自転車旅行9.25 アイゼンシュタット⇒ショプロン

9月25日(晴れ)

From Eisenstadt to Sopron

◆ノイジードル湖畔の街ルスト

昇る朝日に正面から照らされたハイドン教会は荘厳で美しい。昨日の夕方はあいにく逆光で写真を撮るには難しかったので幸運だった。その先にあるエステルハージ宮殿も眩い日差しを浴び鮮やかな黄色い壁がいっそう生えて見える。今はオーストリア領のアイゼンシュタットの街は過去にハンガリー領の時代もあり、ハンガリー貴族エステルハージ家が支配していた名残があるためなのかどこか純然たるオーストリアの雰囲気とは違いエキゾチックな街だった。ウィーンからの二日間は自転車に適した道が見つからなく必ずしも快適とは言えなかったが、ここからはトラウスドルフとザンクト・マルガレーテン経由でルストに向かうサイクルパスB14があった。アスファルトできっちりと舗装されたB14には案内標識だけでなく要所要所に路面に方向を指示したペイントが施され快適で迷いもなく走ることが出来る。道は緩やかに下り、街に入る手前にちょっと小高い丘を上り、再び下ってノイジードル湖畔の街ルストに着く。湖畔に向かうと“ピーピー、ポーピー”と鳴き声が聞こえ、樹々の上を空が暗くなるほどにおびただしい数の鳥が飛び交っている。見たことがない程の群れで思わずヒッチコックの“鳥”を想起してしまう。いったん湖畔を離れ街の中心を探すと石畳の小さくて長細い三角形の広場が現れる。そして広場の周りにはカラフルなパステルカラーの二階屋が立ち並び、一番奥には教会の尖塔が見える。ルストは小さいけれど絵ハガキの一シーンのような風景が広がる美しい街だった。

◆ノイジードル湖を巡るサイクリング道

ノイジードル湖はオーストリアとハンガリーにまたがる湖で流れ込んだ水の出口がない水深の浅い内陸湖で岸辺に多くある湿地帯に生い茂っている葦は野鳥にとって格好の棲家で実に28種類もの鳥が棲む野鳥天国になっている。また、湖の周りには大きな街はなく自然の景観が広がっている。そんな湖の周りには多くのサイクリング道が整備されている。

ほんの一部区間を除いて平な道が続き家族向けにも推奨されているオーストリア、ハンガリーの両国をまたいで全長133kmで湖を一周できるB20号道を始め、B20、B22,B23、B24,R1号線など多くの自転車道が張り巡らされており、地図を見ると特に湖の北東部には多くの道がある。見る限りそれらの自転車道にはロードレーサーはあまり見かけなかったが子供連れの家族や老年カップルが野鳥観察、湖の風景、小さな街巡りなどそれぞれ好みの観光ポイントを辿って走っていた。

◆ハンガリーの街ショプロン

やっと街中に入るすぐに旧市街を取り囲む大通りにぶつかる。先ずは観光案内所でホテルを探すつもりで走っていると通りに面して素晴らしく風情のある立派な構えの四つ星ホテルが目に入った。泊まるつもりはなかったが宿泊費の値踏みと観光案内所の在処が聞き出せれば十分と考えフロントに行く。聞くと空き室はあるし一泊35ユーロだという。まさかの即決物の安さだったが、取り敢えず鍵を借りて部屋を見せてもらうと十分な広さの部屋は上質感も漂わせており断る理由は全くなかった。国によって物価の違いがあるのは当然だと理解できるが、それにしても余りにも安過ぎて驚きであった。

フロントでタウンマップやイベント情報、グルメ情報を仕入れて街に出る。先ずは大通りを渡って旧市街を散策する。ちょっと古めいた家々の間を歩き街のランドマークである火の見の塔の聳える中央広場に行く。せっかくなので塔に登ると赤茶色の甍の家並と山の連なりが一望できる。景色を見ていると、かつてはオーストリアハンガリー帝国と一つの国であったが何故か両国には異なった国のらしさ、雰囲気があると感じるのであった。(走行距離 44km)

自転車旅行9.26 ショプロン⇒ポダースドルフ・アム・ゼー