自転車旅行6.20 ザールブリュッケン

6月20日(雨のち曇り)

in Saarbrucken

初めての世界文化遺産「フェルクリンゲン製鉄所」へ

19世紀に宰相ビスマルクの「鉄は国家なり」の号令下で建設されたフェルクリンゲン製鉄所は豊富なザールの石炭や鉄鉱石を背景にドイツの工業化に大きな働きをして1986年に一世紀以上にわたった稼働を終え、994年にそのまま初めての世界文化遺産として指定されたものである。 そんな興味深いものがあるとも知らず、ザール川沿いのフェルクリンゲンを通り過ぎてきた。

是非とも見学したいので気温が低くかつ小雨が降る悪コンディションの中、昨日来た道を戻り製鉄所に向かった。川を渡り着いたフェルクリンゲン製鉄所の第一印象は何しろ巨大で、入り口を入るとさらにその圧倒的な大きさには驚かされる。

稼働当時そのままに展示された製鉄所内には縦横に見学通路が付けられ自由に巡ることができる。高炉のてっぺんまで階段を上るのだが、敷かれている鉄の格子で作られたステップからは小さくなった地上が見える。上り切ると高炉の頭、煙突、張り巡られた配管などなど巨大な設備がまるで有機的に繋がった生き物の器官のように見える。

そんな巨大な施設に入ると他の見学者に会うことも少なく迷路に迷い込んだような気になるものであった。

この旅では10か所以上の世界遺産を訪れたが、フェルクリンゲン製鉄所はお奨めの世界遺産である。

フェルクリンゲン製鉄所内部

ルートビッヒ教会

ルートビッヒ教会は18世紀後半に造られたバロック様式の代表作で教会そのものも素晴らしいが、教会前広場の端から見る全体の景観はもっと素晴らし良いものだった。

広場正面の赤茶色の教会とは全く対照的に真っ白な館が広場の両側に立ち並んでおり、好対照の色調が独特の雰囲気を織り成しており、今までにお目にかかったことがなかった。 そして教会の中は外観と違い、純白の内装が施されており、内壁だけでなく祭壇やパイプオルガンまで白色で統一されており、見応えのあるものだった。

ルートビッヒ教会前の広場では朝市が開かれており、青果店では出盛りのさくらんぼがあったので200gだけと求めるとかなり多めに盛りこれで良いかと言う。多いので減らしてと言うと余分な分を取り去って量りなおし、粋なことに代金を払うと「にこっ」と笑いながら取り去った分をまた袋に入れてくれる。何も特別ではないが思い出に残る出会いだった。

ルートヴィヒ教会の外観と対照的に真っ白な内装

教会内にあった立派な紋章

週末の目抜き通り

この日の泊まりは目抜き通りに面したビルの4階に受付があるホテルの4階の一室で自転車置き場はないので目抜き通りのどこか適当なところに駐輪しておけと言う。もう古くなった自転車なので盗まれる恐れはないと思うが万一を考えて部屋に入れて良いかと言うと運び込めれば良いと言うので、狭いエレベーターに自転車を縦に乗せ運び込む。

ルームキーを差し込まないと動かないホテルのエレベータ

週末の目抜き通りの路上コンサートの大きな音が6階の部屋にも響き渡る。さっそく下に降りて行くとコンサートだけでなく色々な催しが通りのあちこちで開かれ多くの人が楽しんでいる。

車が締め出され、人々が車に気兼ねなくショッピングやイベントを心底楽しめる目抜き通りは今やヨーロッパの街では当たり前になって来たが、歩行者天国しかない日本での普及は無理なのだろうか。 (走行距離 32km)

演奏しているのはファミリーのメンバー

自転車旅行6.21 ザールブリュッケン⇒サルグミーヌ