならないの?

・一時間にどれ位走れるの?

・言葉?英語がほんのちょっとで大丈夫?

などなど考え出すと否定的な要素が次から次へと脳裏をよぎり切りがなかった。

しかし、「海外で実際にサイクリングをして旅をする」ことを体験した今では圧倒的に大きな旅の感動や喜びに魅了され、人生の大きな収穫を得たと言っても過言ではないし、ふり返ってみると、旅する前に想像していた不安や心配などの「できない理由」はほんの些細なものであったことが今になって初めて理解できるようになった。

海外サイクリングに限らず、初めての挑戦には必ず壁がある。そして知らないものへの挑戦ほど壁は高く大きく見えるものである。しかし、越えてしまった壁を振り返って見ると、それは思っていたほど高く大きなものではなかった。戦略は大胆に戦術は細心にと考えて、壁を越えてみようではないだろうか。

自転車と旅が大好きな方が、このホームページを参考にされ、一人でも多くの方が高く大きな壁と感じていることを乗り越えて、自らの素晴らしい領域を開拓していただければ幸いである。

ぜひ、新しい世界に挑戦を!