7月6日(快晴)
from St.Polten to Grein
◆ドッキリの朝食
きのうは連日の向かい風の中の走りで少々へたっていたので、街で最初に見つけた駅前ホテルを十分にチェックもせずに決めていた。
七時半に始まる朝食に合わせてダイニングに下りると、既に大柄な男たちが朝食をとっている。私服に交じって制服を着ている者もおり、みんな挨拶をし合っている。スタッフに聞くと交通警察官の方々で何やら全国規模での競技会があり、ここが宿舎になっているようだ。
そんな大男たちの中でいつものように朝食をしながら、作ったランチ用のサンドイッチをナプキンに包んでいると一人の警察官がじっとこちらを見ている。そしてポケットに入れようとした瞬間に人差し指を横に振って「それやっちゃ、駄目だ!」と合図する。初めての経験で気の小さい私の心臓はドキッとし、手は思わず止まってしまった。
ザンクトペルテンの広場に面した一角の景観
◆お奨めはドナウ沿いのルート
ザンクトペルテンからメルクまでは昨日と同じ一号線を走る。幹線道路であるが自転車用の道がないので車道を行くのであるが、交通量が少ない上にどの車も自転車を大きく避けて走って行くので思いのほか快適に走れる。
前回ウィーンからメルクへはドナウ川沿いに走ったが、比べてみると風光明媚なバッハウ渓谷沿いの景色、イギリスのリチャード獅子心王が幽閉されたデュルンシュタインの街並みのあるユーロヴェロ6号線の方が見どころも多くお奨めである。
30キロほど走ってメルクの街に到着し世界遺産の修道院を見ながら一休みし、この旅で初めてドナウ川沿いに走り出す。バッハウ渓谷など景色の良いところが多いドナウ川はサイクリングを楽しむ人にとっては人気の道だけに、この辺りではドナウの両岸に自転車道がある。どちらを進むも良いが今夜の宿泊はグラインと定めていたので右岸を進むことにした。
ドナウ川沿いから望む世界遺産メルク修道院
ユーロヴェロ6号線自転車道の表示
◆グラインでの宿選び
ドナウ川沿いに走ってくると街の手前で正面に見える小高い丘の上のグラインブルク城の堂々とした姿が目に入ってくる。
7月上旬なのでグラインの街は観光のトップシーズンには未だ入ってないよいだった。そのためか客も多くなさそうなので、良い宿が簡単に見つかりそうに思えた。
何軒か見比べ、一軒のよさそうなガストホフで交渉すると値段も手ごろな上、wifiも無料で使えるというが支払いは現金とのこと。手持ちユーロが少なかったのでカード払いを交渉するも駄目とのことで再度他のガストホフを当たることにする。坂を上るとそれらしい一軒が見つかったので交渉すると、やっぱり現金払いと言い、現金が少なければ近くのキャッシュディスペンサーで下ろせば良いのではとしたたかなものである。
(走行距離 73km)
グラインブルクのシュロス