自転車旅行5.15 モントシア・マル⇒ラメトラ・デ・マル

5月15日(晴れ)

from Montsia Mar to L'Ametlla de Mar

◆エブロ川の景観

この日は先ずTV-3408を走ってアンポスタの街でエブロ川を渡る計画で進んだ。昨日走ったN-340に並行するTV-3408は田園地帯を走り交通量もそんなに多くない道である。しかし時折通り過ぎる車は凄いスピードで走り抜け、おまけに路肩もないためのでN-340自動車道よりもむしろ恐ろしく感じる。少しでも遠くからドライバーに視認してもらえるように、黒いベストを脱ぎ目立つ黄色のTシャツにした。日頃からサイクリングウエアーは黄色や明るい緑色を好んで着ているが少しでも事故から身を守るための手段として行っている。

アンポスタの街に近づくにつれて水田風景が現れて来る。日本で見慣れた水田風景と違って一枚当たりの田んぼが広く、直播されて育った苗が青々している。そんな景色の中をしばらくTV-3408を行くとアンポスタにたどり着く。街への入口付近はちょうど朝方の通勤時間にぶつかりTV-3408交通量が一気に増え走りにくい。TV-3408を避けてエブロ川沿いの道に出ると、満々と水を湛えたエブロ川の景色になる。今まで見たスペインの川と違って降雨量の多いスペイン北部を源流にしているエブロ川は豊かであった。

まだ芽生えたばかりの幼さない苗が顔を出している水田。エブロ川の豊かな水が支える水田風景だった。

マドリッドからバレンシアへの車窓から見た風景は水に無縁の乾いた大地という印象で、走り出したバレンシアからここに至るまで過ぎてきた“rio“川は総て涸れ川であっただけに驚きであった。また、街を遠景に旧道N-340aに架かるエブロ川の橋の景観は古き良き時代の雰囲気を醸し印象的であった。

旧道N340aのエブロ川に架かるプエンタ・デ・アンポスタ橋

◆ラメトラ・デ・マル

TV-3401を通ってランポラの街までは来たが、地図で見る限り、この先地中海沿いに行く道はなく、確実な道としてはN-340以外には先へ行く道が見つからない。鉄道移動への切り替えも考えたがやはり今日もN-340と覚悟を決めて走る。N-340の路面には等間隔に車の車線逸脱防止用のキャッツアイが路肩のセンター寄り部分に埋められている。このキャッツアイは自転車にはとても危険なもので、実際に私の知り合いが誤って踏んで転倒し、負傷したところを目撃したことがある。それだけに左耳で車の近づく音に注意しながら、しっかり目視で路面を確認して進む。昨日と違ってこの日のN-340は途中小高い丘があり、上るにつれて勾配もきつくなり登坂車線も設けられている。スピードを上げて出来るだけ早く抜けたいのであったが正直きつかった。

前日に続いてN-340を走る。この区間の最高速度制限は120km!

ラメトラ・デ・マレの表示が見えたのでN-340を離れ街に向かうことにした。ほんの1キロも進み高速道路AP-7を超えると街に着く。まだ昼をほんの少し過ぎたばかりであったが、ひどい暑さに道不案内と空腹と悪条件が重なり、走る気持ちも萎える。折よく駅前のツーリストインフォメーションがあったのでホテル情報を聞くと、ホテルは何軒もあるがオフシーズンで営業中は一軒だけだと言うのでホテルを確保し、この日の走行はここで打ち止めとした。

ラメトラ・デ・マレは小さいけれど地中海リゾートの街らしい雰囲気があった。駅前から続く小路を行くと、すぐに細くて急な坂になり下りきるとお目当てのホテルがある港に行き着く。

ラメトラ・デ・マレの街は海に向かって急な坂がある。泊ったホテルの2階の窓からははなんと歩く人の足下が見える坂に面していた。

入り江になった港にはレジャーボートやヨットがぎっしりと停泊し、海岸沿いに多くのレストランが軒を並べている。それぞれのレストランのメニューを見て回ると、どこも同じようにシーフードパエリアを売り物にしている。強い日差しを浴びずに港が見える一軒に入り売り物のシーフードパエリアをオーダーする。三種類の海老とムール貝にイカの入ったシーフードパエリアは見た目には豪華そのものだったが、味わったことがない程に強い塩味。確かにこの一週間食べてきたスペインの料理には塩味が強めなものが多かったが、これは食べ残してしまうほどの塩辛さに負けた苦い経験だった。

塩港に面したレストランのパエリアは塩の量を間違えたのかと思うほど塩辛い散々なものだった。

ホテルで午睡してから、歩いて街の散策に出かける。港に沿って歩くと何隻かのレジャーボートが塗装を落とし磨きをかけられてお化粧中の最中である。造船所の右側には結構な高さの崩れかけた崖があり、崖の間際まで真新しいマンションが立ち並んでいる。日本ではまず見かけられない驚きの景色であった。(走行距離 64km)

驚くほど崖に近い所にマンションが並んでいる。雨が少なく浸食されないのだろうが幾ら景色が良くても住みたくない物件である。

自転車旅行5.16 ラメトラ・デ・マル⇒バルセロナ