自転車旅行9.17 リンツ⇒チェスケー・ブジェヨビツェ

9月17日(雨のち曇り)

from Linz to Ceske Budejovice

◆チェコへ二泊三日の列車旅

朝起きると屋根を叩く激しい雨音が聞こえて来る。予報通り且つ予定通りの雨である。今日からホテルに自転車を置いてチェコへの二泊三日の列車旅なので、走っている時に降られるよりも幸いと考えていた。昨日調べた通り9:15リンツ発、11:58チェスケー・ブジェヨビツェ着の列車に乗り込み、ブジェヨビツェまでは2時間40分の「車窓の旅」を楽しむという気楽なエクスカーションに出かける。リンツ中央駅を出た列車はすぐにドナウ川に架かる鉄橋を渡り、暫く東進した後北上し進む。森や林に囲まれ、小さな丘陵地帯に広がるうねった畑や牧草地に時折小さな集落が点在するのどかな景色の中を進む。

オーストリアとチェコの国境近くまで来た時、隣り合わせで座っていた台湾のご夫婦が手にした旅の日程表を指さしながら「バス!バス!」と言ってくる。何を言われているのかよく分からないが、日程表の行き先はブジェヨビツェとあるので身振り手振りでこの列車で大丈夫だと伝えるが何か腑に落ちない様子であったが、すぐにその訳は分かった。車掌が回ってきて「バスに乗り換えろ!」と???理由は定かではないが国境を越えて20km区間ほどを年代物の代行バスで行くのであった。代行バスは幾つかの村に立ち寄りながら走り、再びホルコフ駅からからチェコの列車に乗りブジェヨビツェに向かうのであった。乗り換えた二両編成の列車は最新鋭のものと見え明るくて機能的な車内はフリーwifiが使えコンセントも備えられていた。しかしリンツで切符を買う際にも駅アナウンスなどにも何の案内もなく、これが欧風流儀なのかと妙に納得するのであった。

ドイツからの列車を降り一度代行バスで移動し、改めてチェコの電車に乗り換えてチェスケー・ブジェヨビツェに向った。

◆ちょっとがっかりのチェスケー・ブジェヨビツェ

リンツで降っていた雨も中心のに着くとすっかり上がっている。駅前の大通りを渡って、ポプラ並木のラノヴァ・トジーダを直進すれば旧市街の真ん中にあるオタカル二世広場に至るが、土曜日のお昼時だというのに人影はまばらで通りが何とも淋しい。曇天のせいで建物がくすんで見えるせいなのか、それとも最高気温18℃と寒い心持のせいなのか、私の眼には街の表情が暗くて陰鬱に写った。

更にがっかりさせたのがオタカル二世広場の光景。開催中の期間限定のイベントは広場中央にある18世紀に作られたサムソンの噴水周囲を木製の工作物で覆い隠し、その中に入る木製通路が広場一角の建物に続いていた。大きな広場を色とりどりの建物と噴水が醸し出すせっかくの歴史的景観がイベントの造形物のせいで台無しである。正直がっかりしたし、広場の一角にある聖ニコラス聖堂に隣り合った黒塔の上からの広場の眺めも違和感だけが残るものでがっかりした。

旧市街は真ん中に立派なサムソンの噴水があるオタカル広場がある。しかしサムソンの噴水は前衛芸術の造り物に隔てられがっかり。

オタカル広場のすぐ横には街のランドマークの黒塔がある。また散策の時チェコの自転車標識を見かけるが地名はなかなか読めない。

◆素晴らしい体験もあったチェスケー・ブジェヨビツェ

ブジェヨビツェではがっかりしたことばかりでなく素晴らしいこともあった。ブジェヨビツェで最初に取りかかったのはホテル探し。オタカル広場に面したホテルで泊まれるかと聞くとあいにく満室なのでと応対してくれた受付のおばあさんが、代わりにお薦めのホテルを親切に教えてくれる。それは広場を左折してすぐのところにある四つ星ホテルだった。中に入ると古い建物の木の骨組みを生かし白漆喰で美しいコントラストがガラス天井からの光を受けて際立つ良いところであるが、良い宿ではあるがちょっと宿泊費が気になる。聞いてみると驚くほどの安さなので、この日の宿はこれで決まりとそのままチェックイン。

四つ星ホテルは中央に大きな吹き抜けが設けられ古くも新しい趣きの雰囲気があった。

そして、せっかくチェコに来たのだからこの日のディナーはチェコの郷土料理を食べたいとレセプションのスタッフから聞き出したレストランに行く。歴史を感じさせる佇まいのレストランはホテルからそんなに遠くないところにあった。お薦めの逸品は何かと聞くと「鶏肉の煮込みにジャガイモのダンプリングとキャベツの付け合わせ」だという。正直付け合わせのダンプリングとキャベツは今までに食べた経験から決して美味しいものではなかっただけに、ちょっと気に入らなかったがお薦め品を注文する。すると、出された鶏肉は美味!コクのあるソースで煮込まれた鶏肉は柔らかくかつ味わい深いもので美味い。さらに全く期待してなかったダンプリングもソースと合わせると美味しく、煮込まれた紫キャベツも予期せぬ旨さで満足だった。また、偶然となりの席には日本人のご夫妻がおられた。大手電気メーカーのスロバキア工場に赴任されているご主人と日本から度々訪れている奥さんだった。いろいろとお話しするとお互いに過ごしてきた生活圏がびっくりするほど重なっている。中学まで生まれ育った学区にご夫妻も住んでいたとか、サラリーマン時代住まった所からそんなに遠くない所に現在奥さんがお住まいだとか、チェコまで来てまさかのご近所話ができ、すっかり打ち解けた。そして都合がつくのであればご主人が単身赴任されているブラチスラバをご夫婦で案内するのでとお誘いまで受け、お言葉に甘えてお伺いしようとスケジュールを修正していたが結局スケジュールに無理があり伺えなかったことが心残りであった。

メニューを見るよりもお薦めを聞いて選んだ料理は肉は美味しく煮込まれ骨からホロホロと外せるほど柔らかく美味しい逸品だった。

自転車旅行9.18 チェスケー・ブジェヨビツェ⇒チェスキー・クロムロフ