自転車旅行5.11 バレンシア⇒サグント

5月11日(小雨のち晴れ)

from Valencia to Sagunt

◆スペインの道は難しい?

朝方はあいにくの小雨模様であったが、真っ先にバレンシア中央市場に向かう。100年前に建てられた歴史的建造物の市場そのものとスペインの食生活を垣間見たいとの思いで昨日の午後も行ったのであるが、残念ながら既に閉まっていた。今日こそリベンジするぞと7時半に行ったところ早過ぎて未だ入れない。ちょうど開店準備が始まったばかりのようで、開店までにはまだまだ時間もかかる様子なので諦めることにした。

雨宿りがてら朝食を摂りにベーカリーに入ると3度目のスペイン観光だという千葉のご夫婦にばったり。まさかの日本人との対面だったが3度目のスペイン旅行でいろいろご存知とのことなので、この国の魅力をたっぷりお聞かせいただき幸先良い自転車旅になった。

思いがけずお会いした千葉のご夫婦とお話ししながらの朝食風景とバレンシア市庁舎

バレンシアからは先ず地中海の海岸に向かうべく南に向けて走ると、幾つもの大きな現代的な建築物で構成されたバレンシア芸術科学都市が見えてくる。歴史を感じさせるバレンシア市街と全く対照的な位置にある街はこれまた魅力的であった。

”芸術、科学、自然”をテーマにした近未来を思わせるバレンシアの芸術科学都市には多くの大型構造物が配置されている

芸術科学都市を見ながら橋を渡り、港に向けて走る。港が見えてきたので左折して進むと街を外れて自動車道と郊外アパート群に沿った道になってゆく。ちょっとおかしい?かとも思いながら走ると自動車道沿いの道はダートになり、段々狭くなる。MTBで走ってきた地元ライダーに聞くと次の街へ行けるというので更に進むとついに道はなくなり瓦礫の散乱する野っ原に。やむを得ず途中まで戻り、歩道橋で自動車道を渡り強い向かい風の中内陸に入ってサグントを目指す。

◆近くて遠いサグントの街

鉄道沿いに走るとサグントの街が見えてきた。もう少し走れば街に着くと思うがそうはいかない。目の前に工事中の道路が出てくると鉄道沿いの道は途切れているので、止むを得ずそのまま工事中の道路に入る。何とか街の見える方に渡ろうと探すが道がなく、思いとは逆にどんどん街が遠ざかって行く。ヨーロッパではよくあることで鉄道や高速道路を跨ぐ道が極めて少ないのは日本と大いに違う道路事情の一つである。調べてみるともう一つ内側のカミ・デ・リリアという道を行けばすんなり街に着いたのであったが後のまつりだった。

工事中の道路を進んでいると一人のロードレーサーが来たので街への道を聞くと結構複雑な道なので確認に聞き返すと一人で行かせるのは無理と思ったのか「俺についてこい!」と来た道を戻ってくれる。左手に街を見ながら進み行き過ぎではと思う地点で左折し街を目前に更に左折と、独りでは無理だったと思わせる道を街まで案内してくれた。 着いたのは昼を過ぎたばかりであったがどっと疲れた上に真夏のような暑さなので、そのままホテルを探し泊まることにした。

途中までは悪くない道だったが目的地サグントに近づくに連れて道は悪くなり遂には一面瓦礫の棄てられた場所で行き止まる。泣く泣く戻ラざるを得なくなってしまった。

その後珍しく整備された自転車道を見つけることが出来た。

◆サグントの街にて

荷物を置いて昼ごはんを食べに街に出ると厳しい日差しと暑い風が吹いてくる。そんな日差しと暑さのせいなのか通りには人がほとんどいない。食事はできたがサグントの目抜き通りにある多くの店は格子のシャッターを下ろして休んでいる。「シャスタ」で、午後の1時頃から5時前後まで軒並みに休むのである。初めてシエスタというを言葉と意味を聞いた時に何て怠け者だと思ったものだが、自ら実体験するとシエスタは合理的な生活の知恵だと理解できる。

ギリシャ人に建設されたサグント城はその後カルタゴ、ローマ人やイスラム人などにも占有され、幾多の戦いに重要な役割を果たした城である。

昼寝をして夕方あらためて街に出ると昼過ぎとは全く違い街には多くの人が出てうるさい位の活気で満ち溢れている。遅いスペインの夕食時間にまでは間があるので、ホテルの窓から見えたサグントの古城に行く。目抜き通りを左に折れて、歩くのにもしんどい程の坂を上る。そこから更に石段と坂道を上がって行くと古いサグント城の城壁が見えてくる。また城壁とともにサグントの街並み越しに地中海も望める。残念ながら閉館時間を過ぎていたので城内へは入れなかったが美しい風景も眺められ満足であった。(走行距離 49km)

サグントのホテルから見える夜のサグント城。満月だったこの夜の城の景色は風情があった。

自転車旅行5.12 サグント⇒カステリョ・デ・ラ・プラナ