自転車旅行5.16 ラメトラ・デ・マル⇒バルセロナ

5月16日(晴れ)

from L'Ametlla de Mar to Barcelona

◆列車で移動

前々日と前日の2日間は適当な一般道が探しきれず自動車道を走らざるを得なかったことと、この後走るスペイン巡礼道にどれ程の日程を割けば妥当なのか見積もりあぐねていた。基本的な考えとしては、今回の旅のメインテーマである“スペイン巡礼道を走る”ことに重点を置き、そこに時間的な余裕も持たせ、もし日程が余った場合にはポルトガルに行くことや、マラガ、セビーリャやグラナダなどのあるアンダルシアを巡ること、マドリッド近郊の世界遺産を体感して回ることなど残余日数に応じて対応することとし、バルセロナまで約150kmは列車で移動することにした。

輪行バッグは長年使って薄汚れあちこち破れ補修のテープやステッカーで傷だらけであるが、新しいものにはない味わいがある。

前日に調べておいた時刻表をもとに朝6時過ぎホテルを経ち、最初に商店街にあるパン屋を目指す。昨日の散歩の途中に美味しそうなパンが並んだ店があったので今日の朝食を調達しようと目星をつけておいたのだが朝早すぎたのかまだ営業していない。残念!

◆タラゴーナで途中下車

バルセロナに行く途中には紀元前3世紀頃にローマ人によって築かれたタラゴーナという街があり、当時を彷彿とさせる円形競技場や旧市街の街並みがあるので途中下車して旧市街を観光をすることにした。

降り立ったタラゴーナ駅のホームで街巡りするために自転車を組み立ててスタートする。地中海を見ながら線路沿いに坂を上り旧市街に向かうとローマの円形競技場が見えてくる。左カーブを過ぎていっそう急になった坂を上り、さらに城壁沿いに走りサント・アントーニ門を潜ると旧市街に着く。旧市街に入ると石造りの建物の間を一気に細くなった道が続き、古き時代を思い出させる雰囲気が醸されている。

タラゴナの円形闘技場と駅からの坂を上り切った旧市街の一角

道を進むと立派なファサードのタラゴーナ大聖堂が現れる。大聖堂の全体を見にそのまま石畳の道を走る。聖堂の黄色い外壁の上に一際高い八角のメインタワーが聳えている。ぐるっと巡ってから入場して中を見学すると一種独特のイスラム文化を感じることができ、中でも回廊にある丸窓から眺める中庭の景色は美しいものであった。

タラゴナ大聖堂のロマネスク様式のファサードと中庭

城門を潜ると“考古学の道”と名づけられた遊歩道が城壁沿いに巡っている。遊歩道沿いの紀元前3世紀から造られ始めた城壁の前では至る所で小学生から高校生達の多くのグループが熱心に歴史を学んでいる。ヨーロッパでは子供たちが街に出て歴史や郷土を学ぶ姿はよく見られる光景で、日本で見かけるよりも遥かに多い機会が与えられているように思える。

城塞沿いの考古学の道辺りで歴史を学ぶ校外学習中のグループはあちらこちらに見られる。

◆理解不能な運賃請求

タラゴーナでの観光を満喫し、再び駅に戻り輪行袋に自転車を収納し電車を待つ。時間通りに来たバルセロナ行きに乗り込み、自転車をどこに置いたら良いのか考えていると車掌が通りがかり、何やらスペイン語で、それも凄い剣幕でまくし立ててきた。手の動きでどうも“降りろ!”と。

事情は全く掴めない中、取り敢えず自転車とバッグを持って電車を降り、切符を見せるが両手を横に広げ“乗れない!”と言う。腑に落ちない。自転車は輪行袋に入れてあるので全く問題ないと思われ、乗車できるのではないかと食い下がるが駄目だと両手を広げるばかりであった。すると車掌は持っていた紙に21.8ユーロと書いて示す。もちろん切符は買ってあるので示すが、相変わらず21.8ユーロだと。持っている8.05ユーロの乗車券とは別に更に21.8ユーロ払えという言い分には到底納得できなかったが、言葉も分からず納得も出来なかったが仕方なく言われた通りに支払うしかなかった。今までの経験で特急や急行でもなく、加えて輪行袋に入れた自転車で運賃請求されたためしはないし、まして人の運賃よりも高い請求をされるのは理解不能だった。

”地中海のバルコニー”と呼ばれる高台から見る地中海の眺望

◆バルセロナの安宿

バルセロナ・サンツ駅に降りるとたちまち熱気に襲われる。既に4時を過ぎたのにバレンシアを発って以来相変わらず嫌になるほどの暑さを感じる。そんな中で先ずは3日間滞在しバルセロナ観光を存分にする拠点になるホテル探しを始めるがどこもホテル代がべらぼうで驚くほど高い。近年世界遺産のサグラダファミリア、グエル公園やカサ・ミラなど主にアントニオ・ガウディが手掛けた素晴らしい建築物のあるバルセロナには世界中から多くの観光客が訪れ、ホテルの需給バランスがどんどん悪くなっているので高いと聞いていたが予想以上だ。一例としてカタルーニャ広場の近くで一見リーズナブルに思えるホテルで交渉すると200ユーロ超えだと言う。びっくりするほど高い。やむを得ずさらに港に近い旧市街のランブラス通り沿いを探し、大通りからグエル邸を過ぎ、その先を入った小路に面したペンションにたどり着いた。ここがペンション?と思うほどにひどい外観である。そして内部もお世辞にも綺麗と言えるものではなかったがきっちりしたマダムの対応に満足して3日間お世話になることにした。(走行距離 14km)

泊ったペンション近くのグランプラス通りにあるスペインの巨匠ジョアン・ミロのモザイク張り

自転車旅行5.17 バルセロナ